A.短距離のレースでストローク数が増えてしまうのは、「速度を上げる=ストロークの速さを上げる」と考え、速くかこうと意識する結果、1ストロークあたりの距離が短くなることが原因です。ストロークの速度を上げれば泳ぎの速度は上がりますが、ストロークの速度を上げすぎると今度は効率が下がり、ストロークの距離が極端に短くなります。これを「空回り」すると呼んでいます。
空回りを防ぐためには、効率を維持しながらストロークの速さを上げることが重要になります。これは短距離のレースだけでなく、長距離のレースでもとても大切なことで、技術的に習得する必要があります。基本的にはゆっくりしたストロークの速度で効率を上げていき、効率が上がったらストロークの速度を少しだけ上げ、また効率を上げていくという行為を繰り返します。つまり泳ぎ全体の速度を上げる練習ではなく、ストロークの速度と効率を少しずつ上げることで、泳ぎの速度を底上げするアプローチをとります。
ストロークの速度のコントロールにはテンポ・トレーナーがお勧めです。まずゆっくりしたテンポで効率を上げます。効率の指標はストロークの長さ、すなわち25mのストローク数です。従ってまずゆっくりしたテンポでストローク数を減らすように努力します。
次にテンポを0.01秒ずつ上げていき、ストローク数を維持するように泳ぎます。ストローク数が維持できなくなったテンポがそのときの効率の限界です。今度はテンポを0.01秒ずつ、5回程度下げながらいろいろな点に気をつけて泳ぎ、再びテンポを上げていきます。
このようにストローク数を維持することを念頭に置きながらテンポを上下することで、効率の限界を少しずつ上げていきます。最終的にはレース時のテンポで、レース時のテンポより遅いテンポのストローク数が実現できれば、レース時にはさらに速いテンポで泳ぐことができるようになります。 (回答:竹内慎司)
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