BBC放送がスリランカの学校教師のガナージさんと同僚のコディッピラさんに、スリランカにおける水泳事情についてインタビューしたところ、津波以前は女性たちが水着姿で海に行く事は許されておらず、女性にとって水泳など考えられない行為だったため、2004年12月の津波災害時には泳げない女性と子供が被害者の8割に達したことがわかりました。
そこで、英国のアマチュア水泳協会の水泳コーチであるクリスティーナ・フォンフ(略称クリス、私の妻)が、災害後の復旧作業の一環で何か出来ることはないかと名乗りをあげたわけです。数年前にトータル・イマージョンの本を読んでTI方式の水泳に変えたクリスは、最近組織された慈善団体のエイド・スリランカのバックアップで、災害の朝に400人もの被害者を出した海辺の町ウェリガマに「女性のためのスイミングプロジェクト」を発足しました。今回のプロジェクトのヒロインは妻のクリスであり、この記事を書くべき人なのですが、現在スリランカに滞在して津波災害で生存した女性たちにTI方式で水泳を教えているために、夫である私が代筆しています。

プロジェクトはまず被害を受けていないプール施設を探すことから始まり、ホテルのプールをいくつか探し当てました。観光客が去って使われていなかったので、津波で心に傷を負った子供たちのための水泳クラスを早速開きました。すると、子供たちを連れてくる母親や姉妹達も全く泳げないことがわかりました。クリスは、この女性たちに水泳を教えることで、彼らがまた家族や友人、隣人にも教えることが出来るだろうと思いました。水泳を迅速に多勢の人に広められるばかりでなく、家族やコミュニティーの中での女性の地位向上にも役立つと考えました。

この敬虔な宗教国での2つの大きな問題は、(1)公共で男性の目に触れないプール施設を探すことと、(2)民族衣装のサリーを水着に着替えさせることでした。1つ目は人里離れたココナッツ農園の中の放置されたプールを見つけて解決し、そして2つ目は私が、数百枚の水着をイギリスから持ち込むことで解決しました。こうして、「女性のためのスイミングプロジェクト」が立ちあがり、2005年の2月以降継続されるようになりました。

なぜトータルイマージョンなのか、クリスの言葉を借りると「参加する女性の一人一人がスイマーとしての素晴らしい可能性を秘めていると思いました。彼女たちは水泳経験がないので、私の教える泳ぎを完全に信頼し、言う通りにしてくれました。背浮きから始まる一通りのドリルを経て、彼女たちが水中でリラックスしてラクに泳げるようになるのを見るのは何とも言えない喜びです。私はこの信頼関係に心から感謝し、彼女らもまた機会を与えられたことに感激してくれています。このような価値あるプロジェクトに参加して貴重な体験を得たことに感謝すると共に、TI方式のみが水泳習得を可能にすると確信するようになりました。」

このプロジェクトの成功でクリスはまた、彼女の優秀な生徒であり同時通訳のインキ・アベレトナに奨学金の提供を考えました。彼女を英国に連れ帰って様々な経験を積んだのち、二人はまたスリランカに戻りました。彼女たちの留守中は、このココナッツ農園のハウスキーパーのパウリーンの監督下で練習が継続され、TIの基本を学ぶ新規の生徒も増えました。

現在は国際的な資格を得る事を目標に、プロジェクト初の国内水泳コーチのコースを継続するに十分なスイマーを確保しています。これには、彼女自身もスリランカで水泳を習ったもう一人のボランティアのメンバーであるスー・ブラウンがイギリスからクリスのトレーニング助手として派遣されました。スーは救助訓練用のマネキンも持参して、コースにプールサイドの安全、レスキューと応急処置訓練を導入しました。これらを無事終了することが「女性のためのスイミングプロジェクト」を次の目標につなげる架け橋になります。

人目を避けたプール施設と女性スタッフによる指導によって、スリランカ女性の水泳習得を阻んでいた大きな文化的壁を取り外すことに成功しました。段階的にかつ迅速に全くの初心者をきちんと泳げるようにするマンツーマンのTI指導も、残念ながら観光客がホテルのプールを使うようになってからは、ほんの少数の人にしか行き渡らなくなってしまいましたが、以前は1人だったコーチが4人に増えたことで、泳げるようになった女性子供の数も、一気に4倍になりました。次の段階は、1つの町からより広範囲の地方の町へこのプロジェクトを普及させることです。

難題の施設不足を克服するためトータルイマージョンや他の企業あるいは個人のスポンサーによって、私達はスリランカに「女性の水泳協会」を設立したいと思っています。「女性の水泳協会」設立の第一の目標は、津波災害だけをとっても年間1500人にのぼる溺死のリスクを減らすことです。TI方式を一人でも多くの女性子供に広めて彼らの水泳に対する認識を高め、より優れた心身の健康を手に入れて欲しいと思います。

また提案中の協会は、島により多くの水泳施設を開発してそれぞれのコミュニティー、または観光産業の復興を手助けするために水泳で生計を立てたいという人のための基金を募りたいとも考えています。トレーニングはプールの安全、応急処置そしてプールの管理も含みます。これらすべての活動を集結させれば水泳人口も増え、彼らの健康状態も向上し、また経済的利益ももたらすでしょう。

これを1日で成し遂げるのは不可能です。一歩一歩段階を踏んでいくわけですが、サポートする基金がどうしても必要になります。まずは協会のプール施設を賃貸によって確保し、2つ目の小さなプールを1500ドルで追加します。トータル・スイムでもおなじみのエンドレス・プールの会社からファスト・レーンのユニットを加えることで、さらに迅速に事業を成し遂げられます。最後に、25メートルのレーンが6つあるプール施設をつくってトレーニングされたスリランカ人がスタッフとなり、地方と全国の女性のためのコースを開いて10年で10万ドルを生み出すようにします。トータルイマージョンが何千もの命を救うことは間違いありませんし、2004年の津波災害に苦しむこの極楽の島で、人々が水泳を生きる方法として大切にするようになるでしょう。

「女性のためのスイミングプロジェクト」への寄付は、エイド・スリランカのウェブサイトwww.aidsrilanka.orgにアクセスしてPayPalを通して寄付をして下さるようお願いします。あなたの寄付が確実に「女性のためのスイミングプロジェクト」に届くため、あなたのお名前、日付、寄付金額を明記してクリスティーナ・フォンフ mandc.fonfe@macunlimited.net 宛てにE メールを送ってください。
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