2013年10月10日
トータル・イマージョン代表 竹内慎司
グアムキャンプにおいて、1500mタイムトライアルを2回実施した。いずれも計時にはGarmin Swimを使用した。

○9月5日 タイム:23分58秒90 劣化率:7.6%
泳ぐ前に立てた戦略は以下の通りである。
 −5月に計測した23分52秒、劣化率11.1%を上回る。
 −テンポ1.05秒、ストローク数40を基本ペースする。
 −ウォームアップでテンポ1.20秒からスタートして無劣化の泳ぎの型を作り、テンポアップする。
 −最初のラップは慎重に泳ぎ、劣化を防ぐ。

最初のラップは軽い感覚で泳げたが、いきなり2ラップ目より劣化を感じるようになった。特に500m以降はストローク数も42〜43となり、ひたすら泳ぐ感覚であった。明らかに1カ月近い練習不足が原因である。このような状況でココス島往復のため量も質も目指していた5月と同程度のスピードが得られ、しかも劣化率は上回っていることが驚きであった。

泳いだ後の反省点は以下の通りである。
•劣化率を抑えることを目的に、同じペースで泳いでいると泳ぎが劣化する。ラップ毎ではなく、ラップの中でも変化を加える必要がある。
•無劣化の泳ぎ、ディセンディングの泳ぎを区別して、大きく泳ぎを変える。
•泳ぎが劣化したと感じたらディセンディングに切り替える。無劣化を意識してもカイゼン効果は薄い。

○9月8-9日 練習(40分程度)
遅いテンポで無劣化の泳ぎを作ってテンポアップする方法でまず50m45秒を切るスピードを得る。
次にディスタンスピラミッドにおいて、次の実験を行う。
1.各ラップの最初の20ストローク:無劣化で泳ぐ。キャッチとスイッチの型にはめたら前腕の形を維持したまま肘から先をゆるめる。
2.次の10ストローク:前のめり感を上げる道具を使う。
1) 頭を10cm沈める
2) 顔で水を押す
3) 入水する手を+20cm下げる
3.次の10ストローク+α(壁まで):キャッチ位置を水面下まで上げて型にはめる
1、2、3各フェーズにおけるテンポを0.05秒程度変えた。2が最も遅く、3が最も速い。
このサイクルを各ラップで忠実に守るようにして泳いだ。
8日はディスタンスピラミッド50+100+150+200をテンポ1.20、1.15、1.10秒で実施して距離が伸びてもタイムがほとんど劣化しないことを確認した。9日はテンポを1.10, 1.05, 1.00秒で行い、やはりほとんど劣化しなかった。ただしテンポ1.05秒からは無劣化の泳ぎにおいても手の入水後にわきの下を滑らせるようにして空回りを抑えた。

以上よりラップ毎のプランニングから、ラップ内の泳ぎ方の配分を変える方針に変更して11日のタイムトライアルに臨んだ。

○9月11日 タイム:23分18秒20 劣化率:3.2%
上記のラップ内配分を忠実に守った結果、ストローク数の変動幅は2以内に抑えることができ、非常に安定した泳ぎになった。1000mを越えたあたりより疲れが出てきたので無劣化のサイクルでも前のめり感を少し足し、さらにテンポを意識的に上げた。

タイムは5日よりも40秒短縮することができた。劣化率は最大で5%、最後は1%とほぼ最初のラップと同じスピードで泳げた。人生で最も速い状態を作ることに成功した。

2つのタイムトライアルの間は、2回のオープンウォータースイムセッションと2回のプール自主練習があっただけである。普段よりフォームをコントロールしておけば、戦略を変えるだけでタイム短縮が実現できることを示すことができた。なおオープンウォータースイムの1500mタイムトライアルでも25分という好成績を出すことができた。

9月までに長水路22分30秒という目標は達成できなかったが、6月から始めた練習によりスピードアップするための方程式は解くことができた。今後はさらにフォーム形成に磨きをかけることで、最小の練習量(11月〜2月はオフ)で3月に長水路22分30秒、そして短水路での21分台、20分台に挑戦する。

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