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加藤幸恵コーチ
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奥村知実コーチ
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中村大輔コーチ
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田代恵介コーチ
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塚本恭子コーチ
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山口工コーチ
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―コーチの皆さん、明けましておめでとうございます。
コーチ一同 明けましておめでとうございます。
―今年のお正月はゆっくり休めましたか。
加藤幸恵 はい、岩手に帰省して、英気を養ってきました。体調に気をつけて、今年もさらに元気パワー全開で頑張ります!
―帰省中は朝から晩まで酒を飲んでいたでしょう。
加藤 えぇ〜、どうしてわかるのよ。(笑)
―みんながそう思うんじゃない。(笑)
―今日は新春放談会ということで、TIを指導しているコーチの皆さんに集まってもらいました。いつも思っていることや感じていることを遠慮なくお話しして下さい。それでは最初にコーチとしてのアピールポイントを入れた自己紹介をお願いします。
加藤 とにかく元気で明るいこと。体を動かしていることが好きで指導するのが好き。座ってする仕事は向いてないと中学生のころに判断したので、スポーツを教えること以外は考えなかった。陸の運動も含めたいろいろな運動で体の使い方を提供できるのがアピールポイント。水泳はその中の一つです。
奥村知実 ずっと競泳をしてきたので、それで得た体の感覚を大事にすることを伝えたい。それは体の使い方であったり、動作の形ではなく意識の仕方であったり。自分の体の感覚を研ぎすませて、自分の体を使いこなせる泳ぎを見つけられるように教えたいです。
中村大輔 水泳歴は20年ぐらいになるのですが、途中の何年かはまったく泳いでない時期があった。ほかの勉強であったり、仕事であったりしたわけですが、何らかの理由で水泳を離れてブランクのある人が、もう一度水泳を習いたいと思ったときに、どのような練習法があるのか、どんな効果的な方法があるのかを伝えたいと思ったのがTIのコーチになった理由の一つです。
田代恵介 スポーツトレーナーとして活動してきましたが、スポーツに対する見方が変わってきたタイミングで、TIに出会ったのは運命かなと思った。水泳は身近なスポーツなので、ビジネスとしてやっていきたいと考えて環境を探していた。趣味であっても上達する楽しさは大切で、TIに来られる方は本当に助けてほしいといった印象を受けることが多い。その点、硬さも伝わるのですが、もっとテンション上げて、楽しく泳いでほしいですね。自分もTIスイムを楽しんでいる仲間です。水泳は子供のころ以来で、まだまだ水泳感覚の乏しさはありますが、練習しているときはこっちの方がいいなー!とか、きたきたきたー!って、テンション上げてやっています。TIスイムを上達手段に一緒に楽しんでいきたい。
塚本恭子 見逃がしていたところを気づかせたい。また気づいてもらえるようにしているのが自分のアピールポイント。TIは大人になってから水泳を始めた人が多い。子供のころから水泳をしていた人は自分の感覚に頼れる部分もあるけど、そうでない人に自分の体の動きを気づかせたいと思う。これまでとまったく違う水泳の仕事を始めて、最初は水に入っているのがつらかった。慣れてきて、体力がついてきて、余裕がでてきたのか、普通の仕事としてなんとかやれるようになってきた。まだ自信はないですけど。
山口 工 柔道整復師の資格を持っているので、水泳では体のどの部分をどのように動かせば、推進力やバランスにつながるかといった、体の仕組みや機能と水泳の動きの連係を順序立てて説明できるのが持ち味だと思う。5歳から大学卒業までの20年弱ですが、水泳選手をしてきました。コーチとしてではないけれど、生まれてからずっと水泳と付き合ってきた感覚はあります。
―水泳の基本は同じだと思うのですが、アプローチの違いから戸惑う方もいるようです。TIの指導法と一般のスイミングスクールとの違いはどこにあると思いますか。
