2011年12月10日
TIジャパン選手・育成クラス活動記録(TIシニアコーチ 中村大輔)
 
中村コーチ
TIジャパン選手クラスマネージャー兼選手育成クラス担当の中村大輔です。
 めっきり寒くなりましたが、いかがお過ごしでしょうか?
 今回は11月に出場した大会のレポートです。日程的にはなかなか大変でしたが、コーチとして興味深いデータを得ることができ、とても有意義な大会でした。

○東京都秋季水泳競技大会
 開催日:11月5日(土)〜6日(日)
 会 場:東京辰巳国際水泳場(短水路)

 10月の西部南部公認記録会に続き、辰巳国際水泳場での試合です。ジュニア世代の経験値・競技力向上が目的の大会のため、ここで辰巳デビューを飾る選手も多くいます。また1人につき、4種目エントリー可能な大会のため、得意種目に加え、これまで出場したことのない(経験の少ない)種目に挑戦する選手もおり、TIジャパンとしても実験的な意味合いの強い大会となりました。故に自己ベスト更新率は48種目中(リレー含む)37種目(80.8%)と非常に高いものとなりました。自分のスタイル(得意種目)がある一方で、他の種目がどれぐらいのレベルにあるのか、よく分かったことでしょう。

 今回、特筆すべきは11−12歳女子のメドレーリレーで前回の記録を2秒以上も短縮できたことです。メンバー全員のレベルが底上げされたこともありますが、泳順と担当種目を前回と変更したことが功を奏しました。また野口寿々子が得意の100m自由形を58秒38で1秒近く自己ベストを更新、同時に春季ジュニアオリンピック13−14歳区分の標準記録を突破しました。これらの結果にはとても満足しています。

 大会の結果はこちら→

○東京西部ブロッククラブ対抗戦
 開催日:11月13日(日)
 会 場:東京ドルフィンクラブ桜台スイミングスクール

 前週の秋季大会から2週続けての試合です。選手たちの体調やモチベーションはまずまずでしたが、1日5レースをこなした選手もおり、今回の自己ベスト更新率(33.3%)を見ると、やはり連戦による疲れが出ていたのではと分析します。しかしながらベストを出した選手の中には、これまでよりも1秒以上良いタイムを出した者もおり、一概にすべてが悪い結果だったとはいいがたい部分もあります。

 選手のみなさん、連戦お疲れさまでした。
 また年明けの大会に向けて、見直しと鍛錬を積んでいきましょう。

 大会の結果はこちら→

 先の西部ブロッククラブ対抗戦をもって、TIジャパンとしての年内の試合は終了しました。年が明けたら春季JOに向けての試合が目白押しです。気温もぐっと下がり、体調を崩しやすい時期になりました。鍛錬期で量をこなすクラブも多いですが、練習がキツくて食事がのどを通りにくい日もあることでしょう。しっかり栄養を取って、丈夫な身体を作りましょう。

  
タトゥー(Tattoo)と入れ墨(TIシニアコーチ 塚本恭子)
 
塚本コーチ
こんにちは。トータル・イマージョン、シニアコーチの塚本です。
 今回はタトゥーと入れ墨のこと、そして日本でのルールについて考えてみました。

 イタリアのフェデリカ・ペレグリニ選手は北京五輪の女子200m自由形の金メダリストで、現在の女子200m自由形、400m自由形の世界記録保持者です。高級ブランドのモデルも務める美貌の持ち主で、今夏開催された上海の世界水泳でも2冠を達成したので、ご存じの方も多いと思います。

 ウェブで知ったことですが、そんな彼女が成績不振のスランプに陥ったころ、フェニックス(不死鳥)になりたいとの思いから守り神として、首筋にフェニックスのタトゥーを入れました。その後、世界記録更新、北京五輪の金メダルと続いたことからフェニックスのタトゥーは彼女のシンボルマークになりました。日本の大手スポーツメーカーも彼女のフェニックスをデザインした水着などをペレグリニ・コレクションとして発売しています。ウェブ検索をかけると、彼女のフェニックスの画像を見つけることができます。

