2013年2月11日
トータル・イマージョン代表 竹内慎司
冬はスイマーにとって楽しくありません。子供のようにスイミングスクールに強制的に通わされるならまだしも、自らの意志で水泳を練習しているみなさんにとって、この時期はもっともやる気が出ないのではないでしょうか。ということで今回は、「どのようにしたらやる気が出て来るのか」について説明しましょう。

●なぜやる気が出ないのか:考え方でやる気を出す

まず夏の暑い夜のプール通いと、吐く息が白い冬の夜のプール通いを比べてみましょう。夏の練習におけるやる気を「10」とすると、冬の練習におけるやる気はどのくらいでしょうか。

「10か、それ以上です!」という方、おめでとうございます!エリートTIスイマーへの道が拓けました。「脱ぐ服の多さ」「更衣室からプールまでの寒さ」「プールの水の冷たさ」「プール帰りの湯冷め」などでどんどん減点されるのが普通でしょう。やる気が減れば、鼻声だとか忙しいとかちょっとしたことでプールから遠のくようになり、次第に水泳が習慣でなくなってしまうのです。

人間の行動基準はとてもシンプルです。「快楽を求める」か、「恐怖や苦痛を避ける」ために行動します。冬の水泳練習は「苦痛が増える」と考えるから、やる気が下がるのです。やる気を出すためには、やる気が下がる理由について具体化して、その理由と水泳を行うと得られる快楽を比較して自分を説得することが必要になります。次を心の中で埋めてみましょう。

 A)私が今日水泳に行きたくない最大の理由は、「      」(だ)からです。
 B)私がもし今日水泳できたとすると、「     」というメリットが得られます。

A)とB)を比べてB)の方が優勢であれば、プールに行ってB)というメリットを得ることを今日の喜びとしてみましょう。充実した1日が送れるようになります。もしA)の方が優勢であれば、それをB)に近づけ、さらに下回るようにするには何ができるか考えてみましょう。

やる気を出すためには上達すること

さらに高い次元でやる気を出すには、「上達する喜び」を常に脳に与えることが必要になります。先ほどの快楽−苦痛の比較においても、上達する喜びが得られるようになれば快楽の度合いが上がるため、ちょっとした苦痛なら快楽を優先して行動するというわけです。

それではいつも上達する状態を作るためには何が必要でしょうか?それは「目標」と「ステップ」です。目標を定めることにより、「なぜ私は水泳を練習するのか」という問いに常に答えることができ、自らの存在を確認することができます。このプロセスにより自分の立ち位置と、進むべき方向が明確になります。

ステップは目標を達成するための道しるべです。車のナビゲーションと一緒で、いくつかのルートがあるかもしれません。その中で最適なルートを探し出して、一歩一歩前に進むのです。上達することは、目標に一歩ずつ近づくことを意味します。上達する自分を感じれば、練習が楽しくなりやる気も出てきます。

TIスイムでは、目的に合わせて技術課題が明確になっているので、様々な目標を設定することができます。またドリルやフォーカルポイントを使うことで、目標までの具体的なステップも作成することができます。単に25m×何本というように泳ぐのではなく、自分の進むべき方向と立ち位置がわかって着実に上達する方がやる気につながります。

効果を確認することでさらにやる気が出る

大人になって始めるスポーツとして人気があるのはゴルフでしょうか。ゴルフでは「狙ったところに飛ぶ」という絶対的な評価指標が存在します。コンスタントに狙ったところに飛ばせるようになれば、上達したということを意味します。

一方水泳は球技と異なり、すぐにわかる客観的な結果がありません。そこで効果測定が重要になってきます。

まず上達したことがわかるようにするため、前の状態と比較します。「よりラクに泳げた」「より速く泳げた」「より長く泳げた」のように、前よりも良くなった点を明らかにします。よりラクになったかどうかは主に感覚で評価します。「より速く」「より長く」についてはタイムや距離という指標を使いますが、このときの運動強度や心拍数も考慮に入れることが大切です。運動強度を上げずにより速く泳げるようになった方が良いわけですね。

このように感覚や指標を測定することで、効果を評価します。前の状態に比べて結果が良くなっていれば、効果が出た=上達したということになります。

「目標」「ステップ」そして「効果の測定」という3つの要素が、やる気を出し続けるためには大切です。目的に応じた目標設定、作成ステップ、効果測定の方法についてはセミナーで詳しく説明しましょう。

 

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