加藤 今の水泳指導は8割9割が運動のできる人をメインに考えていて、子供の指導パターンを大人に持ってきている。何もしないと沈むから足でエンジンをかけようということから始まる。肩が痛いとか、どこか動きが悪くて運動のできない人にとっては、時間がかかってしまうスポーツ。そうでないよというのがTIの指導法で、エンジンをかける前に自分の体がどうすれば浮くか考えようと体の使い方を教えるのがTIだと思う。
中村 TIの基本は考える水泳だと思う。自分の泳ぎで何が問題かがわかってないと問題を解決できない。問題を理解して、細分化されたドリルで解決に導くのがTIの指導法だけど、ドリルだけをやれば解決できるかというとそうではない。そのドリルの中でもどうすればいいのかを自分で考えないと泳ぎは変わらない。担当する競泳クラスの選手たちには、この繰り返しで泳ぎをチューンアップさせてきた。
山口 細分化されたドリルをパーツとして組み合わせたら泳げていたとなるのがいい。教えるときに注意することは、ドリルの名前や方法を覚えてもらうことではなく、なんのために存在するドリルであるかを理解してもらえるようにするとTIの効果が実感できる。
塚本 ドリルが細かいのは動作を意識させるのに有効だと思う。これまでは手を動かすときは「こうやってこう」とか、具体的ではなく、感覚的な教え方だった。ドリルは動作が意識しやすく、わかりやすいと思うが、逆にドリルの目的をよく理解してないと戸惑いがあるかもしれない。レッスンの予習、復習が必要ですね。
―TIを習い始めて、ドリルは上手にできるのに、スイムになるとうまくできないという方がよくいますね。どこに問題があるのかな。
田代 バランス・タイミング・リズムのトライアングルが大事で、リズムまで持って行ってドリルをしてないのではないか。ドリルを泳ぎのどの部分に生かすかを理解して、泳ぎの最終形態をイメージした練習をしないとだめだと思う。
塚本 ドリルの動作のつながりを意識してもらい、ドリルの間を埋めていくことを提案します。細かく指示したいと思うが、習っている方にも考えてほしいことです。
加藤 ドリルマスターというか、ドリルが目的になってしまうことがよくあります。習う側の意識も必要だけど、ドリルとドリルのすき間を埋めるのがコーチの仕事。なるほどと理解させて消化していくことが大事です。
山口 そういうときは「何のためにあるドリルですか?」と問います。答えられなければやりなおして考えてもらう。ドリルでも考えて練習していれば疑問が出てくるはずで、そこにコーチとのコミュニケーションができて上達する。一方通行の受け身だけではうまくならない。これは水泳だけではないと思う。
中村 やはりドリルが何のためにあるか、問題解決にはどんなドリルが有効かを考えることだと思う。ドリルをやり過ぎるとそれがメインのドリルワーカーになってしまう。慣れてきたら全部やる必要はなく、スイムを交えながらチョイスすることが重要です。
奥村 ドリルができれば泳げるようになるという誤解がある。ドリルがうまくてもスイムが悪いのは、見た目の形だけはできていても、ドリルの基本部分、例えば体重移動とか、体の使い方とか、ドリルの意味や目的を理解してないことが多いのだと思う。
―指導していると、すぐに上達する方となかなか上達しない方がでてくると思いますが、その違いはどこにあると思いますか。
塚本 ドリルをした後に「どう、できた?」と聞いてくる方は上達が早くないですね。自分でできたか、できてないかがわからないようです。ドリルをしていても自分の体がどう動いているのか判断できないのだと思う。
山口 やはり自分で考えない人は遅くなると思う。TIのドリルをすれば、泳げるようになるというイメージを持つかもしれないけれど、魔法じゃないので、本人の努力なしでは成り立たない。教えていて、考えてないなと思ったら「どんな感じがします?」と聞いてみます。そこで固まってしまう方は遅いですね。
中村 自分を客観視できる方は早いですね。自分が泳いでいる映像を見て、直感的にここが良くないと判断できる方とか。目をそむけたり、ボーッと見ているだけの方は問題点に気付きにくいから相対的に差は出ますね。まずは現実を見つめて欲しいと思います。
加藤 わたしも自分の体の動きを理解する方が早いのだと思う。自分で感覚をつかめていれば「どうでしたか?」と聞くと「こういう感じがわかりました」と答えが返ってくる。こういう方は早く上達しますね。
奥村 教える側としては理解してもらうために一つの動作を伝えるのでも「こうやったらどうですか。こうしてみたらどうですか」とバリエーションを変えて「どちらも同じことなんですけど」と言って、伝えるようにしています。同じ動作であっても視点を変えて、どのような意識の仕方をすれば、その人に合うか、見つけてもらうようにしています。
