2015年1月10日
トータル・イマージョン代表 竹内慎司
ラクに泳ぐための技術を段階的に身につけるため、「ドリル練習」を行います。今回はからだ全体を推進力にするドリル「スイッチドリル」を紹介しましょう。クロールは、このスイッチでラクに進むようになります。

両手を同時に「からだの前で」動かす
クロールは手でかいて進むものと考えるのが普通です。一方水を含む流体における推進力は、物体を加速することで得られます。つまり手をより速く動かせば、より大きな推進力が得られるのですが、これまでの手の動かし方では十分な加速を得ることができません。

そこで反対の手の動き、すなわち入水動作に注目して、入水後に素早く手を前に伸ばすと同時に水中の手を動かすことで加速を得るのがTIスイムのやり方です。水上の手を入水するまでは、水中の手は前に伸ばして抵抗の少ない姿勢を保ちます。水上の手を入水して前に伸ばすと同時に、水中の手を後ろに動かします。

またこの動きはからだの斜め姿勢の切り替えとつながります。水中にある手はからだの回転と共に後ろに動き、水を押すことで推進力を得ます。タイミングを入水する手に合わせ、水中の動作はからだの回転とつなげることで、これまでの手で水をかく動作が大きく変わることが実感できます。

倒れ込んでからのスイッチ

まず水中に手を伸ばした斜め姿勢から、入水の手の形を作ります。写真左のように、入水する手に注目して

  1. 前腕を進行方向と平行
  2. 上腕と前腕の挟む角度を直角
  3. 前腕と仮想水面の挟む角度を45度にします

次に写真右の矢印のように、入水する手を前に、伸ばした手を下に同時に動かします。入水する手の肘が伸びきったときに、伸ばした手が腿の前に来るようにします。かく意識をもたず、入水する手を前に伸ばすことに集中します。

陸上の素振りで動かし方がわかったら、水中でプールの底を蹴りながら倒れ込み、両手を同時に動かします。この動きをスイッチと呼びます。スイッチの後はキックをせずにスケーティングの姿勢で伸びます。足が沈み始めたら立ちます。

プールが立てる深さであれば、このスイッチドリルを繰り返し行い、両手の動かし方やからだの回転と手の動きの感覚を身につけましょう。

 ©Easy Swimming Corporation