2013年8月10日
トータル・イマージョン代表 竹内慎司
1650ヤードを22分30秒で泳ぐ目標は、6月に定めたアプローチに従って地道に練習することで達成できた。その次の段階として長水路50mプールで1500mを22分30秒で泳ぐことを目標として設定して昨日練習したが、小規模なカイゼンの積み重ねになるのでモチベーションの維持が難しい。よくお客様に「木を見て森を見ず」ということを話しているが、自分が木ばかりを見ているような木がしてならない。

そこで現在の自分のタイムが、全米マスターズでどの程度に位置するのか調べてみた。
http://www.usms.org/comp/meets/toptimes.php 
USMS(マスターズ協会)は2003年より公認大会の記録が全てデータベース化されていて結果は一般に公開されている。非常にありがたい仕組みである。
−自分のタイム 距離:1650ヤード、タイム:22分28秒
−45〜49歳男子:62位と63位の間/総数108名
−全年齢区分: 421位と422位の間/総数不明(500名以上)

北カリフォルニアは最も競争が激しい地域なので、現在のタイムだとレースでは下から数えた方が早い順位になるであろう。

全年齢区分で100位以内に入ろうとするためには、過去数年の結果によると18分台を出す必要がある。45〜49歳の年齢区分では15〜20位、50〜54歳では十傑に入る。

果たしてこんなことが可能なのだろうか。よくわからないが、自分自身を究めるための目標としてはピッタリなので、実現可能性についてあまり考えずに行けるところまでやってみることにする。

1650ヤード19分とはどのような泳ぎなのか 
これまでと同じアプローチで考えてみる。 

◯目標達成のためのプロセス:(1)100ヤードペースの設定
400m以上の距離でタイムを縮めるには、まず100mのペースを考えることが重要である。マイプールはヤードなので以降は全てヤード換算となる。
今回の場合1140/16.5=69秒となるが、長距離を泳ぐ時の劣化幅として5%を考慮すると、69*0.95=65.6秒が目標のペースになる。

テンポを0.95秒とすると、65.6/0.95=69カウントになる。ターンとプッシュオフで12カウント使うためストローク数は(69-12)/4=14.25である。テンポを0.90秒とすると、同様に (65.6/0.90-12)/4=15である。

つまりテンポ0.95秒で14ストロークとなる泳ぎ方を続ければ目標が達成できる。
またはテンポ0.90秒で15ストロークである。

◯目標達成のためのプロセス:(2)アプローチの決定
すでにテンポ1.00秒や0.95秒で距離を泳ぐことはできている。そこで今回はストローク数を重視し、ターゲットストロークである14を中心にテンポを上げて持続力を高めることにする。なおストローク数をコントロールする場合、定めたストローク数で泳げている限りは空回りは発生しない。テンポが極端に遅くなることが問題になる。

1)ターゲットストローク数14でテンポを維持して泳ぐための技術を身につける。
2)ターゲットストローク数14、ターゲットテンポ0.95秒で泳げるようにする。
3)ターゲットストローク数14、ターゲットテンポ0.95秒を維持して泳ぐ距離を伸ばす。
4)ターゲットストローク数を変えずにターゲットテンポを0.05秒速くして3)と同じ持続力を得る。

現時点での練習におけるテンポ0.95秒のストローク数は17である。これを定常的に3減らすことになるが、これは加速を17.6%上げることになる。手や足、体幹、姿勢、動作、タイミングなど道具を総動員して実現する。

トータル:2300yd 41分 

○練習のテーマ:ストローク数の変化によるラクな加速
前日のピラミッド練習において、11ストロークのセットから14ストロークのセットに切り替わった瞬間、非常にラクに感じながら加速を加えることができた。

そこで今回は前日と全く逆の流れでディスタンスピラミッドを行い、どのような効果が得られるのかを確認する。

・フォーカルポイントスイム:200yd
ストローク数を調整する。14ストロークまで下げる。 

・ディスタンスピラミッド:4x200+4x150+4x100+4x50:12, 13, 14, 15ストローク
前日11ストロークでは無理があったので、12ストロークからスタートする。
距離を短くするに従い、加速を上げる。

12:200では気持ちのよいテンポ+0.2程度遅くして確実に12で泳げるようにした。以降は前の15ストロークのテンポをできるだけ引き継ぎ、加速を上げることで 12ストロークを達成した。
12→13:肩の回転角を抑えて安定感を高める。キャッチやフィニッシュの場所は12と同じ。
13→14:入水後に手を伸ばす速度を上げることでテンポを上げる。
14→15:ニューパラダイムにシフトする。

低ストローク数のときの加速を活かすことができたため、 最初の200のセットでは100ペースで14秒短縮した。次の150では9秒、100では11秒短縮して過去最速の1分12秒を出した。また50でも15秒短縮して1分7秒(ペース、タイムは33秒)となった。いわゆるダッシュではなく、ストローク数をコントロールして冷静に泳いでおり、かなりハードな2000を泳いだ最後にこのスピードを出すことができた点は評価できる。このペースで33ラップを泳げば、新しい目標が達成できることになる。 

今回のように12から13ストロークの加速を確実に上げて、テンポアップに従い加速を失わずに14ストロークを持続することが、基本的なカイゼンの方向になる。従ってしばらくの間はテンポトレーナーを使わず、ドリルとストローク数のコントロールで練習してみる。

なお休み時間は20秒とれると回復できる。ストローク数をコントロールする練習では20〜30秒の休憩を入れ、各ラップにおけるストローク数の達成に集中する。 

・イージー:100

練習後の気分:10(新しい目標設定ができ、泳ぎの中でも達成のための断片が見えた)

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