Q&Aのコーナー
Q:「体幹で進む」の意味がよくわかりません。

A.「体幹」は「手」「足」などと同じからだの一部を指す用語で、一般的に用いられています。医学的には胸部、腹部等、人体の主要臓器がある部分を指しますが、TIの原文で使われているcore bodyは、単なる胴体というよりも背筋から腰の筋肉を使い、体全体を積極的に推進力に使うことを意味します。

具体的には、以下のような順番で推進力が生まれます。

  1. 片側の足で水を押すことにより腰の回転が始まる。

  2. 腰の回転により体が「ひねる」状態になる。

  3. 「ひねり」の力で背中が背骨を中心に回転し始める。

  4. 背中が回転する結果肩も回転すると同時に手が前方に伸びる。

ここでは「足の動きが体の回転のきっかけとなり、体の回転は腰から生まれる」ことが大切です。ワークショップでもこの腰の回転を意識したドリルを取り入れています。

(回答:竹内慎司)

Q:TIクロールと2軸クロールの違いを教えてください。速く泳ぐにはどちらがよいのでしょうか。
A:最近話題の「2軸」クロールは、両肩の延長線上に「軸」があると考え、入水やプルの手の動きをこの軸に合わせる泳ぎ方で、これまでの体の中心線上に手を入水させ、手をかくという泳ぎ方を1軸の泳ぎとしてその違いを明確にしている点が特徴です。

2軸クロールのドリルにTIのドリル(ジッパースイッチ)が取り入れられているように、両者は非常に近い関係にあります。大きな違いは2軸のクロールは「手のかき」を重視し、水面下でのキャッチおよび長い軌跡のプルを推奨しているのに対し、TIでは「入水に伴う体重移動」を重視して入水角度を深くしている点です。2軸の泳ぎを忠実に行うと1軸やTIよりも体重移動がしにくくなるため、より速いピッチで泳ぐことになります。

私個人の経験としては、「速く泳ぐ」の度合いにもよりますが、100mを1分切る速さを求めるのであればピッチを上げやすい2軸の泳ぎをお勧めします。それより長い距離、あるは遅く泳ぐ場合には、TIの泳ぎをお勧めします。TIのアプローチはトップスピードを上げることではなく、ボトムのスピードを底上げする(トップスピードの減衰を抑制する)ことにあります。ボトムのスピードを底上げすることは平均速度が上がるだけでなく、トップスピードを上げることよりもエネルギーの消費が少なくて済みます。

私が参加する練習会では、TIのクロールと2軸のクロールの違いについて実演しています。(回答:竹内慎司)

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