テリー・ラクリン
A Brief History of TI(Part 4) by Terry Laughlin
2011年8月10日

A BLOG FROM TERRY LAUGHLIN "SWIM WELL (AND LIVE WELL)"より転載

▽2003年〜2007年 卓越(Excellence)の研究
 2003年の前半、一週間にわたるカイゼン・キャンプの最初のプール・セッションで、とても優美に泳ぐ参加者がいました。私は彼がどこで習ったのかを尋ねて、私が指導した前年の週末ワークショップに出席していたことを思い出しました。彼はそのワークショップの終わりに、たどたどしいクロールでやっと25ヤードを泳ぎきりました。その1日前は、まったく泳げなかったのですから、それさえも大きな成果でした。どのような方法で、驚くほどの進歩を遂げたのかを彼に尋ねました。すると彼はプールから25マイルのところに住んでいて、アドバイスやコーチもなしに、自分自身をコーチとして泳いでいたと教えてくれたのです。

 開いた口がふさがらないほどの彼の進歩から、特別な才能を持たない普通の人が驚くほどの成果を上げる方法について、とても興味を持つようになりました。これより数年前、私は2冊の本を読んで啓発されました。ジョージ・レナード(注1)の「Mastery」とミハイ・チクセントミハイ(注2)の「Flow」です。それらは、私をそれらに導いたTao(道)とZen(禅)の本の技術熟達レッスンを通して、個人の成長を補強しました。また両方の本は、実質的に私たちはみんな、能力の欠如よりもビジョンの欠如によって、はるかに多くの制限を受けると言いました。そして最終的にTI練習方法(水泳の主流のアウトサイドとはいえ)が確固として人間の潜在的な運動能力(Human Potential Movement)を拡大する流れの中にあったということを確認しました。そして、もっとありました。

 生徒たちは「考える練習」が著しい進歩と予想外の情熱の両方もたらすことをすでに私たちと共有していました。レナードとチクセントミハイは、卓越(Excellence)の追求は基本的によりよい人生を送る方法を発見することであると、はっきり主張しました。レナードは「巡ってくることを受け入れるよりはむしろ、あなたの人生を選びなさい」と書きました。チクセントミハイは「外部の力によって支配されたと感じるよりはむしろ芸術作品としての人生を送る」と書きました。

 私の最新の調査は新しくて刺激的な確証を運んできました。1980年代から世界中の科学者は、スポーツ、数学、音楽、チェスのような分野のパフォーマンスを正確に測り、時間とともにプロットする、多くの研究を指導してきました。アンダーズ・エリクソン博士(注3)と2人の同僚による著名な新聞(ニューヨークタイムス)への記事掲載(2006年5月7日)で最高点に達しました。

 彼らの研究はほとんど一般的なパターンを説明しようと努めました。たいていの分野では、大多数の人が初めは早く進歩して、それからゆっくりになり、そして、まったく発展が止まります。一方では少しの人が何十年も進歩し続け、やがては大きいことを成し遂げます。それは、これらの人々を区別する遺伝形質なのでしょうか?

 何度も何度も、彼らは人生における私たちの成功の大部分が天賦の才能の結果でないことに気づきました。それどころか、訓練と一貫性をともなうならば、心構えと習慣の明確なセットは、選ばれた分野で抜きんでる機会を誰にでも与えます。 彼らはこれらの行動を分類して、それらに「計画的訓練(Deliberate Practice)」という名前を与えました。

 その活動は:
 ・特にテクニックで、明確にパフォーマンスを向上させることに集中する
 ・絶えず、その人の快適さや能力レベルのすぐ先の目的を得ようとする
 ・意味があるフィードバックを提供するために組織される
 ・高いレベルの忍耐強さと高度に検討された反復を含む

 これらの性質はそれぞれ、TIが1990年代前半から主張してきた型にはまらない(水泳の)練習方法と完全に一致するものでした。レナードとチクセントミハイの考え方と相まって、それはさらに上手に泳ぐためのルールが上手に暮らすルールと同じであると言いました。

 水泳の方法から考える方法まで、私たちが通過したトータル・イマージョンの進化の経路は進行中だったことが明白になりました。TIは、ちょうど科学者のグループと同じくらい、才能を発揮する手段として基本的な生命技術を用いた卓越の研究に引き込まれていました。(続)

(注1)George Leonard:アメリカの作家、編集者、教育者。教育と人間の潜在能力について広範囲に書いた。またカリフォルニアに合気道の道場を開いた。(Wikipediaより抜粋)
(注2)Mihalyi Csikszentmihalyi:ハンガリー出身のアメリカの心理学者。「幸福」、「創造性」、「主観的な幸福状態」、「楽しみ」の研究を行う。著書『楽しみの社会学』でフローの概念を提唱したことで知られる。(Wikipediaより抜粋)
(注3)Anders Ericsson:フロリダ州立大学の心理学教授

http://www.swimwellblog.com/archives/1154 原文

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