2011年7月10日
パオロ・カリニャーニさん(TIシニアコーチ 塚本恭子)
 イタリア人指揮者のパオロ・カリニャーニさんが2年前に来日したとき、船堀で4回ほどレッスンをしました。そのパオロさんが再び来日するとのことで、お会いしてインタビューする機会がありました。

塚本:お久しぶりです。本当なら5月に来日して、1カ月ほどの滞在予定だったと聞いていたのですが、6月になったのは、やはり地震の影響でしょうか。
パオロ:そのとおりです。両親・友人がみんな心配して引き止めました。ヨミウリ(読売日本交響楽団)にも行けないと伝えたのですが、他のゲストも相次ぐキャンセルで困っていて…。私も心配してくれる人を置いての来日はできずにいましたが、ようやくみんなが納得してくれて、私も来日できたのです。
塚本:パオロさんを始め、皆さんの勇気に感謝いたします。では早速インタビューをさせていただきます。

コンサート後の打上会場にて
パオロ・カリニャーニ氏

質問1:パオロさんの仕事は、9時〜17時で区切りがつくものではないですが、どのようにしてプライベートと仕事を分けているのですか?
パオロ:時間で区切っているんです。(笑)
10時〜13時はリハーサル、13時30分〜14時30分ランチ、14時30分〜16時シエスタ(昼寝)、16時〜18時スポーツ、18時〜23時オペラハウス、といった具合です。
質問2:2年前はiPodにピンクフロイドが入っていましたが、今好きな音楽は何ですか?
パオロ:ブラジリアン・ミュージックやジャズ(ビル・エバンス)を聴いています。
質問3:なぜトータル・イマージョンに共感していただいているのでしょうか? パオロさんの人生観に通じるものがあるとか。
パオロ:「力まかせに泳ぐのではない」のが好きです。泳ぐことは、私の人生におけるアートなんです。アートは常に新しいものを求めますが、TIもそれだと思います。
質問4:泳ぐ時のフォーカルポイントは何ですか? いくつかあるかも知れませんが、一つに絞って回答をお願いします。
パオロ:自分とその場の人のすべてが気持ちよく泳げることです。
塚本:今回はスケジュールが合わず、レッスンができませんでした。優雅に泳ぐ姿を見たくて楽しみにしていたのですが…。
パオロ:できることならグアムキャンプに参加したかったです。(笑) 次回は必ずレッスンをお願いします。
塚本:こちらこそ、よろしくお願いします。それとインタビューを受けていただいてありがとうございました。次回の来日を楽しみにしています!
パオロ:チャオ!


【読売日本交響楽団公式ページ 2009年7月来日時のパオロさん紹介記事】
 http://yomikyo.or.jp/2009/07/post-108.php
【今回の来日で、6月16日、17日、23日、25日に行われたコンサート】
 http://yomikyo.or.jp/2010/09/201106161900.php
 http://yomikyo.or.jp/2010/09/201106231900.php

TIジャパン選手・育成クラス活動記録(TIシニアコーチ 中村大輔)
  TIジャパン選手クラスマネージャー兼選手育成クラス担当の中村大輔です。
 さて今回は先月の予告通り、6月に実施された競技会を総括します。執筆してくれたのはコンディショニング担当の山口工コーチです。当日の会場の雰囲気を彼が事細かくレポートしてくれました。

▽競技会レポート(TIコーチ 山口 工)
 2011年6月12日に東京ドルフィンクラブ・桜台スイミングスクールで「東京都西部ブロック公認記録会」が行われました。TIジャパン選手クラスと選手育成クラスから17名の選手たちが出場しました。先月のトータル・スイム・マガジンで紹介した選手育成クラスの3名も堂々としたレースをしました。試合前に掲げた目標タイムに少し届かなかった種目もありましたが、全体としては好タイムで初レースを終えることができました。

 しかし会場入りしてからのウォーミングアップやレースの準備など、まだまだ試合経験の少ない選手育成クラスには様々な関門がありました。今回の試合は参加チームに対してコースが少ないため、時間帯を分けてウォーミングアップを行う形式でした。選手育成クラスが準備に時間がかかっている間に、他のチームはすでにウォーミングアップを始めていました。

