考える泳ぎ」のこの1年を振り返って、TI方式から何を学んだのか、そして投資の意味はあったのでしょうか。TIにより、意識を集中すること、水中の環境を理解して、その環境で自分の体がどのように動くかを探求すること、五感を使って眺め、適応そして判断し、静けさに耳を傾けて自然の海流を感じ取り、波を蹴立てる音と聞き分けること、細部にわたる動きの1つ1つが水中でどう影響するかを発見するために批判的な目で自身を観察することなどを身に付けました。

2002年秋、短距離のトライアスロンレースを見ながら「私にもできる!」と考えた私は、初めてその短距離のトライアスロンレースに参加申し込みをしました。そのころの私は、訓練を積んだマラソン選手、娯楽の自転車乗り、そしてまあまあのスイマーといったところでした。

初のレースは愉快でした。40歳から44歳女性の年齢別のグループで55人中3位入賞を果たしました。トライアスロンにすっかり嵌まって、さらにいくつかの短距離レースで上位入賞を手にし、その後オリンピックとハーフ・アイアンマン距離に移行し、入賞し続けました。4分の1マイル“短距離”スイムを思い切ってやったこともあって、自分のお粗末な泳ぎに全く気がつきませんでした。私がようやく気がついたのは、ハーフ・アイアンマン距離の1.2マイル遠泳後でした。

トライアスロン選手一般に捧げる、典型的“努力”ということで、まずはとにかく一所懸命泳ぎましたが、全く上達しません。ハーフ・アイアンマンは私の単独レースになりました。国内チャンピオンシップでの3位入賞により、2005年にドイツのロスで開催されるフル・アイアンマンの出場資格を獲得することが出来ました。2.4マイルの遠泳と聞いただけで狼狽した私は、水泳量をさらに増やしましたが、能力的には変化しませんでした。

2005年1月、スイスでTIに参加した友人の熱心さに押されて、カンタンクロールのワークショップに参加申し込みをしました。445ドルの出費は高いものに感じられましたが、もしワークショップ参加後に泳ぎが改善されるなら有意義なお金の使い道であると理由づけて、私のトータル・イマージョンとの旅が始まりました。

“考える泳ぎ”のこの1年を振り返って、TI方式から何を学んだのか、そして投資の意味はあったのでしょうか。TIにより、意識を集中すること、水中の環境を理解して、その環境で自分の体がどのように動くかを探求すること、五感を使って眺め、適応そして判断し、静けさに耳を傾けて自然の海流を感じ取り、波を蹴立てる音と聞き分けること、細部にわたる動きの1つ1つが水中でどう影響するかを発見するために批判的な目で自身を観察することなどを身に付けました。

バランスは水泳の基礎を築くものであることを知り、完璧なバランス習得には、何時間もの集中した練習を要することも知りました。着実なドリル練習を通して、頭のポジション、顔は前方でなく下に向け、体を横にしてバランスした泳ぎ、そして、体の回転をストロークにつなげることなどを学びました。これらは、泳ぎの基本ですが、私は認識、把握できるようになるまでに、丸12ヶ月を要しました。ドリルを練習しながら、あるいは泳ぎの微調整をしながら、私は自分に問い続けました。「泳ぎはよりラクになったか?水の抵抗は最小限になっているか?滑るような動きになっているか?動きに調和が取れているか?」

練習しながら自問自答し、細部の再確認をすることによって、常に意識が研ぎ澄まされた状態を維持することができました。自分で回答を見つけられないときには、オンラインの“ディスカッション・フォーラム”にアドバイスを求めます。このフォーラムで多くの知り合いができ、さらに問題解決をしたり、テクニックを話し合うなど、とても活動的な交流の場であることを知り、私もその恩恵を受けました。最初の7ヶ月は、難しい専門的なディスカッションにはついて行けなかったのですが、知識や技術が伴うようになってから再度読み返してみると、以前は混乱した内容も鮮明に理解できるようになりました。トータル・イマージョンについて総体的に評価するようになった理由は、その基本的な原理で、これによって上手に泳ぐことの複雑さに魅せられました。またこれらの原理を通して、技術を大切にするのはもちろん、細かい動きにも留意することが必要不可欠であることを学んだからです。速く、効率的で、美しい泳ぎを身に着けるために、とにかく技術の習得が最重要課題です。

TIを1年間練習して、水泳の素晴らしさはただ単にレースに勝つだけでなく、テクニックに常に磨きをかけ、その過程から喜びを見出すことであると気がつきました。

という訳で、私の初めの出資は実りあるものだったでしょうか?1年前には高いと感じた445ドルは、結果として今までで最も価値ある投資になりました。

デボラ・ジョージズは、3年前の44歳の時にトライアスロンを始めました。5つの短距離、3つのオリンピック距離、4つのハーフ・アイアンマンそして、1つのアイアンマンで、軒並み上位入賞を果たしました。新しい挑戦として、2006年には長距離サイクリングを始めました。ランドノアースUSAのメンバーとして、デボラは200,300,400そして600キロの4つのブレベ(長距離サイクリングの実力認定システム:規定コースを規定時間内に走りきると認定が受けられる。競技やレースではないので、順位という観念はない)を1週間という時間設定の中でこの4月にスペインのモロルカで完走予定です。8月には、北カリフォルニアで1日100マイルを目標に1週間バイクで走る計画を立てています。アウトドアに情熱を傾けるデボラは、魚のような泳ぎを目指しながら、マイアミ・ビーチでアクティブに泳いでいます。
 ©Easy Swimming Corporation