体力と健康
健康を維持し、日々健やかにすごしていくために、水泳を習慣とされている方も多いと思います。健康のためには毎日の運動は欠かせないものですが、 あまり運動をしすぎるとかえって体に毒なような気もしますよね。 健康維持のためにはどの位の運動が適当なのでしょうか。

健康維持のために必要な運動量の一つの目安として、国の「健康日本21」に定められた目標をみてみましょう。

健康日本21

「健康日本21」とは、 国が2000年から2010年の間を期間として行っている運動で、21世紀の日本を、すべての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会とするために、壮 年期死亡の減少、健康で長寿命、生活の質の向上を実現することを目的としています。 「健康日本21」では、栄養・食生活や休養・こころの健康づくりなど様々な側面から基本方針を掲げ目標値を定めているのですが、その中で身体活動・運動についても、成人の 運動量の目安などを定めています。

目標値
成人 男性9,200歩、女性8,300/ 1,000/10分[分速100歩、6070m/分]のペースで
高齢者70歳以上 男性6,700歩、女性5,900/ 1,300/15分[分速90歩、4050m/分]のペースで

これは海外の文献などで推奨されている「成人で週当たり2000kcal以上のエネルギー消費に相当する身体活動」がもとになった値です。つまり1日当たり約300kcalです。

歩行についていうと、アメリカスポーツ医学協会により示されているエネルギー消費量を求めるための式:
  水平歩行時の推定酸素摂取量(ml/kg/分)=安静時酸素摂取量(3.5ml/kg/分)+0.1×分速(m/分)
を用いると、体重60kgの人が分速70mで10分間歩くと、6,300mlの酸素を摂取することになります。
これに
「酸素1リットル当たりのエネルギー消費量=5kcal」
を当てはめると、約30kcalのエネルギー消費量に相当することが求められます。
したがって分速70mで100分間、つまり1時間40分で約10,000歩歩くと、1日当たり推奨エネルギー消費300kcalに達することになります。

水泳での適切な運動量

さて、この健康維持のために必要な運動量を、水泳で考えるとどの程度の量となるでしょうか。

先に説明したように、推奨運動量はエネルギー消費量によって考えられていますが、水泳の場合、歩行の場合と異なり、同じ距離や速さで泳いでもスキルによってエネルギー消費が大きく異なってしまいます。

ですから、一概に「このくらい泳げば十分」とは言えないのですが、参考までに各種運動について米国心臓病学会が示しているデータを見てましょう。

次の表は、体重が各々100ポンド、150ポンド、200ポンドの人が特定の運動をしたときに1時間当たりに消費する概算カロリーとなっています。

運動内容別の消費カロリー[kcal/hour

体重100lb

体重150lb

体重200lb

45kg

70kg

90kg

水泳,25 yds/min

185

275

358

とてもゆっくり

水泳,50 yds/min

325

500

650

スムーズに

ウォーキング,2 mph

160

240

312

分速約50m

ウォーキング,3 mph

210

320

416

分速約80m

ウォーキング,4.5 mph

295

440

572

分速約120m

自転車,6 mph

160

240

312

時速約10km

自転車,12 mph

270

410

534

時速約20km

ジョギング,7 mph

610

920

1230

分速約200m

縄跳び

500

750

1000

ランニング5.5mph

440

660

962

分速約145m

ランニング,10 mph

850

1280

1664

分速約270m

テニス、シングルス

265

400

535

これでみると、水泳では、体重70kgくらいの成人男性が

  • 1分に25メートルくらいのペースでゆっくり泳いで、1時間ちょっとで約300kcal
  • 1分に50メートルくらいのペースで速く泳げる人が、30分ちょっと泳いで約300kcal
となり、1日分の推奨運動量を満たすことが分かります。

スイムサロンのエンドレス・プールだと

  • 1分に25メートル = 0.42m/s
  • 1分に50メートル = 0.83m/s
に対応することになります。
これらは水流の大まかな速度ですし、実際に泳いでいる速さはこの値より速いようですから、設定としてはこれらよりは少し小さめの値となります。 もちろん、泳ぎ方により消費カロリーには個人差がありますから、あまり細かいことは気にしなくていいと思いますよ。

以上で1日分の推奨運動量は満たされるわけですが、泳げる日も泳げない日もありますし、運動の効果は消費カロリーだけで測れるものではありませんよね。 また、水泳ばかりでは鍛えられない身体機能(特に重力に対抗して働く脚の機能など)もありますので、

  • できれば、自分の基礎的な消費カロリーを把握して(インストラクターが相談に乗ってくれるでしょう)
  • 少なくとも週当たり2,000kcalの消費を目指して
  • 適度にウォーキングなど他の運動も取り混ぜて
健康維持のために楽しく運動をしていきましょう。
 ©Easy Swimming Corporation