2014年12月10日
トータル・イマージョン代表 竹内慎司
スイム 4050yds
気温が16度を下回ると泳ぎの間の休み時間でからだが冷える。このため休み時間が20秒程度に短縮され、ほとんど連続で泳ぐことになる。来月は雨期に入り10〜12度程度まで下がるので、こんどはリカバリーするたびに手が痛くなるのであろう。

○テンポピラミッド 9×400@1.15-1.30-1.05秒
昨日はSwiMP3のバッテリーが途中で切れたが、今日は音楽を聴き続けることができた。その影響もあって後半のテンポを上げる局面でタイムが短縮できなかった。

 テンポピラミッドはまずテンポを遅くして前のめり感や安定感、加速感を増やす。次にテンポを速くしてなめらか感を加える。変化幅は0.20〜0.30秒程度なので、ビープ音の間隔が変わったときに動作を合わせることはそれほど難しいことではない。以下はテンポを変化させるための道具である。

  • テンポを遅くする→伸びる時間を増やす、不安定さを感じたら加速を上げる(入水した手の肘を素早く伸ばす、素早く体幹を回転する)、リカバリー動作をゆっくりにする、水中の手の軌跡を長くする(特に後ろ方向)
  • テンポを速くする→リカバリー動作を速くする、水中の手の軌跡を短くする(特に後ろ方向)、入水位置を遠くする、伸ばす手の深さを浅くする

 テンポピラミッドの主目的は「速く泳ごうと思わずに」スピードを上げることであり、テンポに合わせて泳ぐことではない。この目的を意識していないと、テンポを速くする局面でストローク数が増えてしまい、結果として遅くなる。今日の練習では音楽に気を取られていてタイムが伸び悩んだ。

・空回りの対処方法:ストローク数を一定にする
 望ましくない結果だったので、音楽に気をとられていた以外の要因を考えた。日本滞在中はエンドレスプールの練習が中心で、音楽を聴きながらテンポトレーナーに合わせて泳ぎ、ストローク数を数え、フォーカルポイントも変えていた。しかし速度は一定であり、その速度に合わせるために無意識に加速していたのであろう。

 一方普通のプールでは自分の泳ぐ速度は自分が決める。音楽を聴いたりビープ音を聞いたりフォームを意識する以外に、加速し続けなければならない。意識するポイントは決めているので、そのポイントにおいて加速に貢献するような動作をしなければならない。

 テンポ1.20秒の結果が6分31秒でその前より4秒落ちたので、テンポ1.15秒から16ストロークを死守することにした。単純に加速しようとすると力んでしまうので、ストローク数を維持するという緩いタスクを設定して、そのために意識するポイントをどのように使うかというアプローチで泳いだ。

 入水する場所は手を伸ばす方向を意識するときは、ストローク数の維持が難しい。キャッチの型やてこなど加速に関連する意識では、16ストロークをラクに維持することができた。その結果テンポ1.15秒で6分28秒、1.10秒で6分15秒、テンポ1.05秒で6分4秒まで短縮することができた(計算上25ヤードあたり0.8秒、400ヤードで12.8秒短縮できる)。

 テンポが速くなるに従い、「加速している」という意識も強くなった。テンポ1.05秒で泳いでいるときは、適度な加速感を感じることができた一方、エネルギーを消費した感覚も強くなった。

・「ラクに長く」と「ラクに長く速く」の微妙な違い
 テンポを落とさずにラクに泳げれば、長く泳ぐことは可能である。ビープ音を聞きながら泳げば、1ストロークあたりの時間は伸びずに済むので劣化しにくくなり、その結果長く泳げるようになる。

 しかし速く泳ぐためには、加速を意識に加える必要がある。ラクに長く泳げる泳ぎ方に、どのように加速を入れることができるかを練習で身につけることになる。マラソンスイムにおいては「より速く」泳ぐ意識は必要なく、劣化を防ぐためにストローク数を一定にするだけの加速で十分であろう。

 今回の最後のセット(1.05秒)は、ランニングでの心拍数140〜145の強度に相当した。実際の心拍数は110程度なので、これを6時間続けることは物理的には可能である。今後はストローク数を一定にするために必要な最小限の加速を加えることで、本番の泳ぎに近づける。

練習後の気分:8(スピードアップのアプローチが見えた)

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