2014年3月10日
TIスイム創設者 テリー・ラクリン

後前回の私の投稿、運動能力の低下と年齢/活動の関係に、普段より多くの反響をいただきました。その内のひとつは特に印象深かったので、今回テーマとして挙げさせていただきました。

グレン・ギルクリストさんの投稿:「私は、『運動能力の低下は老化によるものである。』と言う、従来の認識は完全に間違っていると思っています。60歳以上では2%ずつ下がるという数字は、いったいどこから出てきたのでしょうか?他の要因はないのでしょうか?ただ単に、年を取ると以前のようにトレーニングをしなくなるからではないでしょうか?勝つこと、そしてそのためのトレーニングに対して、興味が薄れたからということはないでしょうか?40歳の時に比べて体が痛むことで、前ほど努力をしなくなるのではないでしょうか?そして、信じる力『年を取ったから遅くなるという思い込み』によって、本当に遅くなってしまうものです。

私は現在61歳で、トレーニングを始めたのは54歳の時です。TIで泳ぐことを習得し、トライアスリートになりました。2年して競技に出ることは止めましたが、今また再開しました。1日2〜3時間、週に6日トレーニングしています。インターバルトレーニングでの心拍数は90%以上に上がります。人生で今が一番調子いい状態です。5年前にハーフアイアンマンに出場し、年代別で優勝しましたが、今はその時以上に速くなっています。特に運動神経の発達した遺伝子や経歴があるわけではありません。毎日トレーニングしているだけです。そして、人間の体が持つ潜在能力の大きさに日々驚かされています。」

私も、従来の認識が間違っていて、グレンさんの言うことが正しければよいと思っていますが、運動能力調査以外に、生理学的研究で、特定の身体的能力が急速に衰えていくのは60歳前後であることが示されています。

グレンさんのように、このような研究によって人間の可能性が測られることを否定する人たちは他にもいます。60歳を過ぎたほとんどの人が30歳の時より活動的でなくなる傾向にあるため、研究や調査は、人間の生物学より人間の傾向に、より影響を受け、それが「標準」の老化として示されているのでしょう。

前回でも書きましたが、私が強化トレーニングを始める決心をしたのには2つ動機があります。ひとつは、スピードの低下は老化に起因しているのか、あるいは単にこの数年間速く泳ぐことを目標としてやってこなかったからなのかを見極めることです。もうひとつは、居心地の良い領域を出て「困難を追い求めたい」という私の欲求です。

私は、年を取ったから集中的にやらなくなったわけではありません。18歳の時に初めて競技に参加するようになった時から、私の興味は集中トレーニングではありませんでした。自分は短距離ではなく、長距離レースに向いていると感じたので、長時間一定のペースで泳ぐことに焦点を当てた「定常状態」トレーニングを常に行っていました。単に生理学的なものではありません。効率を最大化し、努力とペースの鋭い感覚を磨くスキルなのです。

長年にわたって練習に取り組んできたので、私のペース感覚は長けています。私達がマスターしてきたことは、とても満足感を得られるので、さらなる達成感と継続的改善を求めたくなるのです。

生理学的に言うと、定常状態での心拍数は、比較的長期間、比較的狭い範囲内にとどまっています。それを40年やってきた後に、短時間で心拍数を大幅に上げるトレーニングをし、リカバリで心拍数を平常時よりはるかに低くするというような、心拍数を激しく上下させることは、本質的にとても大変なことです。

私はその経験がほとんどないので、あえて今回の選択をしました。従って、細胞内のミトコンドリアの機能を高く、そして「若く」保ちながら、新しい認識神経細胞と運動神経細胞が成長する可能性は、定常状態の時よりも大きくなるでしょう。
私の集中トレーニングによっても、老化過程に好ましい反応が示されたら、きっとあなたもやる気になるのではないでしょうか。

 ©Easy Swimming Corporation