田代 ある程度のレベルまではだれでも上達します。距離であったり、タイムであったり、身近なハードルを設けて、それに向けて練習していく取り組み方が大切だと思う。今はトレーニング理論、生理学、脳科学など、様々な情報が得られるのでいろいろ試して、自分の感覚を磨くことが大事です。それと習ったことの復習は必ず取り入れることですね。
―指導していて困ったということはありますか。
塚本 言いにくいけど、プールの中にペッとつばを吐く方とかいます。外国のプールはきれいじゃないらしいので、よくあるらしいのですが。ほかにもコース内の右側通行を知らなかったとか、プールマナーを知らない方は困りますね。注意もしにくいです。
加藤 そう、確かに面と向かっては注意しにくいよね。そんなときは、いつも以上にニコニコ笑いながら近づいて「プールの外にペッとしましょうね」とか言って、注意するようにしてみたら。難しい顔をして注意されたら相手だって気分よくないだろうと思うし。
―さすがは加藤コーチ。コーチキャリアの差ですね。若い女性コーチがニコニコして近づいてきてくれたら悪い気はしないから、きっと素直に「はい」と言いますよ。これがゴッツイ男性コーチにニヤニヤして近寄って来られたら気持ち悪がられるけどね。(笑)
中村 質問攻めには苦労しますね。質問することが悪いのではなく、一つのことをしているときに観点のずれた質問を次々にしてくること。例えば、アンダースイッチをしているときは伸びていく腕の動きを意識して欲しいのにキックはどうでしたかとか。いろいろ知りたいのはわかるけど、習っているポイントに集中してもらいたいと思う。
山口 問題点を指摘しても「自分はこう考える」と反論される方ですね。そんなときは逆に自分が考えているようにやってもらい「どうでしたか、うまくいかない原因がわかったでしょう」と理解してもらうようにします。こういう方は納得すると上達していきます。
中村 指導は会話のキャッチボールですから一方通行ではだめですね。
―皆さんの話の共通した部分をまとめると、自分の感覚を研ぎすまして、どのように自分の体が動いているかを理解して、その動作を考えながら泳ぐ方が上達するということのようです。水泳の上達を目指す多くの方が上手に教わるためのヒントになるかと思います。逆にコーチは教わる方に問題点を理解しやすく、上手に伝えられるスキルが求められますね。教わり上手、教え上手と言っていいと思いますが、双方のコミュニケーションがかみ合うようにすれば、スムーズに上達していくということでしょうか。
―コーチの指導内容がTIのレッスンを受ける方の満足度につながると思うので、これから研究していきたいこととか、どんなテーマを持って指導していきたいかなど、最後に今年の抱負を聞かせてもらいます。
加藤 TIは水泳がメインだったけど、体を動かすという観点から水泳だけでなく、陸上の運動も含めて考えていきたい。健康運動指導を研究して高齢者指導など、健康志向の生涯スポーツとして、TI系列でやっていければなあと思う。そのためには水泳のつながりだけではない仲間を作ることが大事だと思うので、お客さま同士のコミュニティーを作っていきたい。
奥村 今年から研究会をスタートします。泳ぎの中で、ここだけはという部分に焦点を絞って、陸(ランド)と水中(プール)の動きを研究します。例えば、バタフライなら胸を意識しながら徹底してIYにこだわり、陸の動きを水中で反映させようというものです。自己修正力を磨き、より体の使い方を極めようという試みです。
中村 選手コースを担当しているので、競泳4種目のスプリントで、スピード勝負ができるTIスイムをめざしたいです。
田代 水泳の経験が短いので、ようやく水に慣れてきた段階。自分のハードルを立てて、それにチャレンジしないと指導に生かせないと思う。スプリントのタイムアップをハードルにして、自分のスキルアップを図りたい。
塚本 お客さまが満足できない原因をいろいろな角度から見て、サポートして、満足できるような教わり上手にしてあげたい。
山口 自分のテーマは、自分の体がどうなっているのか、仕組みに基づく体の動きを気づかせることなので、ビデオがなくてもその場でお客さまの泳ぎをそっくりにまねることで、自分の泳ぎをイメージさせたい。形態ものまねのさらなるスキルアップですね。
―コーチの皆さん、今日はどうもありがとうございました。新春放談会としましたが、お酒が入らなかったせいか、まじめに答えてくれて、今ひとつ、放談らしくならなかったですね。(笑)
コーチの皆さんがそれぞれのテーマを抱えることで、TIのレッスンを受ける皆さまの満足度が上がるように今年もしっかり勉強していきましょう。よろしくお願いします。 |