8月26日から30日までの5日間、東京辰巳国際水泳場を舞台にした日本水泳連盟主催の「第33回 全国JOCジュニアオリンピックカップ 夏季水泳競技大会競泳競技」が開催されました。TIジャパン所属の野口寿々子選手(12歳・中1)が女子100m自由形(11〜12歳)で決勝に進み、1分00秒60の記録で7位に入賞しました。
この大会は通称「JO」と呼ばれ、全国のスイミングクラブで練習するジュニアの選手たちが夏休みの目標とする団体(クラブ)対抗戦です。日本水泳連盟の公式・公認競技会で指定された標準記録を突破した選手がJOに出場できます。野口選手は5月29日と30日の「東京都西部・北部ブロック合同公認記録会」で、50mと100m自由形の標準記録を突破、本大会への出場切符を手にしました。
野口選手を育てた永瀬利得TIマスターコーチに話を聞きました。
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野口選手と永瀬コーチ |
―2007年9月にTIジャパンのホームプールとなった荻窪スカイフィットがオープンしましたが、ジュニアの選手コースがスタートしたのはいつからですか?
永瀬 日本水泳連盟に競技者登録をしたのが、1年後の2008年10月。実質的にそれがスタートです。
―スタート当初のジュニア選手の人数と現在のジュニア選手の人数を教えて下さい。
永瀬 スタートしたときは2名です。今年の8月末時点では14名の在籍です。
―今回JOで決勝に進出した野口選手はいつから参加しましたか?
永瀬 野口寿々子が参加したのは2009年1月の新春大会からです。
―野口選手のタイムはどのくらい伸びましたか?
永瀬 2008年11月に行われた西部ブロック対抗戦で、前の所属チームのときに50フリーで33秒2、TIジャパンに移籍してからの最初のレースが50フリーで32秒0でした(上記2009年1月の新春大会です)。今回のJO予選(7月25日)では50フリーで28秒2を出すことができましたから4秒縮めることができました。100m種目は移籍後すぐにレースに出す機会がなかったので、どのくらいの伸びがあったかは定かではありません。
―自由形100m種目でのJO決勝進出がTIらしいと思いますが、TI流の指導効果はどんなところに出ましたか?
永瀬 彼女の場合、瞬間的なパワーというよりは、無駄な力を排除した泳ぎを作ることができたというところにTIらしさが出たと思います。今回のラップでも前半の50mが30秒1、後半50mは30秒4でした。後半もスピードが落ちない効率のよい泳ぎでした。
―選手コースのTI流練習構成を教えてください。
永瀬 アップ終了後、必ずドリル練習を行います。ドリルからできるだけ泳ぎの良い部分をピックアップして、自身の泳ぎに結び付けていくことです。
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TIジュニア選手コースの練習風景 |
―ジュニア選手の可能性を引き出すために心がける指導はなんですか?
永瀬 「泳感」を大切にしています。泳いでいる個人がどのような感触、フィーリングを持っているか。例えば、泳ぎを見て、タイムもフォームもいい泳ぎになっている時には、泳ぎ終わったあとにすぐに声をかけます。良い状態のときの水の流れる感触、水の重さやフィーリングを覚えさせています。
「ああ、いい泳ぎってこんな感じなんだ」と選手に納得させることが重要だと思っています。私がいなくてもその感触を喚起させるには、どのようにしたらいいのかを日々、準備させるのが、練習だと思います。それとやはり、TIの完成度の高いドリルでしょう。元々の癖はなかなか取り除くことはできませんが、TIドリルの場合、すんなりと癖の排除ができます。ただ、排除した状態からトップスピードまで続けられるかに葛藤していますが・・・。
もうひとつ重要視しているのは、明確な目標設定とそれに向けた準備段階を各自が把握できるように、毎週日誌をつけさせています。練習やレースでの感想、自分で感じた問題点と良かったところを書かせています。交換日記みたいになっていますが、選手が何を考えているのかを把握するには効果的です。
―野口選手のJO決勝進出は、ほかの選手たちにも刺激を与えたのでは?
永瀬 選手との間に信頼関係が構築できたと思います。コーチについて行けば、JOにも行けるぞといった感じかな。今の子供は、すぐどこかが痛いとか、ひ弱なところがありますから、上のレベルの選手がいるところとの合同練習やチームの先輩が後輩を教えるといったことで刺激を与えるようにして、モチベーションアップにつなげ、強くなってほしいと思っています。
―野口選手のあとに続く選手が次々に出てくることを期待しています。今日はありがとうございました。 |