A.ストローク数を減らすために最初に行うのは、体を伸ばした姿勢でグライドする時間をより多く確保することです。前後のバランスがとれていれば水の抵抗が少なくなるので、何もしなくても前に進みます。一方でこの時間は推進力を新たに生み出してはいないので、減速することになります。
この減速−加速の差が大きいと、エネルギーを多く使うことになります。従ってストローク数を減らそうとすると、ラクになるどころかかえって疲れてしまう場合もあるわけです。このため減速をしないでグライドすることが、ラクに泳ぎながらストローク数を減らすためにはとても大切です。
減速をしないグライドとは
TIスイムを練習している人にとって、グライドの姿勢をスケーティングドリルで学びます。スケーティングは「姿勢」のドリルですが、完成形であるクロールは、スケーティングの姿勢を切り替える「動作」であり、ストローク数を減らすときにも静止しないようにすることが大切です。
具体的には、伸ばした手はそのまま静止していても、水中を移動し、水面に現れてリカバリーをする側の手は常に動かし続けます。水中で物体が動けば抵抗となり、その抗力が生まれて推進力となるため、かき動作だけでなく手がももの前に来たあたりでも、スケーティングのように前ポケットで静止させずにノンストップでリカバリーにつなげます。
水中でノンストップで動くことで、全体のストロークの時間配分において余裕が生まれます。この余裕をさらに手を伸ばす時間に割り当てることで、より抵抗を減らし減速を抑える効果が期待できます。
練習の方向
ストロークを減らすか、維持してなめらかさを追求するかという質問については、まず25mのラップあたり1ストローク〜2ストローク減らす→戻す→1〜2ストローク増やすというストロークを増減する練習により、減速をせずにグライドする技術を身につけることから始めることをお勧めします。そうすればストローク数を減らしながらなめらかな泳ぎができるようになります。この練習のポイントはストローク数を常に意図的に変化させることで、ストロークのどのタイミングで何をすると自分の決めたストロークで泳げるようになるか理解でき、コントロールできるようになることです。 |