背泳ぎを速く泳ごうとするとき、普通はできるだけ早く手を回し、キックを一生懸命するでしょう。それでもある程度までは速くなりますが、競泳で大会の出場資格を得たり、良い成績を収めようとするためには全く別のアプローチが必要です。ここでは高校生の背泳ぎの選手を例に、背泳ぎをより速く泳ぐためのアプローチと練習方法についてまとめました。これらは他の種目でももちろん通用します。
「14歳になる私の娘は、8歳の時から競泳の選手です。TIのクロールのワークショップに参加し、TIコーチによるプライベートレッスンを受けました。現在娘は高校の水泳チームで泳いでいて、現在のベストである100mの背泳ぎのタイム1:14を、州大会の出場資格のタイムである1:04にしたいと思っています。効率重視の練習からスピード改善を強化する練習へ移行するために何かよいアドバイスをいただけませんでしょうか。 シャラダー」

シャラダー、
ほとんどのスイマーにとって、カンタン・背泳ぎDVDに収録されているようなドリルを練習することで、背泳ぎをより速く泳ぐことができるようになります。これは泳ぎの効率を上げ、疲れにくくすることでトップスピードを長く維持できるようになるからです。レースの4分3を経過したところで急激にスピードが落ちるのは多くのスイマーが経験することです。このスピードが低下するタイミングを延ばし、低下の割合を低減させることに泳ぎの効率が役立つのです。

泳ぎの効率が改善されたら(効率を維持することを習得したら)、次にストロークのテンポを上げることに注目します。「効率を持続させた状態」で速いテンポで泳げるようになれば、速度が上がります。ストロークを少し改善し、その少し改善されたストロークでテンポを上げる、その後更に効率を上げて、という様に繰り返すことで、速度の底上げを図っていきます。

練習において、効率を維持したたまテンポを上げた「新しい」ストロークでより速く泳ぐ場合は、速度の上げ幅はほんの少しにして距離は25メートル以下に留めるようにしましょう。上手に泳げたら、今度は更にほんの少しスピードを上げ、また距離もほんの少し伸ばすようにしましょう。

もし速度を上げたときに効率の悪い「古い」ストロークにすぐに戻ってしまう場合、効率のよい状態をしっかり体にしみ込ませる練習が必要だというサインです。殆どの場合、競泳選手はこれら効率重視、テンポ重視のトレーニングを組み合わせて行うべきです。トレーニングサイクルのどのポイントにいるかによって、テクニックとスピードの練習量を判断します。大会のシーズン中は、シーズンオフ中よりもスピードの練習を多く入れます。これは疲労の度合いによっても影響されます。シーズン中は、数日間の特に集中した練習の後は、体に負担の少ない、主にテクニックを意識した練習をいくつか取り入れるとよいでしょう。

娘さんのために、効率はそのままに、より速く泳ぐためのいくつかのトレーニング・エクササイズをご紹介します。:

  1. 背泳ぎで最も効率よく25ヤード(メートル)泳ぎます。ストロークを数えます。次にそのストローク数に1足した数で泳ぎ(すなわち、彼女の「完璧な」泳ぎでのストローク数が14だったとしたら、15SPLで泳ぐ)、どの位効率よく、また速く泳げたか考察しましょう。満足の行く泳ぎであったなら、今度は2を足した数で泳ぎます。うまく泳げたら、更に3を足した数で泳ぎます。「完璧な」ストローク数に3を足した数の範囲で、プラス3のストロークがベストのストロークと同様にスムーズになるように練習を重ねましょう。
  2. 静かに泳げる範囲で最も速く25ヤード(メートル)泳ぎます。スピードを出しかつ静かな泳ぎという組み合わせを改善し、それからその組み合わせで更に長距離持続させる練習をします。より静かに泳ぐことを意識することで自動的により効率よく泳げるようになります。これは、私達が「スニーキー・TI」(こっそり・TI)と呼んでいる最もシンプルな、スピード練習をしながらでもできる方法です。(追伸:「より静かに」は、ターンにも効果的。)
  3. 州大会の出場資格のタイムである1:04の場合、25ヤード16秒ペースが妥当です。双方のエクササイズでは、これを基準にしましょう。まず第一に、「完璧な」ストローク数に余り数を足さずに、25ヤードを16秒で泳げるか試しましょう。例えば、最初はプラス3ストロークで16秒で泳ぎ、それから徐々にプラス2、そしてプラス1ストロークで16秒で泳げるように改善していきます。やがて50ヤード、75ヤード、そして100ヤードを16秒でリピートする能力を伸ばして行けるようになるでしょう。同様に、25を16秒で静かに泳げば泳ぐほど、そのペースを維持する可能性が高まります。
 ©Easy Swimming Corporation