2013年10月10日
TIスイム創設者 テリー・ラクリン

スイミングを始める時、あなたはまず脳を鍛えますか?それとも肺や筋肉を鍛えますか? もし、脳や神経系(または神経筋)への活性化を考えてスイムセッションを計画した場合、それは、神経系志向のトレーニングと言えます。一方、主に心肺機能を高めることを目的としたリピートやセットは、有酸素志向のトレーニングです。 両方とも健康的な老化のために有効なトレーニングですが、どちらに重点を置くべきかを考えてみましょう。

自分が神経系志向なのか、有酸素志向なのか判断がつかない場合は、次のことを考えてみてください。もし有酸素トレーニングに重点を置いた場合、脳の健康が促進されるであろう方法で、脳が活性化される保証はありません。そして、脳への刺激の質を落とす可能性も十分にあります。しかし、神経系トレーニングに重点を置いた場合は、必ず質の高い有酸素トレーニングが行えます。

両方のタイプの典型的なトレーニング例とそれぞれの効果について説明します。

有酸素トレーニング:200m x 12本、1本毎に30秒の休憩

このようなトレーニングの場合、50歳前後のスイマーは、200mを平均3分ほどで泳ぎます。一本毎に30秒の休憩を入れた場合、6対1の比率(3分泳ぎ、30秒休む)で、大体42分かかる計算になります。このように、短い休憩で比較的長い時間泳ぐインターバルトレーニングは、持久力と心機能を強化します。また、徐々に加速/減速、速く/ゆっくりを交互にやるなど、一定のペースから変速ペースに変えることによって、有酸素パワーや酸素摂取量をさらに高めることが可能です。

しかし、このようなトレーニングの欠点は、多くのスイマーが、単調な運動を42分間続けることによって飽きてしまい、“精神的自動操縦”状態に入ってしまったり、集中力を失ったりしてしまうことです。泳ぎ始めたら、後は本数を数える以外にほとんどやることがないからです。

神経系トレーニング:(200m x 3本、1本毎に30秒の休憩) x 4セット

1セット目と2セット目(または1と3):次のことを意識してそれぞれ200m泳ぐ。
首の力を抜く — 想像上のレールを真っ直ぐ進む — しっかりと腕を伸ばす

3セット目と4セット目(または2と4):次のストローク数でそれぞれ200m泳ぐ。
13〜14 — 14〜15 — 15〜16(または次のテンポで泳ぐ。1.15 — 1.10 — 1.05)

このように泳ぐと、全てのラップとストロークに集中する必要があります。フォーカルポイントを決めて泳ぐ場合、各ストロークの感覚を確認し、それを頭でイメージしたものと比較すると共に、認知ニューロンと運動ニューロンをつなぎ合わせます。そして、ストローク数を数えて泳ぐ場合、それぞれのストロークの長さを調整し、さらに次の200mで再調整する必要があります。

神経系トレーニングの全体の時間と運動と休憩の比率は、有酸素トレーニングと同じなので、持久力と心機能は同じように強化されます。しかし、ニューロンに目的を与えることによって、認知的予備力もさらに高められます。このように脳に知的刺激を与えることで、80歳を過ぎても鋭い頭脳を持ち続ける可能性を高めることができると神経科学者たちは言っています。

Mens sana in corpore sano. これは、ソクラテス以前のギリシャ哲学にある古代ラテン語の引用句で、「健全な精神は健全な身体に宿る」という意味です。神経系トレーニングに重点を置いたスイマーにとっては、この言葉は単なるスローガンではありません。

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