次の誕生日には、喧嘩っ早くて手ごわい「グランド・マスター」の年齢集団に突入します。できればもっと若いエイジグループでの出場資格を得たいと願いながら、エントリーの許される限りレースで競いたいと思っています。50歳のこの年は、スポーツマンであることの喜びを引き続きかみしめると共に驚きの年でもありました。またこの節目の誕生日に自分の過去20年のスポーツ選手としての歩みを振り返る素晴らしい機会を得ました。
1980年にマラソンを始めて、82年に自己最高記録の2:40を記録した後ウルトラマラソン(長距離)に転向しました。何年もの間、山のハイキングコースやロードマラソンなどの50から100マイル(80〜160キロ)のウルトラマラソンで30レース以上走りました。

93年にハイキングコースも丘もないフロリダの中心街に越してきた時のショックはとても大きかったです。しかしウルトラマラソンは多くの素晴らしい人との出会いを与えてくれたと共に、まず何よりも“順応性”を教えてくれました。そして、そこが南西部のトライアスロンの中心的コミュニティー(USATナショナルトレーニングセンターとUSAT本部)であることを理由に、今度はトライアスロン選手に転向しました。

私はもともと長距離イベントに魅力を感じるほうなので、94年には初めてアイアンマン・トライアスロンに出場し11:20を記録して完走しました。95年の同じコースでは、より強いバイクと3:30のランとともに11:11を記録、しかしスイムでは荒波に悪戦苦闘しました。99年の初回アイアンマン・フロリダに出て、多少改善されたスイムの1:12に加え、まあまあのバイク5:23を記録、しかし西部での長距離マラソンを思い起こさせるサバイバル的“ラン”に耐え抜いた感じで終わりました。結果はあまり芳しくない11:22でした。

思うに、これと言った水泳のバックグラウンドもなく“水中バランス”の感覚もなく、かろうじてついて行くだけのドリル練習で足首も固まっていることが多いウルトラランナーたちにとって、水泳は一番の難関です。99年のアイアンマン・フロリダに向けて、テリー・ラクリンのTIの本や記事を読み始めました。こうしてTIアプローチはスイムの時にリラックスすることと、結果としてバイクの記録向上に役立ちました。

しかし、私の水泳は更なる指導が必要でした。毎年TIのクロール・クリニックがフロリダで催されるたびに、仕事やプライベートな理由で参加できないことが重なり、50歳になる年の3月になってようやく参加できるチャンスが巡ってきました。

サウス・フロリダ大学内で行われたTIワークショップは、テリーをはじめインストラクターとしての経験を積んだ素晴らしいスタッフによって進められました。2日間にわたるワークショップはとても価値あるもので、なぜこんなに長く待ったのか悔やまれたほどです。自己流にドリルを練習していましたが、やはり実際にワークショップでやってみると完全に理解していなかったことは明らかでした。ドリルを完全に理解し、フォーカルポイントに正確にフォーカスすることで、私の泳ぎは着実に改善しました。

ワークショップ後は、TIドリルとフィストグラブを着用して真剣に練習に励みました。上手に泳げるようになりたいと始めたトレーニングですが、今では水泳の練習が楽しくて仕方ないという副産物がつきました。実際ラン、バイク、ウォークアウトのどの練習よりも、水泳の練習が楽しみになりました。フォームや技術の向上だけでなくリラックスして泳げるようになり、まるで心身共に“ウルトラランナーの最高峰”に到達したような気分でした。50歳になる運動選手として、これは本当に貴重な経験です。

3月のTIワークショップ以降、3つのトライアスロン競技に出場しました。最初の2つはオリンピック・ディスタンス(1500メートルスイム、40Kバイク、10Kラン)でした。1つ目の競技では穏やかな淡水の湖で、スイムスーツを着用してバランスとリズムを比較的ラクにとることが出来て、同年代の選手の中でバイクやランの記録よりも、スイムの記録に好結果を残しました。これもTIトレーニングのお陰です。

2つ目(フロリダのセント・ピッツバーク、セント・アンソニーにて)は、スイムスーツを着用せずにタンパ湾で荒波の中でのレースになりました。バランスやリズムを全く掴めずに、この荒波では自分のTIテクニックを出し切ることはほぼ不可能でした。結果は全く不本意なものでした。それでもスイム後は疲れることなく、バイクとランは思いの他、力を発揮しました。

3つ目(フロリダのパナマ・シティー・ビーチ、ゴルフ・コーストにて)のレースはハーフ・アイアンマンでした。このイベントには珍しくウエット・スーツの着用が禁止されました。さらに普段と違ってレースの朝の湾は穏やかでした。1.2マイル泳ぐ間ずっと水は温かく透き通っていて、レースを通してリラックスして滑るように、そして楽しく泳ぎきりました。スイムのタイムはトップランクではなかったものの、気持ちよく泳げたことに満足し、さらにバイクのタイムは向上しました。他の選手同様、ランは暑さとの戦いでした。レースを終えて少し休憩した後、驚いたことにまたレース会場の湾で泳ぎたくなったのです。再びあの流れるような感覚と共に、冷たい湾を満喫しました。

という訳で、50歳の誕生日にはアイアンマン・フロリダへの出場を計画しています。私にとって、これ以上の素晴らしい誕生祝いはありません。前回のスイムの記録はどうであれ2.4マイルのオープン・ウォーターで(ウェット・スーツ着用の有無にかかわらず)不安におののき、動揺することなく自信を持ってレースに臨める自信があります。TIのお陰で、自転車にまたがったりランニング・シューズを履く時の気持ちと同様に、驚くほど落ち着いて泳ぐことが出来るようになりました。

さらに重要なことに、50歳にしてバランスの取れた、抵抗の少ない優雅な泳ぎを練習し、はじめてその素晴らしさを実体験できました。人生を通してエンジョイ出来るまたもうひとつのスポーツにめぐり合えたわけです。マンハッタン周辺で行われるという遠泳競技の準備と題したテリーの記事に触発されて、もしかしたら5K(4.5キロ)のオープン・ウォーターへの出場も、近い将来実現するかもしれません。体の硬い年老いたウルトラランナーに自信を与え、そのようなイベントへの出場を考えるようになるほど“賢く”トレーニングするすべを教えてくれたTIに心から感謝します。

ジム・マッキントッシュはダーデン・レストラン株式会社(レッド・ロブスター、オリーブ・ガーデンなど)のディベロップメント・ロウ(開発法規)の副社長で、フロリダ州オーランドに妻と3人の娘、3匹の犬と1匹の猫と共に住んでいます。TIトレーニングの増強を図って、彼のスイム・チームである娘たちと犬たちを観察しながら水泳を学んでいます。
 ©Easy Swimming Corporation