フォーラムに寄せられた質問です。「過去にバタフライで泳いだ時、腰を使って体を前進させることで力強い推進力の波を感じていました。しかし最近は、腕を早めにリリースする練習をしています。その結果私のストローク数は以前と殆ど変わることなく、リラックス感は増したものの、以前のような推進する波を感じることができません。私のストローク数に変化がないことを考慮したうえで、この波は目指すべきものか、或いは無視するべきものかを教えてください。」
ストローク数に変化なく、よりリラックスして泳げる様になったというのであれば、私はその点を肯定的に捉えます。実際に見ていないので、貴方の古いフォームを新しいものと比較したり、それぞれを判断するのは難しいのですが、それらの「推進力の波」の感覚は特に肯定的に解釈すべきサインとは言い切れません。水に注ぐ多くの力は、満足感を得られるものの、潜在的な負担も伴います。

スイマーの速度は、疲労度や体のポジションの変化によって、それぞれのストローク・サイクル内でも微妙に違ってきます。例えば平泳ぎの場合、同じ足でも蹴りは推進力を増しますが、引きつけでは抵抗を増します。ストローク・サイクル全体を通した平均的なスピードの変動を最低限に抑えるのが、最も効率的な泳ぎ方です。

ストロークの特定部分で感じるという推進力は、その分すぐに疲労してしまうことにもなりかねません。何故なら「波」を感じる直前の、体がまっすぐに伸びた状態から変化するために、より多くのエネルギーを必要とするからです。つまり、「すごい、自分の力を実感できたぞ。」という感覚は満足感のあるものでも、体をまっすぐにした状態からフォームを大きく変化させるためにより多くのエネルギーを消費するため、より変化の少ないフォームに比べるとあっという間にガソリンタンクを空っぽにしてしまうのです。

クロールや背泳ぎよりも、平泳ぎやバタフライではこの「波−減速」の傾向がずっと強いと言えます。というのも両腕を同時に使ってストロークをし(波を起こし)、それから同様に両腕を同時に使ってリカバリーをする(減速する)からです。クロールや背泳ぎでは例えば500ヤードなり1000ヤードなりを良いフォームで泳げるのに、バタフライや平泳ぎになるととてもそうは行かないというのは、この理由からです。という訳で、短軸のストロークの双方において推進力をできるだけ一定に保つのは、とても大きな利点があるのです。

バタフライの場合、力の感覚から一定のリズムの感覚へとシフトすることで推進力を一定に保持することができます。腕と足の力を生み出す感覚に集中することから、胸と腰を揺らす一定のリズムに集中することに切り替えましょう。バタフライのリカバリーの動作は、他の種目に比べて多くのエネルギーを消耗するので、効率のよい動きを練習すれば、リカバリーでのエネルギーの節約機会が増えることになります。そして節約したエネルギーは、より長距離を泳ぐために、ストロークの長さと初期のペースを維持することに当てることが出来ます。

バタフライのリカバリーでエネルギーを節約するための4つの方法

  1. 水を抱える。重力に逆らってはいけません。その代わり、両腕は出来るだけ水面の近くで前方に流します。
  2. 親指でリードする。これを読みながら座っている時に、両腕でリカバリーを試してみましょう。まず親指を下げて、次に手のひらを下げてやってみます。手のひらを下げて行った時の方が、よりラクで抵抗が少ないはずです。
  3. 幅広く着水。ストロークを始める時、手は両肩の幅より少しだけ外側に位置します。ですから、頭の先で両手がほぼ重なり合うようにリカバリーを終えるのは意味がありません。それより、手のひらをやや外向きにして肩幅よりもほんの少し広めの位置で着水します。注意:頭の先に着水する癖のある人にとっては、肩幅よりもほんの少し広めと言うと、随分と広すぎる様に感じるかも知れません。「広すぎる」感覚で練習を続けましょう。
  4. ソフトに着水する。着水の際には、力を下でなく前方に運ぶようにします。シンプルな方法としては、着水の際の音やしぶきを最小限にとどめること、また「ソフトに」着水するようにします。着水の際のしぶきの高さを友人に聞きましょう。15センチ以下であれば理想的です。
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