2014年10月10日
TIマスターコーチ 永瀬 利得

永瀬コーチ

こんにちは。永瀬です。
今日は前回の息継ぎについての続編をお送りします。

この9月に横浜国際プールにて、第90回日本学生選手権が開催されました。オーストラリアで行われたパンパシ水泳からの連戦となりましたが、予想通り、パンパシ出場選手から多くの日本新記録が出ました。この中で、今回フィーチャーしたいのが50m自由形での内田美希選手の日本記録です。

彼女が打ち立てた25.02は2001年の源純夏選手が打ち立てた記録で13年間も破られていなかったものです。内田選手の予選レース、決勝レースと観戦しておりましたが、50mの際に呼吸回数は2回。スタートから12.5m通過までは無呼吸で、30m付近と40m付近で呼吸をしていました。

通常、クロールの場合、呼吸する際にフォームがやや乱れがちになることから、呼吸回数を減らすことがタイムロスを軽減するとされていますが、同時に、呼吸回数を少なくすることで体内の二酸化炭素濃度が上がり、力を発揮できないというリスクも負うことになります。

ビデオで確認してみたところ、呼吸動作におけるストロークのリズムが内田選手は圧倒的に上手なのです。50m種目ですからほとんどぶん回しているという表現がふさわしいと思いますが、そのぶん回しの中できちんとした呼吸動作ができていました。

他の大学生選手たちは、ぶん回すあまり、呼吸のタイミングとストロークのタイミングが異なる選手が多々見られます。つまり、呼吸になるとストロークのリズムが変わる(大体が遅くなる)のです。

たかが25秒程度のことなのですが、その差が1秒程度差がつくと言えましょう。

よく、「速く泳ぐためにストロークを速く回して…」という意見をお客様からいただきますが、あくまでも呼吸動作がしっかりできることが前提であって、むやみに回しても空回りやロスとなることを覚えておきたいものです。そのためには日頃から自分のストロークのベストなリズムを確認しておく必要があります。

TIでは、テンポトレーナーを利用してストロークリズムを可変させる練習を行いますが、まさにその練習から自分の最適な呼吸のできるストロークリズムを見つけておくことが肝要ですね。

 ©Easy Swimming Corporation