壁を蹴ったあとに体を伸ばしたグライドの時間を長くとり、最初のストロークで息継ぎをする方が、最初のストロークで息継ぎをしないためにグライドを短縮するよりも効率がいいと私は常に感じてきました。実際、どちらのやり方にしろほぼ同じ時点で息継ぎをしているのです。
壁を蹴ってから水面に現れるまでのブレイクアウトのタイムを計った場合、ストロークを始めるまでは壁を蹴ったときのスピードを保持しています。ストロークの開始が早すぎるとスピードが落ちてしまいます。逆に開始が遅すぎると、ストロークを継続するために、またスピードを維持するために更なるエネルギーを要します。
このため双方の利害関係を念頭に、最初のストロークで息継ぎをしながらも前進するスピードを落とさないようにする(他の息継ぎ同様にできるだけ継ぎ目なくストロークにフィットさせる)のが最も効果的な解決策だと考え、息継ぎをしながらブレイクアウトを改善するのに役立ったいくつかのポイントを挙げてみました。
1.己を知る
経験や注意力を結集して、息継ぎを必要とする前にどの位長く体を伸ばした姿勢を維持できるかを知る感覚を改善します。その時間は、疲労具合や泳いだ距離、残りの距離、そしてその時のリラックス状態によって左右されます。
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(バイクやランニングで)ハードなトレーニングをした後や長くあるいは速く泳いだ後は、早めに息継ぎをする必要があるでしょう。
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長めのリピートやスイム(200ヤード以上)の前半では、壁を蹴った後のストリームラインを長めに維持できます。中盤では、終盤に向けて疲れをためないように早めに息継ぎをする必要があります。
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終盤では、フィニッシュを目前にして多少の酸欠状態には耐えられるので、ストリームラインを長めに維持できます。
リラックスすることによって、息継ぎせずにより長くグライドすることが出来ます。以前は、魚雷の形になるように体をぎゅっと締めて「タイトな」ストリームラインを練習していました。しかし体をリラックスさせると、息継ぎをすぐに必要としない分長くグライドできます。リラックスして魚雷のようにグライドする時のスピードは、体を締め上げて「息継ぎ省略型」でグライドする時のスピードに比較しても、それほど落ちません。息継ぎをするまでどのぐらいグライドできるかを決めるには、これらすべてのファクターを考慮する必要があります。経験と注意力を駆使することで、どのぐらい長くグライドできるかを更に正確に割り出すことができます。
最初のストロークで息継ぎをするのは理想ですが、それによってスピードが落ちることは避けなくてはいけません。他の息継ぎの時と同様に、ストロークに息継ぎを継ぎ目なくフィットさせるのが狙いです。
2.目的に合わせたコントロール
目的によって、壁を蹴った後速やかに水面に上がってくることも出来ますし、そのままプールの底を目指すことも出来ます。息継ぎを必要とする正にその瞬間に、そして(また)泳ぐスピードとグライドするスピードが一致する時に体が水面に上がるようにするのが目標です。
3.「ダイナミックな」スケートでブレイクアウト
ブレイクアウトのときにに息継ぎをしないのは、ストリームラインの姿勢を崩してスピードを犠牲にしないためというのが一般常識です。息継ぎをしないのであれば、バランスしてブレイクアウトできる上に、頭を持ち上げて息継ぎをするより最初のストロークによってスピードが加速されると考えられています。
前進するスピードを落とさずに息継ぎをするために、以下のフォーカルポイントを試してみて下さい。
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息継ぎをする前の入水動作において、水面に穴を開けるように入水します。他のスイマー達のブレイクアウトを観察してみると、大抵の場合水面に向かって泳ぐことを意識しているためか、手を押し下げて水をかいていて、そのために頭が持ち上がりストリームラインを崩しているのがわかります。そうではなく、入水する側の手を意識してストリームラインの体の前方に穴を開けるように入水しながら、前進する推進力と体を水面に持ち上げる肺の中の空気が絡み合うのを待ちます。
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レーザービームがまっすぐ前方に向くようにします。ここでも他のスイマー達のブレイクアウトを観察しましょう。多くの場合、息継ぎをする時に頭のてっぺんを持ち上げているのが分かります。これでは前上がりの姿勢になってしまいます。その代わりに、頭のてっぺんからレーザービームが出ていることを想像します。ストロークやブレイクアウトの際には、そのレーザービームを常にまっすぐ前方に維持するようにします。
これら2つのフォーカルポイントはバランスしたスケーティングの姿勢を確立し、ブレイクアウトとその後のストローク開始の際にスピードを維持するのに役立ちました。プルする手を常に動かしながら直接リカバリーに入って再びストロークを開始するので、私はこれを「ダイナミックなスケートポジション」と呼んでいます。 |