2014年5月10日
TIスイム創設者 テリー・ラクリン

今回は、TIのゲイリー・フェイヒーコーチの投稿です。

ゲイリー・フェイヒー コーチ

今年の3月頃に、キックのテクニックに関するブログ がメールで送られてきました。そのブログでは、高い技術を持つスイマーは別として、主に6ビートキックを勧めていました。

この前提や以下の画像に示す例については賛同できませんが、長距離やオープンウォーターでは、足は、推進力よりも、主に安定性のために使うべきだという点には同意します。エネルギーを消費する勢いのあるキックは、とても長時間維持できるものではありません。

トータルイマージョンでは、さらに力を使うことよりも、賢明な選択によってスピードを上げることを推奨しています。これらの選択の中で最も基本的なもののひとつが、体幹の安定性を改善することです。これは、2ビートキックのスキルを習得する上でとても重要です。

私は生徒に、前に伸ばす手の深さをいろいろ試させています。それによって、手を水面から浅い位置に伸ばすと足が沈むことが解ります。しかし、深過ぎてもまた足は沈みます。

手を伸ばす位置が深過ぎると、腕と胴体をつなぐラインが崩れてしまいます。折りたたみ式の蝶番が付いたシーソーの板を想像してみてください。シーソーの片方に力を加えても、もう片方には何の力も働きません。しかし、その蝶番を開いて、折れないしっかりしたひとつの板にすると、片方に加えた力は、もう片方にも作用します。

前に腕を伸ばす最適な角度や深さを見つけることで、足が沈むのを避けることができます。水面から30〜40cmの深さに手を伸ばすと、身体のバランスがとれ、安定したストリームラインを作れる傾向にあるようです。腕を意識的に前に伸ばすことで、身体の緩みを取り除き、体幹が引き締められ、前後の結合が強化されます。

このブログで、コーチは、スイマーが行っている2ビートキックは、彼の全体的な動きに適していなく、その結果足が沈んでしまうので、6ビートキックを使うべきであると語っています。

これは、問題を誤って判断しており、余計なエネルギーを消費する結果となります。

手を伸ばす位置が深過ぎると(写真左)、伸ばした手から足までのラインが崩れてしまいます。蝶番が壊れてしまった板のように、前で作られた平衡性は、後方では作用しません。

もう5〜10cm水面に近い場所に手を伸ばせば、エネルギーは前に進む力となり、水中での姿勢がしっかりと安定し、足のバランスも保つことができます。

バランスの問題を修正できさえすれば、2ビートキックは、彼の泳ぎに有効になるだけでなく、膝を曲げる角度も縮小して抵抗をさらに減らすことができます。「安定性の改善」 = 「低エネルギーコスト」

左の写真(別の投稿から引用)と右の竹内コーチ(YouTubeでアクセスランキング1位のビデオから)の赤いラインを比べてみてください。竹内コーチの伸ばした手は左のスイマーより水面に近く、それによって、バランスが保たれたストリームラインが作り出されています。そして、彼の脚は後ろに綺麗に伸び、2ビートキックのエネルギーコストはゼロに近い状態になっています。

これが、足が沈まないための解決方法で、キック数も減ります。

このブログでは、足が沈んでしまう問題の解釈が誤っているのに加え、2ビートキックを2つのスタイルに区分しています。TIでは、キックと腕を伸ばす動作をつなげる竹内コーチの2ビートキックを推奨しています。

別の筆者は、このビデオのブルック・ベネット選手のように、とても速いテンポのスタイルを推奨しています。このスタイルでは、キックとストロークの水を捕らえる動作をつなげています。

速いテンポの2ビートキックは、極めて困難な泳法です。経験豊かなスイマーであれば可能ですが、ほとんどのスイマーには非常に難しく、極度に疲れてしまいます。 

ブログの筆者は、TIの2ビートキックを「キックスタート」と称し、「オーバーグライディング」という泳法を補うものであり、その有効性を否定しています。「キックスタート」2ビートキックは、ほとんどの泳ぎに(1ストローク/秒以上のテンポでは確実に)有効であると、私は思います。

どのタイプのキックを使うかには、賛否両論ありますが、ここでその全てについて議論はしません。ただ、改善を求めるスイマーたちに私が言いたいのは、力でなく効率性を選択することができるということです。

効果的なキックは、バランスと安定性から得ることができます。エネルギーを消費するのではなく、節約するという選択です。ほとんどのスイマーが、過剰にエネルギーを消費してしまっています。

ゲイリー・フェイヒー コーチは、1998年にトータルイマージョンの認定コーチになりました。彼は、 フォートローダーデールに拠点を置く彼自信の会社、ストローク・ドクター・スイミングを通して、フルタイムでスイミングの指導を行っています。彼が25年に亘って指導してきた競泳選手の中には、USオリンピック代表選考会に残るほどのレベルのスイマーがいます。

フェイヒーコーチの連絡先: gary@strokedocswim.com

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