2014年11月10日
TIスイム創設者 テリー・ラクリン
以前の投稿でも紹介したことのある アメリカ国防高等研究計画局の調査によると、イルカが泳ぐ時の効率80%に対し、人間が泳ぐ場合の効率はたったの3%ということが判りました。(イルカはエネルギー消費の80%を前進運動に使いますが、人間は97%のエネルギーを水の中で動き回ったり、水を動かすことに使っています。)

しかも、調査対象となったスイマーは、泳ぎが苦手という人たちではありませんでした。調査対象となったスイマー全員が、少なくとも、調査に参加するに十分な技能を持っており、泳ぎは得意だと思っている人たちでした。そして、エリートスイマーの効率は、9〜10%であろうと推定されています。 あのスン・ヤン選手でさえ、90%以上のエネルギーを無駄にしているのです。

それでも一般のスイマーに比べれば、ずっと効率がいいのですが、陸上競技選手(ノルディックスキーヤー、ランナー、サイクリスト等)の最高効率36%に比べると、はるかに低いのです。

私達のほとんどは、3〜8%の間であると思っていいでしょう。自分の効率が4%なのか、6%なのか、はたまた8%なのか、推測してみたくありませんか?

私は自分自身の効率を推測してみました。20年前、以前の泳ぎから魚のように泳ぐTIのストロークに変え始めた頃の私の効率は、5%くらいであったと思われます。そして、前ほど努力をしなくても大幅に加速できるようになった現在、効率は8%以上に上がったと楽観的に推測しています。

効率を判断するための私なりの解説(特定の距離のタイムからではなく、どれだけ気持ちよく泳げるかを測定の基準にしました。)を、段階的に分けてみました。例えば、どの段階の効率でも、泳いでいる間にどのような感覚を得るか、または、どのような能力を持っているのか等です。

自由形におけるスイマーの効率指標

(注: 人によっては、各カテゴリに説明されていることが、複数当てはまる場合があります。例えば、効率は5%かもしれないが、オープンウォーターではまだ楽によく泳げない等。)

1%〜2%
わずかな距離(数回のストローク)でもクロールを泳ぐことが困難で苦しい。(平泳ぎでは、もう少し長く泳げて、苦しく感じないとしても、それは考慮に入れません。)足が下がってしまって、浮いていることさえ困難で、息継ぎしようとしただけで、もがいたり、パニックになってしまう。

3%〜4%
1〜2分続けて泳ぐことができる。プルブイやウェットスーツ等のサポートを使ったり、定期的な休憩を挟めば、距離を1500mまで伸ばせるが、その後疲れきってしまう。トライアスロンをされている方の場合、自転車区間の一部を、スイムのリカバリとして使っている。 または、スイムがきついために、その後のレースに力を出し切れない。ゆっくりのペースで泳いでも疲れてしまうので、とても速く泳ぐことなどできない。どれだけ泳いでも上達しない。スイミングは良い運動になるが、楽しんでやっていると言うより、仕方なくやっている。

次のレベルに上がるために必要なのは、バランスです。

5%〜6%
水の中にいることがとても気持ち良い。1マイル(1.6km)を楽に泳ぐことができるので、5km(ハーフマラソンを走ることに相当)またはそれ以上を泳ぐことも可能である。オープンウォーターで泳ぐことに自信を持っている。トライアスロンをされている方の場合、スイムを終えた段階でもかなり元気であり、大体中位のグループには入っている。キックも息継ぎもリラックスして安定している。無理のない程度の力でペースをわずかにあげることができる。

次のレベルに上がるために必要なのは、さらに安定した姿勢と滑らかさです。

7%〜8%
水の中に居ることが一番心地良いと感じ、どの身体活動よりもスイミングが気持ちよく、満足感を得ることができる。キャッチや2ビートキックを含めたストロークは、最高85%の力と心拍数で行い、一体化してシームレスである。無理のない程度の力で、いつでも速度をあげることができる。10〜12週間準備に専念できれば、水泳マラソンは十分可能である。オープンウォーター競泳(トライアスロンのスイムも含む)では、大抵の場合、年代別のトップ5〜10%に入る。

次のレベルに上がるために必要なのは、効率の高い推進力を生むスキルです。特に、しっかりと水と捕らえることと、巧みな2ビートキックが不可欠です。

若さとスポーツに対する情熱に効率性が加えられれば、エリートの仲間入りができるかもしれません。しかし、中年またはそれ以上のスイマーは、技術(芸術さえも)を使って泳いでいるという感覚と、わずかなスイマーしか感じることのでない意識レベルなど、エリートスイマーになる以上の価値を見出すことに喜びを感じます。

9%以上
普段の練習で(時には競技中でも)、精神的に高揚した状態をたびたび経験する。実質的に常に水と共に調和していると感じる。それは、最大限に近い力で泳いでいる時も同様である。効率性を一時的に失っても、直ぐに原因を突き止めてストロークを調整し、元の流れに戻すことができる。自身のカイゼンに明確な意識を持っており、どんな些細な機会でも見逃さず、どのように対処するかを知っている。SPL(ストローク数)の増加やテンポの加速を、常に比例して、ペースの加速に変えることができる。

あなたはどのカテゴリーに含まれますか?

上記の説明であなたに当てはまるものがありましたか?自分の効率を推測する指標が他にありますか? 自分の進歩を確認しながら効率性のレベルを高くするのに役立つ、スキル向上に関するカイゼンの基準は作りましたか?効率性が上がると、きっと喜びも大きくなることでしょう。

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