2009年4月10日 佐々木美樹
「スイムEKIDEN1000という大会にTIスカイフィットチームを作って参加しませんか?」と、1月末に土曜マスターズ担当の中井コーチから、なんとも魅力的なメールが舞い込んだ。マスターズ登録の必要がない気楽なリレー大会だという。

 リレー? TIでチーム? 私はそんな機会を待っていた

次はメダルが欲しい!

▽スイムEKIDENにエントリー

私のクロールときたら、とにかく、遅い・苦しい・かっこ悪い。これをなんとかしたい一心で去年の6月からTIで本格的に水泳を習い始め、ようやく半年が過ぎたところ。リレーはもちろん未経験。大会の概要を見ると1000mを10人でリレーするらしい。100mをダッシュで泳いだ経験はない。しかもリレーなんて速くなければ入れてもらえないものと思い込んでいた。私でもいいのかなと思う。でも、私の実力を知っているコーチが誘ってくれるのだから大丈夫なのだろう。とにかく嬉しくて、二つ返事で参加をお願いした。

コーチから返ってきたメールには「20分が制限タイムなので、確実に100mを2分以内で泳ぐようにしてください」とあった。「え〜、制限時間があるなんて聞いてないよ」と焦ったけど、計ってみたら2分は切れていた(よかった!)。さぁ、ここからどこまでタイムを縮められるか。練習中のクイックターンもなんとかできるようにして臨みたい。3月22日の「スイムEKIDEN」に向けて、2カ月弱の挑戦が始まった。

▽チームメンバーとの初練習

2月14日は、初顔合わせの人も含むEKIDENメンバーとマスターズ練習。この日は100mの目標タイムを4分割し、短いレストを入れて連続して泳ぎ、目標タイムを達成していく「ブロークン・スイム」という練習方法を教わった。私なら1分30秒を目標に設定し、25mを22.5秒で泳ぎ、10秒レストを入れて4本繰り返す。クリアできたらレストを5秒に減らし、最終的にはレストなしで泳げれば目標達成!と、この通り泳げればいかにも簡単そう。しかし25mを22.5秒ってすでに無理!というのが、このときの状況だった。ブロークン・スイムのあとに100mを計った。結構真剣に泳いだのに1分44秒(うーん、そんなものか)。大先輩の71歳のMさん、ゆったり泳いでいるように見えて1分37秒(すごいなぁ)。

♪6コ〜ス、TIスカイフィット〜

飛び込みが初めてという人もいたのでスタート練習も。プールサイドに片膝をついて、両腕を頭の上で組んで伸ばし、そのまま手先からスポッとプールに入れば、あら不思議!いとも簡単に一点入水ができちゃいます。引き継ぎ練習では、大きな中井コーチが泳いできたらあまりの迫力に「キャー!飛び越すの無理〜」とみんなで大笑いしたり。練習はとても楽しくて、いつも時間があっという間に過ぎた。

2月28日の練習では、100mのタイムが1分37秒に縮まった。前半45秒、後半52秒だったので、前半と後半のタイム差がなくなるようにとアドバイスを受けた。

3月14日は吉田コーチも加わり、8人のメンバーで練習。タイムを計測する前に若い男子が秒速1mのラビットになり、そのあとを離されないようについて泳ぐ練習をした。25m4本を1本25秒のペースで4セットだったのでかなりきつかったが、コーチの笛に押されて壁を蹴ってスタートしているうち、いつの間にか、みんなでこなしていた。

そして2人ずつ、100mのタイム計測。このころにはチームとしての連帯感もぐっと高まり、タイム計測は試合のように盛り上がって、ゴールするたびに「はやーい!」と拍手がわいた。私のタイムはなんと1分33秒! 私を含む若葉マーク組4人は1カ月前と比べて10秒以上短縮して、みんなが1分33〜39秒になった。チーム全体の目標タイムも18分から14分に修正する大変な進歩。

▽スイムEKIDENの大会当日

大会前日のマスターズ練習では、本番当日もアッププールで行うとよいウォーミングアップ用のメニューやターン・引き継ぎを練習して翌日に備えた。前回の練習で自分でも信じられないタイムを出してしまった私は、これ以上の記録は出せないんじゃないかとプレッシャーでつぶれそうになる。コーチに泣きつくと「脳の指令で体は動くもの。泳げないと思ったら絶対に体は動かない。速く泳げたことは体が覚えているから大丈夫。とにかくいいイメージを持って前向きに行け」と励まされ、ついに迎えた初陣の日!

TIスカイフィットチーム

招集場所で待機していたら、なんと同じ組の隣の隣のコースの1泳にアテネ五輪金メダルの柴田亜衣選手が。同じ組で泳げるなんて、いい記念になると嬉しくなっちゃう。本番では仲間を応援しようと思っていたのにラップをとったりしていたら、あっという間に自分の番。「2本のロープ(レール)」だけは忘れないように無我夢中で泳ぐ。最後は酸欠なのか、指に震えがきて怖かったけど、1分27秒26の信じられないタイム! 30秒が切れたなんて夢のようだ。

チームの仲間たちも自己ベストを更新する快挙続出で、TIスカイフィットチームの記録は堂々の14分09秒59。目標達成で打ち上げの「もんじゃ焼き」とビールの味は最高!

1人ではとてもじゃないけど、苦しい100mの練習にここまで身が入らなかったと思う。10人でつなぐリレーのためにみんなで頑張った2カ月弱。コーチやメンバーの皆様には、大きく成長させてもらったことの感謝でいっぱい。今後はぜひTIの公式イベントの1つとして取り入れてもらって、より大勢のコーチや仲間とともにまた挑戦したい。

東京マラソンと同じ日の3月22日、東京辰巳国際水泳場では「スイムEKIDEN1000」が開催された。TIスカイフィットチームの一員として出場した佐々木美樹さんは、大会本番までの2カ月弱で100mのタイムを一気に20秒以上短縮した今回のMVP。リレーはチームワークでいつも以上の力を発揮できるもの。個人競技でありながらも団体競技の要素が加わる水泳の面白いところ。メンバー同士の連帯感が好記録につながり、それぞれが練習時の自己ベストを更新した。泳ぐ距離が100mだったこともTIのよさを生かせた。大会に出場することで、日ごろのドリル練習の成果を確認できる。TIスイマーもマスターズ大会に積極的にチャレンジして欲しい。(TIコーチ:中井博行)
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