スピードが保証される賢い泳法 Total Immersion
2019年1月10日(2013年10月1日、ジブラルタル海峡を泳ぐ、上からテリー、 レナート・ラーソン、トミー・パティア) |
「スピードの向上が『保証されている』と言ってもいいほど正確に計算されたトレーニング方法をマスターできたことを、とても嬉しく思いました。以下の動画がその泳法です。」-テリー・ラクリン
今週私たちは、テリーが2015年の10月に投稿したブログを見直しました。そこには、計算されたスピードの主な要因を使い「速度 = ストロークの長さxストロークの速さ」の方程式に基づいて、「賢く速く泳ぐ」ための方法が、計画的かつ戦略的アプローチで説かれています。このアプローチをスピード練習に取り入れ、時間をかけて研究する価値は十分にあります。なぜなら、この投稿でテリーも説明しているように、「アメリカスイミング界において40年間集められてきたデータが、この方法がスイミングの成功のためのアルゴリズムに一番近いことを示している」からです。是非試してみてください。
[注:この投稿でテリーが「グリーンゾーン」という言葉を使っていますが、これは、身長別によるもっとも効率の高いストローク数の幅のことです。これらは、エリートスイマーのクロールでのストロークの長さのデータを基に算出され、平均的なスイマーにとって難易度が高いが現実的であるとみられる基準値に修正された数字です。グリーンゾーンにストローク数を保った時、すべてのストロークを有効に行っていることになります。グリーンゾーン表は、身長がインチ表示ですが、こちらを 参考にしてください。]
10/20/2015
真剣にスイミングに取り組む(速くなるための明確な目標を設定するなど)ようになって、もうすぐ50年が経とうとしています。1965年の11月に、ニューヨーク州マンハセットにあるセントメリーズ高校で、新しく作られたスイムチームに入りました。
その後の5~6年は、毎年速くなりました。でもそれは、ストロークの効率が上がったとか、トレーニングの仕方というより、単に成長して身長が伸び、力も強くなったのが大きな要因だったと思います。しかしそれも20歳の時に止まってしまいました。その時点ではまだ成長していたのですが、私は既にできるだけ速く水をかき、一生懸命に泳いでいました。それから45年間自然と速くなることはありませんでした。
しかし、後数か月で65歳になろうとしている今でも、トレーニングの時間、身体能力が許す限り、速くなりたいという意欲は持っています。 なので、スピードの向上が『保証されている』と言ってもいいほど正確に計算されたトレーニング方法をマスターできたことを、とても嬉しく思いました。以下の動画がその泳法です。
このビデオを再生するにはAdobe Flash Playerが必要です。ここをクリックしてインストールしてください。
最初のクリップでは、私が100ヤード続けて泳いでいます。画面に表示されている数字は、「速度 = ストロークの長さxストロークの速さ」の方程式に基づき計算されたスピードの主な要因を表しています。しかし、私が興味があるのは息継ぎなしで25m全力で泳ぐことではなく、速いペースを1マイル以上保つことです。そのためには、賢く楽にスピードを生成すことが必要となります。
この100ヤードに私が取り入れた2つの要素
1本目は、永遠に泳げると感じるほど、楽でゆったりとしたペースで泳ぎました。これは、20マイル以上のマラソンスイミングで私が使う泳ぎ方に近いです。その後の2本はストロークの圧力とテンポを少しずつ上げていきました。最後の1本は、静かでコントロールされた状態を保ちながら速いペースで泳ぎました。これは、私がオープンウォーターの1マイルレースの後半で使っている泳ぎ方です。
この100ヤードを泳いでる間、いつものようにストローク数を数えていました。私の計画では、最初の1本を13回、2本目と3本目を14回、そして最後は15回でした。(私の「グリーンゾーン」は、25ヤードでのストローク数は13~16回です。)しかし、3本目は目標より1回多い15回になってしまいました。ペースを上げる時いつもするように、私はテンポと圧力、スピードを上げながら、水しぶきを上げない滑らかなストロークを保つことに集中していました。
ビデオでは、4本それぞれのタイム、ストローク数、テンポが画面に表示されています。
1本目25ヤード:21.7秒、13ストローク、1.24秒/ストローク
2本目25ヤード:21.7秒 、14ストローク、1.20秒/ストローク
3本目25ヤード:21.6秒、15ストローク、1.16秒/ストローク
4本目25ヤード:20.2秒、15ストローク、1.06秒/ストローク
私のプールでの1500mのペース(25ヤードx 66)が、1本目23:52から最後の1本22:12に向上しました。
バランス、安定性、ストリームラインの効率的なスキルとは別に、この泳ぎ方は、高いレベルのペーススキルが要求されます。100m以上のレースでの目標達成には不可欠な技術で、自己のスピードを最大限に高めることが可能です。
100ヤードを続けて泳ぐ時、一定のペースを保つ、または25ヤード毎にペースを上げることができるスイマーはほとんどいません。スタートからフィニッシュまでペースを6.5%上げられる人はさらに少ないでしょう。このビデオを観ながら、もう一つ考慮すべきことがあります。スピードが上がるにつれて、抵抗も急激に増加します。つまり、6.5%スピードを上げるということは、抵抗が47%増えることになります。しかし、ビデオを見て、4本目が1本目や2本目より47%多くエネルギーを使っているように見えますか?
楽に速く泳ぐには、2種類のスキルが必要になります。
- リラックスして効率的なストロークを保ちつつ、広範囲でのテンポとスピードに統合させる能力。
- 2. ストロークの長さ、テンポ、そして圧力を正確にコントロール、調整する能力。
この2つのスキルは、以下のような難しい練習または問題解決の練習を定期的に行うことによって、身に付けることができます。これら2つのビデオクリップは、25mのプールで撮られたもので、25m x 6本 の内の、最初と最後の25mです。
最初1.10秒/ストロークのテンポで始め、その後25m毎に0.04秒ずつテンポを上げていきました。(1.06、1.02、0.98、0.94、0.90)私の目標は、1回のストロークでできるだけ進みながら、それぞれの25mで一定のストローク数を保つことができるかを試してみることでした。つまり、合計で0.2秒テンポを上げることになります。1.1秒のテンポとストローク数を17で泳ぐと、25mを22.4秒または1500mで22分24秒ということになります。0.9秒のテンポとストローク数17だと、25mは18.8秒、1500mは18分になります。これが、私の言う「保証された」スピードトレーニング法です。
私が初めてテンポトレーナーを使い始めた時は、0.01秒まで細かく調節していました。一定のストローク数を保ちながら0.06秒まで縮められただけでも嬉しかったのを覚えています。何年も練習を続ける中で、テンポを上げながらもストロークの長さを一定に保つ能力は著しく向上しました。「あなたもケイティ・レデッキーのように泳げる!」の投稿でも書いたように、アメリカスイミング界において40年間集められてきたデータが、この方法がスイミングの成功のためのアルゴリズムに一番近いことを示しているのです。
これも投稿に書いていますが、賢く楽に速く泳ぐためのトレーニングは、次の2つの手順から始めます。
- 常に自分のグリーンゾーンが示すストローク数の範囲内で泳ぐことを身に付ける。
- それぞれのストローク数を保ちながら、少しずつテンポを上げる。
自分のスキルレベルをテストするには、グリーンゾーン表とテンポトレーナーを使います。