2010年8月10日
TIコーチ 中井博行
TIスイムでは、動作をイメージしやすいようにTI特有の表現がよく使われます。

例えば「がまんの手(Patient Hands)」という表現を聞かれたことがあると思います。手を進行方向に伸ばして、前進中の体をできるだけ長い状態で維持することを「がまんの手」と表現しています。エントリーして前方に伸ばした手は、すぐにプルの動作に入ってしまいがちです。そこでプル動作をがまんして、できるだけそのままの状態にとどめておこうというものです。船は船体が長いほど船脚が伸びるという流体力学上の法則から考え出されました。

ほかにもいくつかありますが、今回は「2本のレール(Wide Tracks)」を取り上げて、イメージ映像の撮影を試みました。英語ではWide Tracks(ワイド・トラックス)と表現されているように体の両側を幅広の軌道が通っているというイメージから「2本のレール」と訳されています。

プールの中にどのようにレールを敷こうかと考えて、地元のホームセンターに行き、黄色と黒のトラ縞ロープを仕入れました。このトラ縞ロープを2本、水中で平行にピンと張れば、イメージのレールが現実のレールになります。コースロープのような取り付け金具を使うわけにはいかないので、TIスイムスクールのみなさんに協力してもらい、両側からロープを引っ張る「人力のレール」を敷きました。

水中に敷かれた2本のレールに沿って、エントリーの手をまっすぐ伸ばし、がまんの手を維持しつつ、体の右側面をエッジにして右側のレール上を滑り、リカバリーから左手のエントリーで左側面のエッジに体重を移動しつつ、左側のレール上にスイッチする、といった一連の動作を行って、2本のレールの目的を理解してもらいました。

軸が折れ曲がり、体がクネクネする原因の元にもなるクロス・エントリー(エントリーした手が左右ともに体の中心に向かって伸びること)の矯正にもなります。ブレス時には頭部の回転により、どうしても伸ばした手から視線が離れるので、まっすぐ伸びた2本のレールを脱線しないように意識することが大切です。

【編集後記】TIでよく使う「2本のレール」をイメージした映像を撮ってみました。レールに乗って進むイメージがつかめると思うのですが、いかがだったでしょうか。撮影にご協力いただいたTIスイムスクールのみなさん、ありがとうございました。(TIコーチ・中井博行)

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