2010年2月10日
柏木祐子(TIコーチ、大阪府在住)

関西のワークショップでおなじみの柏木祐子コーチは肩の可動域を広げることで、スピードを落とさずにストローク数を1つ減らしました。

子どもの頃から水泳をしていたにも関わらず、肩が異常に固くて、友人からは「あなたのクロールとバタフライは水泳をやっていた人の泳ぎとどこか違うのよね」といつも言われていました。確かにビデオを見ると、見た目が明らかに違うのです。ずっと、「なぜだろう?」と思っていました。「肩が固い=可動域が狭い」のが原因だと気づいたのは、つい最近のことです。

いわゆる「肩」は4種類の骨と、靱帯、腱、筋肉等で形成されていて、肩関節は4種類の筋肉で支えられています。肩や肩甲骨の可動域と呼ばれるものは、この筋肉の収縮の状態によって決まります。可動域の広い・狭いが、泳ぎに与える影響としては、ストロークの長さが考えられます。同じ腕の長さなら肩関節の可動域の広い方が腕も伸びて、ストローク長も伸び、より推進力が得られます。見た目も「美しく」なり、故障もしにくくなります。

私の場合、腹筋と背筋のバランスが極端に悪く(腹筋:弱、背筋:強)、背中側の筋肉が常に収縮した状態になっているために、肩の可動域が狭くなっていました。そこで、整体の施術で、縮んでいる側の筋肉をほぐすことで、可動域が160°→180°(両手を肩幅に挙げてバンザイした時に腕が背中と一直線になる位置)に広がりました。その結果、予想していた通りストローク長が伸び、25mのタイムは変わらずにストローク数が1つ減少しました。泳いでいる時の感覚も、前へ前へと重心が乗っていくようで、これまで感じたことのない、とても心地良いものでした。

1回の施術で数カ月効果があるとのことでしたが、効果をさらに持続させたり、施術を受けなくても自分でできるストレッチがあります。簡単なものをご紹介しますので、スイマーの皆さん、ぜひ実践してみてください。即効性はありませんが、じわじわと効いてきますよ。

【肩甲骨まわりのストレッチA】 *回数は腹筋が少しキツイと感じるぐらい

  1. 体の前で手のひらを合わせた(合掌)形で床に肘を着いて腕立て伏せの姿勢
    (手と手、肘と肘の間は肩幅で空ける)
  2. 肩甲骨まわりを意識して、ゆっくり上体を床に近づける
    (腕立て伏せの要領で、ひざは床につけない)
  3. 肩甲骨まわりを意識して、ゆっくり上体を元に戻す
    (フラットな姿勢よりも少し持ち上げるところまで)

【肩甲骨まわりのストレッチB】 *片側ずつ10〜15回

  1. 床にうつぶせになり、手のひらを内側に向け、腕をY字に開いた状態で寝る
  2. 片方の腕だけを床から持ち上げる

【肩甲骨まわりのストレッチC】 *片側ずつ10〜15回

  1. 床にうつぶせになり、手のひらを下、指先を上に向けて肘を曲げた状態に寝る
    (肘曲げ・脇と腕90°)
  2. 片方の腕だけを床から持ち上げる

【肩甲骨まわりのストレッチ映像】

 ©Easy Swimming Corporation