▽ループを閉じる― 習慣、ニューロン(注1)、そして水泳の上達
1990年代の半ばから水泳の上達とトレーニングにおける神経系の側面に関心を持ち始めましたが、10年後も詳しく述べられたものはなく、まだ全般的なものでした。それは2007年にダニエル・コイル(注2)の「How to Grow A Super Athlete」の記事を読んだときに変わり始めました。2年後にコイルは「The Talent Code」という本を出版しました。その記事はたいへん意外な事実に基づいて書かれていました。
彼が書いたのは、計画的な練習(アンダーズ・エリクソンによって解説される)の習慣が脳の基盤に注目すべき変化を作り出し、ほかに類を見ない力を持つことでした。コイルは、エリクソンと彼の同僚によって行動心理学で研究された試み(スポーツ、数学、音楽、チェスなど)と同じ範囲で、この現象を文書化しました。
私はたいへん興味をそそられ、もっと学ぶため、熱心にウェブ検索を始めました。このことは、ジョン・レイティー(注3)の「Spark:The Revolutionary New Science of Exercise and the Brain」、バーバラ・ストローチ(注4)の「The Secret Life of the Grownup Brain」など、ほかの本に導きました。
これらは(@)最も重要な脳の適応は思考と動作が合併するときに起きるように見えたこと、(A)中年の脳には適応して進歩する潜在能力があり、それらはいまだかつて認識されていなかったことを明らかにしました。TIが長年にわたって成人スイマーに教えてきた、まさにその意識と行動のセットで、両方ともプロデュースしてきました。
この研究から得た重要な見識は、水泳の上達のあらゆる面を脳の役割がコントロールしていることでした。
・可能性と前向きな期待のはっきりした説得力のあるビジョンを生成すること
・基本的な技術から、より進歩した技術へ進むこと
・停滞に直面したときの反発力と状況を変えることへの適応性
・情熱の火花を燃やして、継続的な改善に専念すること
神経生物学研究室からのこれらの意外な事実は、等しく価値ある何か(脳を訓練するための詳細なガイドライン。水泳の上達方法が心臓、肺、筋肉が体の動きにどのように反応するかについて集中していた1世紀以前ではほとんど問題にされていなかった考え方。
この新しい研究は脳と神経系のためにはるかに大きな役割を指し示した)を提供しました。そして、立案(designing)、学習(learning)、練習(training)を脳にどのように割り当てて処理するかによって、技術を学び、持久力を向上させ、スピードを構築する方法について、はっきりした方向を提供しました。
このことの理解は、どんな年齢でも、どんな技術レベルでも、水泳を学び、練習して、上達するためのすべてを含んだ最初の完全に論理的な根拠に基づくガイドをTIコーチとスイマーに提供します。初めて水泳がそれ自身の統一場理論=Unified Field Theory(注5)を持つことができたとさえ言うかもしれません。(完)
(注1)ニューロン:神経細胞(しんけいさいぼう、ニューロン、neuron)は、神経系を構成する細胞で、その機能は情報処理と情報伝達に特化しており、動物に特有である。(Wikipediaより抜粋)
(注2)ダニエル・コイル(Daniel Coyle):雑誌「Outside magazine」の編集者。ニューヨーク・タイムズのベストセラー「Lance Armstrong’s War」の著者。
(Amazonの著者についてより抜粋)
(注3)ジョン・レイティー(John J. Ratey):ハーバード・メディカル・スクールの精神医学臨床准教授。(Amazonの著者についてより抜粋)
(注4)バーバラ・ストローチ(Barbara Strauch):ニューヨーク・タイムズの健康と医学担当の副科学編集長。(Amazonの著者についてより抜粋)
(注5)統一場理論=Unified Field Theory:様々な力を統一しようとする場の理論のこと。最終的には自然界の四つの力をすべて統一しようという理論的試み。
(Wikipediaより抜粋)
http://www.swimwellblog.com/archives/1164 原文 |