TIスイマー7つの習慣
 トータル・イマージョン(TI)の練習法や泳ぎ方は従来の方法とあまりにも異なるので、せっかくTIのドリルや泳ぎ方ができるようになっても、TIを採用していないコーチやスクールの元では練習できないのではないかと心配する人もいるでしょう。実は全く心配いりません。TIはただのドリルのセットではなく、個々の練習それぞれが明確な目的をもつという練習における哲学だからです。
 このように認識したうえで、練習において次のような七つの項目を習慣づければ、どんな練習でもTI方式で臨むことができるようになります。

習慣その1:ストローク数(かき数)を常に意識します。ゆっくりしたスピードで効率の良い(テンポよく手と足を動かすことのできる)ストローク数を定め、疲れたりあわてたりしないようにストローク数を一定にするように心がけます。ストローク数が増えるのは、スピードを上げるときだけに限定します。

習慣その2:泳ぐ距離ではなく、正確なフォームを維持するための技術を優先させます。速く泳ぐためにやらなければならないことは、この技術を維持すれば自然に身に付くと考えます。

習慣その3:常に水の抵抗を最小限にする方法を究めます。速度はストロークの長さとストロークの速さ(かく速さ)で決まります。普通は速度を上げようとすると手を速く回してストロークの速さを上げようとしますが、人間として水中で手を速く回すのには限界があります。一方ストロークの長さを伸ばす、つまり効率を上げることについては人間にはまだまだ改良の余地があります。

習慣その4:効率の良い泳ぎを追究するためなら、列の最後に泳いでも気にしません。100m自由形の第一人者であるジェイソン・リーザックと一年半の間一緒に練習しましたが、誰もが彼が一番速いと認めているにもかかわらず彼はいつも最後にスタートしていました。

習慣その5:プールの中で誰よりも一番静かに泳ぐことを考えます。水しぶきを上げ、音を立てて泳げば疲れます。静かでスムーズに泳げるということは、効率良く泳いでいることになります。

習慣その6:プールの中で誰よりもゆったり泳いでいるように見えるようにします。マイケル・ジョーダン、ウェイン・グレッツスキー、アレクサンダー・ポポフなどのスポーツ界の偉大なる選手たちは、優雅な動きをしているにもかかわらず、試合や大会では常に驚くべきプレーを見せてくれます。

習慣その7:レースにおいては、ラスト・スパートだけでなくターンやターン直後のけのびでも他の人に差をつけることを意識します。普通の選手は「たくさん練習すれば持久力が増加して最後に勝てる」と信じて大変な量の練習をしますが、TIのスイマーはどのようなスピードでも効率よく泳げる技術、正確にペースをつかむ感覚、レース中のスピード調整など、ゴールに向けて精神と肉体を一体化させることでレースに勝とうとします。

そして根本的な違いは、従来の水泳が練習の時に体力をつけることに焦点をあてているのに対して、TIスイマーは「レースに勝つための技術」に細心の注意を払うことに重きを置いている点です。練習では「何を」するかではなく、「どのように」するかが重要なのです。」

ジョー・ノバックは50ヤード自由形、100ヤード自由形と100ヤードバタフライの陸軍士官学校記録保持者です。除隊後コロラド・スプリングスに移り、地元のスイミングチームのコーチになりました。
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