私は10月11日に、TI仲間であるスウェーデンのオレブロから来たレンナルト・ラルソンさんとフィンランドのヘルシンキから来たトミー・パティラさんと一緒に、ジブラルタル海峡を泳いで渡りました。18kmを5時間18分で泳ぎました。スタートしたスペイン沿岸付近での水温は18℃でした。海峡の中ほどでは19℃まで上がりましたが、モロッコに近づいた時には16℃まで下がりました。
これが、私達がジブラルタル海峡を泳いだ時の基本的な記録です。国際マラソン水泳協会が資格条件として加えた「ウェットスーツを着用しない」、「エスコートのボートに触らない」、「いかなる方法でも助けを受けない」等の規定も守りました。
私は、この横断泳を記録するのに約3週間を要しました。ひとつの理由としては、それ以後、TIコーチを訪問またはワークショップの指導のために、スペイン、フランス、ベルギー、オランダ、イギリス、そしてスウェーデンと休みなく回っていたからです。
しかし、それだけでなく、この横断泳が私達3人にとってどれだけ感動的なものであったかを、どのように伝えたらいいか迷っていたからです。そして、バリー・ショアさん(8月に彼について私が書いた記事があります。)からのメッセージが私にきっかけをくれました。
バリーさんの話は、私が50年間のスイム人生の中で出会った、最も感動的なものです。 彼はギラン・バレー症候群にかかり、2004年に彼の運動神経は完全に麻痺してしまいました。その後の数年間、彼は活動的で楽しい人生を取り戻すため、精神的なエネルギーと身体的なリハビリとして、水とTIの組み合わせを取り入れました。
これはバリーさんのメッセージです。「4,000マイル(6,400km)を達成しました。これは全て、泳ぐヨガである素晴らしいトータルイマージョンのお陰です。私はこのマイルストーンを祝うにあたって、喜びと達成感をエッセイにし、次の大きな目標である10,000マイル達成への力にしようと思っています。水の中で心地よく感じるのは、素晴らしい経験です。そして、毎日水の世界に3時間以上完全に浸っていられるのは、真の体外離脱です。」
私達のルートマップには、私達がスペインからモロッコまで泳いだことが示されていますが、実際にそれは持久力のテストではなく、コラボレーションであり、「喜びへの旅」だったのです。
仲間と泳ぐ
2012年9月にトルコで行われたTIオープンウォーターのキャンプで、レンナルトさんが、一緒にジブラルタル海峡を泳ぐことを提案してくれました。私は賛成し、彼は主催者(ジブラルタル海峡の水泳協会)に申し込みをしてくれました。
そして数ヵ月後、セント・ジョン島(米領バージン諸島)にあるマホ湾でのTIオープンウォーターキャンプで、トミーさんにも仲間に入らないか誘ってみました。これらのキャンプで一番楽しいのは、トミーさんやレンナルトさんなどの、多くの熱心な仲間と毎日何時間も泳ぐことができることです。
私はこれまで、何度も単独でマラソン水泳を行ってきました。ボートの横を9〜12時間(最高28.5マイル=約46km)泳ぎ、ほとんどの場合、孤独を感じていました。オープンウォーターで泳ぐ私の一番大きな喜びの源は、他のスイマーとふれあうことなので、このような単独マラソン水泳はそういった楽しみに欠けるものでした。
仲間がいれば、私はどんな距離でも喜んで泳ぎます。そして、その仲間がスウェーデンやフィンランドに居ようが、本番までの準備も 一緒に楽しみます。
私の喜びが最高に達するのは、泳ぎがシンクロした時です。シンクロするには、高度なスキルが必要で、とても難しいので、うまく揃った時は大きな達成感を得ることができます。
そして、スペインからモロッコまでの史上初のシンクロスイミングの試みを前に、私達はマホ湾でそれに成功しました。オープンウォーターでは、うねりや波によってコース取りとパートナーを常に視界に捕らえることが難しいため、泳ぎをシンクロするには、特別なスキルが必要となります。
そして、オープンウォーターでのシンクロスイミングがもたらしてくれるのは、達成感だけではありません。自然の美しさの中に、自分達人間が作り出した芸術が交わるという感動も与えてくれます。
私達TIスイマーのグループが、マホ湾を並んで静かに泳いでいるのを見ていた人たちは、私達は「魚の群れ」ならぬ、「ヒトの群れ」であったと言っていました。
2012年10月に投稿したブログ、美しさはスピードをも産む では、トルコのキラリで行われたTIオープンウォーターキャンプでの3kmスイム様子を紹介しており、このビデオも含まれて居ます。
ジブラルタル海峡を泳いでいる間の約90%、私達は並行して泳いでいました。特に印象に残っているのは、次の点です。
時間の超越
私達は完全にシンクロスイミングに入り込んでいたので、45分間のインターバルが15分間のように感じました。あまりに気持ちよくシンクロしていたので、私達全員がインターバルを中断するのがもったいないような気分になりました。
ほとんど苦を感じない
この横断泳前の2ヶ月間は、週に9kmしか泳いでいなかったにも関わらず(マラソン水泳の準備としては非常に少ない練習量である)、18kmを泳いだ5時間以上もの間、ほとんど疲れを感じませんでした。これは、TIの楽に泳ぐテクニックのお陰でもあるのですが、それよりも、触れるくらいの間隔で一緒にシンクロしていたレンナルトさんとトミーさんからのエネルギーを吸収したからだと思います。彼らも同じように感じだと言っています。シンクロスイミングは、お互いのエネルギーをリサイクルしているように感じます。
魔法の瞬間
完全に夜が明ける前に、毎日私達はタリファの大西洋側(レバンテの強風を避けるため)で1時間泳ぎました。泳いでいる間は、場所(右、中央、左、)を交換しながら常にシンクロしていました。太陽が昇った時に自分が太陽から一番遠い側で泳いでいると、太陽の日を受けてレンナルトさんとトミーさんのシルエットを見ることができました。彼らのTIフォームは、流線型のとても美しい線を描いていました。
モロッコの沿岸に近づくにつれ、水は冷たくなり、水の流れに逆らって泳がなければならず、岸に着くためには深く水をかく必要がありました。しかし、幸運なことに、私は左側を泳いでいたので、太陽が他の2人の後ろに沈んでいくのが見えました。ここでもまた、私は2人の美しいシルエットを眺めることができたのです。私はその美しさに感動し、困難に直面していることさえ忘れてしまいました。
今後も、この横断泳についての洞察と超越的な経験を紹介していきますが、今回この第一回の投稿ができたのは、バリーさんからのメッセージのお陰です。 |