 そんなタトゥーの日本語訳は「入れ墨、彫りもの、刺青」です。和と洋でデザインは違っていても、入れ墨とタトゥーは同じものです。そして、日本での入れ墨に対するイメージはいいものではありません。一部で「ファッション・タトゥー」と表記して入場を許可しているプールもあるようですが、日本のプールやスポーツクラブでは入れ墨がある客の入場を禁止しているところがほとんどだと思います。

 私の地元の隣町ではブラジル出身の人が多く住んでいます。スタイルのよい彼らは露出の多い服装を好みますが、そこからタトゥーが見えることも多々あります。夏の屋外プールでは日に焼けた肌に気に入ったデザインのタトゥーをほどこした姿を惜しむことなく披露しています。

 プールへの入場を禁止されているから当然なのですが、私はいわゆる日本の「入れ墨」に該当するようなデザインのものを見たことがありません。「ファッション・タトゥー」に該当するのだろうな…というものならあります。同じタトゥーでもトライバルというデザインだと、少々いかついので近づきがたい印象を受けます。逆に筋肉がはちきれそうなほど太い上腕に子猫のタトゥーや間違った日本語(漢字)のタトゥーがあるのを見ると、そんな気がなくても笑いそうになります。

 話が脱線したので戻しますが、ルールとして存在する以上、日本のプールでタトゥー(入れ墨)をした人が泳ぐには確実に制限が生じます。タトゥーだけでなく、細かな制限はたくさんあります。外国のプールではピアスをしたまま泳いでも構いませんが、日本では外れて踏んだ場合まで考慮して禁止にしています。パドルを使って練習したくてもプールの規則で禁止になっているところも多いです。そういった制限の中でも日本にいるスイマーたちは水泳を楽しんでいます。

 今回、私のお客様(米国人女性)がタトゥーのために英語でのプライベート・レッスンを続けられなくなりました。アメリカンスクールの先生をしている彼女のタトゥーは亡き母親への想いをこめたものだと説明を受けました。彼女は弁明するからその場を設けてほしいと訴えましたが、残念ながら希望には沿えませんでした。私には非常に苦しい結果でした。人柄を知っている分、やるせなさを強く感じたのですが、例外もまたあり得ないのです。彼女には申し訳なかったけれど、日本のルールを理解してもらうしかありません。

 今回このようなテーマについて書いたのは、タトゥーを肯定しているのではなく、外国人と日本人とでは文化や習慣、意識に大きな違いがあると感じたからです。違いはあっても日本のプールで水泳を楽しむためには、守らなくてはならないルールや規則、自重すべき行為、またマナーについても考えてもらうことがたくさんあると思ったからです。こんなルール、守る必要あるのだろうか?と疑いたくなるようなルールが存在するかもしれません。しかし、ルールは守ってこそ意味があるものだし、価値も生まれます。また、そのルールによって自分たちも守られているのだと、あらためて思うのです。

【編集後記】▼ワークショップでおなじみの若月和雄コーチが11月中旬に行われたカンタン・クロールWSの様子を紹介してくれました。参加されたお客様に「私、あなたに水泳を習って人生が変わったわ」と言わしめたのはコーチ冥利(みょうり)に尽きます。さすがは年の功。▼加藤コーチのサロンこぼれ話も今回はサロンを離れて仙台に行きました。大震災で中断していた仙台WS再開のレポートです。▼コーチ短信は中村コーチのTIジャパン選手・育成クラス活動記録。塚本コーチはタットゥーと入れ墨の話です。レッスンの国際化にともない、日本人と外国人の意識や文化の違いが思わぬ足かせになるということでしょうか。▼2009年12月からの2年間、TSMの編集を担当してきました。25回目になる今月号の発行をもちまして、後任の塚本恭子コーチと編集長を交代いたします。長い間、ご愛読いただき厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。(TIコーチ 中井博行)
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