2012年11月10日
トータル・イマージョン代表 竹内慎司
こんにちは。トータル・イマージョン代表の竹内慎司です。
私は11月3,4日の2日間、香港でワークショップを行いました。今回はそのときの様子について、文化的背景をふまえながら報告します。

◎白人ばかりのワークショップ
TIスイムの指導地域を急速に広げるため、海外では現地の水泳指導会社と提携し、ワークショップを行うことにしました。香港ではFloatPlus社と提携することにより、準備期間4ヶ月でワークショップを開催することができました。

FloatPlus社はニュージーランド人のサンドラと、ご主人でイギリス人のロビンがスタートした会社です。後にオリンピック出場経験を持つカレンも加わり、その他のコーチと一緒に現在香港の3箇所のプールで大人と子供向けレッスンを提供しています。

これらのプールはフィットネスクラブに併設されていますが、クラブの歴史が古くメンバーには英国系の白人が多いようです。従ってサンドラの生徒達も大人子供含めて白人が圧倒的に多く、今回のワークショップでも9割が白人でした。

米国のワークショップ、特にカリフォルニアでは人種は様々です。英語が第二言語である方も多いので、こちらも時制や定冠詞の使い方、thとsやlとmの発音をあまり気にせずに話すことができます。ところが今回のワークショップでは白人ばかり、しかも聞きなれないクイーンズイングリッシュのためとても緊張しました。時制が変化する仮定法はできるだけ避け、定冠詞を入れるべきかどうか不安な時は所有格に変えるなどして切り抜けました。軽いボケやお客様への突っ込みもうまくいったようです。

◎和風スタイルで進行
今回はワークショップを2つに分け、土曜日はカンタンレベル(レベル1)、日曜日はレベル2として2ビートキックと加速について取り組みました。レベル1は13名、レベル2は11名が参加しました(うち両日参加は5名)。

米国のワークショップでは、この時期レースを一通り終えたトライアスリートの参加が圧倒的です。レースの反省を踏まえてスイムの効率改善を目指すのです。ところが今回のワークショップでは、見た目はトライアスリートっぽい筋肉質の方が多かったのですが、トライアスリートは3名でした。多くの方は健康目的に泳いでいるフィットネススイマーです。香港では暑すぎてトライアスロンの人気が今ひとつなのかと思いましたが、同じ時期に大きな大会が台湾で開催されていたのがトライアスリートが少ない理由だとあとで聞かされました。

進行はすべてTIジャパンの オリジナルカリキュラムに基づいて行われました。今回コーチとして入水したサンドラとカレンに対しては、TIジャパンの和風のサポートの仕方を7月のコーチ研修で教えていたので、日本のコーチのようにテキパキと動いてくれました。和風のサポートは洋風とは異なり、姿勢や動作についてかなり細かく指示します。最初はあまりの細かさにびっくりしていたお客様も、正しい姿勢を作るために必要であることがわかると 納得して受け入れるようになりました。

ワークショップでは、パズルのピースであるドリルを積み重ねることで、最初は当惑気味だったお客様が、全体像が見えてくるにつれてドリルの意味について理解し、意欲的に取り組むようになります。その変化をリアルタイムで見ることが、教える側にとっての醍醐味です。サンドラやカレンのお客様はすでにTIスイムを体験しているのですが、そのような方達も今回のドリルについて効果を納得していただくことができて良かったと思います。

◎30ストロークが20ストロークに
お客様の中で最も変わったのが、在香港英国領事の方でした。最初のビデオ撮影では息継ぎができず、途中で立ってしまったのですが、2日間のワークショップ後には続けて泳げるようになっただけでなく、ストローク数が10、タイムも13秒縮まりなめらかな泳ぎに変わりました。ご本人からは水泳に対する見方が180度変わった、こんなに楽しいものだとは思っていなかったとうれしいコメントをいただきました。

今後も私の日本出張に組み込む形で、香港のワークショップを定期的に開催する予定です。また英語によるグアムキャンプ、さらにフィリピンでのキャンプを開催することも計画しています。和風TIスイムの海外展開がおもしろくなりそうです。

 ©Easy Swimming Corporation