 選手クラスは慣れたもので、一人ずつ入れそうな間にポンポン入っていきました。しかし育成クラスの子たちはそうはいかず、他のチームの子が前に入れてくれると言ってくれても、どうしていいのかわからずアタフタするばかりでした。選手クラスにはおおまかなメニューを伝え、各自行うようにしてもらい、私は育成クラスのメンバーの近くで「遠慮することはないから、いつも通りしっかり体を動かそう!」と声をかけ続けていました。

 待ち時間の間も緊張からか、育成クラスのメンバー同士で「何秒が出ないかも」と皆で話していたので「タイムは頑張った分だけ後からついてくるから、思い切って泳いできなさい」と話をしました。試合が始まるとコーチは召集所の手前までしか付き添えないので、レースが近い選手コースのメンバーに一緒に行ってもらいました。今回は選手クラス・選手育成クラスが一緒に試合に出場して、選手クラスのメンバーがとてもよく育成クラスのサポートをしてくれました。皆が自然と不慣れなメンバーをサポートしている姿は、コーチとしてはとても心強く、とても嬉しかったです。

 試合後に思ったようにタイムが出なかったことで少し落ち込んでいる選手育成クラスのメンバーもいましたが、悪かったところは次の試合までに改善して、楽しいレースができるよう頑張っていこうと伝えました。

 選手クラスがあり、その下に選手育成クラスがあり、上のメンバーが下のメンバーの足りない部分を補う。そういったことが自然と少しずつチームの中に浸透してきたように感じます。今後、より一層チームとしての一体感が増すよう、私も精一杯指導にあたりたいと思います。

<競技会結果>
吉田  新:50m自由形 28.01 50mバタフライ 30.74
細川 大介:50m自由形 26.87 100m自由形 58.75 50mバタフライ 28.58
亀田 靖峻:50m自由形 31.48 50m平泳ぎ 42.30 50mバタフライ 38.43
野口 栄典:50m自由形 36.11 50m平泳ぎ 46.64 50mバタフライ 39.01
岩崎  優:50m平泳ぎ 51.30
武田 蓮星:50m自由形 39.56 50m平泳ぎ 50.38 50mバタフライ 47.21
橋本 陽向:50m自由形 33.83 50m背泳ぎ 38.07
細川 陽平:50m自由形 39.06 50m平泳ぎ 51.07

川口 七海:100m自由形 1:08.19 100mバタフライ 1:14.48
浅田 慶子:50mバタフライ 29.79
川口 海央:100m自由形 1:06.09 100mバタフライ 1:13.50
天野由花子:50m自由形 30.97 100m自由形 1:08.41 50mバタフライ 33.39
坂本 実希:50m自由形 29.57 100m自由形 1:04.03 50m背泳ぎ 34.82
小泉あかり:50m自由形 40.55
眞田 幸乃:50m自由形 36.20 50m背泳ぎ 45.28 50m平泳ぎ 46.36
松浦優美奈:50m背泳ぎ 37.33 100m自由形 1:08.19 200m個メ 2:47.82
清水 千聡:50m自由形 39.13 50m背泳ぎ 46.27

TIジュニア選手たちの力泳!

 山口君、レポートありがとうございました。シーズンも本格的にスタートし、この先も各種競技会やJO予選など試合が目白押しです。今回デビューを飾った選手たちも常に自己ベストを目指して、高い目標を持って練習に取り組んでもらいたいです。

【編集後記】▼今月号も盛りだくさんのTSM記事はいかがだったでしょうか。▼日本人で最初にドーバー海峡を横断した大貫映子さんの講演とコラボしたオーシャンスイム特別練習会はたいへん好評のようでした。日本のOWS先駆者の話には説得力があると思います。▼トライアスリートに人気の船堀サロンで加藤コーチの基礎レッスンを受け、吉野コーチが10月下旬に企画する宮古島トライアスロンキャンプで実践練習、そして翌年にデビューというコースが定番になるかもしれません。▼塚本コーチがインタビューした国際的な指揮者のパオロさんが「水泳は私の人生におけるアート。アートは常に新しいものを求める。TIもそれだ」と話してくれたことが「TIの歴史(3)」でテリーさんが書いている「Swimming is a Movement Art」と重なりました。▼OWS、トライアスロンだけでなく、競泳でもTIのジュニア選手たちが頑張っています。これからも彼らの活躍に期待して応援して行きたいと思います。(TIコーチ 中井博行)
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