2014年1月10日
TIスイム創設者 テリー・ラクリン

今週、雑誌記者からいくつか質問を受けました。その多くは、スイミングを始めるにあたって、親は子供にどのようなアドバイスや励ましをするべきかということでした。私はこれまで、少なくとも雑誌の取材では、何年もそのような質問を受けたことはありませんでした。そして、自分自身の答えに驚かされました。例えば、スイミングコーチとして約40年、最初に競技に出てから50年近く経ち、今一番スイミングを楽しんでいるにもかかわらず、ユーススイムチームに入ることを快く推奨することができなかったのです。親が関心を持つようなトピックに関する記者の質問とそれに対する私の回答をいくつか紹介します。

競技に参加すること、または、単に運動として、スイミングを子供に勧めるべきだと思いますか?

3つの理由から、スイミングを習うことは、すべての子供の発達における経験の一部であるべきだと思います。

(1) 水害から自分の身を守る。

(2) 学校または読書などを通して子供たちが得る知的学習を補うための身体的学習として有効である。身体活動の中でもスイミングは独特で、進化論的な意味で、私達には縁遠いものです。従って、スイミングを習うには大変な努力が必要となり、それによって、困難に直面した時に必要な時忍耐力、問題解決能力、粘り強さが養われるのです。

(3) 生涯楽しめるスポーツである。運動は、スイミングによって自然と起こるべきもので、運動そのものが一番の目的であるべきではではありません。競技に出ることは選択のひとつです。しかし、残念なことですが、競技に出る大部分の若いスイマーは、学習や質の高い経験を犠牲としながら、日々淡々と機械的に繰り返される練習によって、精力を使い尽くしてしまうか怪我をしてしまいます。親はこの事実を認識した上で考慮すべきでしょう。

水泳競技に出ること、または、健康のために泳ぐことは、子供の水中での自信につながり、運動能力を高めることになると思いますか?

もし、子供がスイミングを大好きだと思えるようになれれば、身体を動かすことを一生好きでいられると思います。大好きになれば、少なくとも長く続けるでしょう。私が子供の時に一緒に泳いでいた90%以上の人を含め、あらゆる距離を泳ぐ能力はあっても、反復的なトレーニングを何年も続けた後、泳ぐことの楽しさを忘れてしまった競技スイマーは数え切れないほどいます 。

マスターズのスイムチームにいた親を持つと、早い時期に運動の大切さを学ぶなど、子供にとって良い影響を与えると思いますか?

親が運動を楽しむ姿をいつも見ている子供は、運動することは望ましく、有意義なことだと、自然と思うようになると思います。マスターズのチームに入ることもそのひとつですが、そのような形に拘らず、個人的な目標を持ってスイミングを楽しむ人もいるでしょう。

競技に参加することは、子供のやる気を促し、潜在能力を発揮させ、スイミングに夢中にさせる良い方法だと思いますか?

以前はそのように思っていましたが、今は違います。約30年以上競泳を指導してきましたし、自分自身今でも競技に参加していますが、今の私は、子供を競泳の道に進ませることを強く勧めることができなくなりました。これまで、子供たちがストロークの指導や修正、フィードバックも受けずに、ただ容赦なく泳がされているのを、私はいろいろな場で何度も見てきました。もし、子供がスイムチームに入ることに興味を示したら、運動能力ではなく、スキルを向上させるための練習に重点的に取り組んでいるチームまたはコーチを探すべきだと思います。 

スイミングは家族で一緒にできるスポーツだと思いますか?親が子供に指導することは可能ですか?

一番望ましいのは、親がスイミングを楽しみ、それに感謝し、常に向上しよう、学習しようという姿勢を子供に見せることです。前にも言いましたが、運動は、それ自体が目的ではなく、自然と起こるべきものなのです。

家族で一緒にスイミングをしたいと思っている家族に、何かアドバイスはありますか?

スイミングを好きになれるように、是非楽しんでやってください。

 ©Easy Swimming Corporation