中・長距離を泳ぐスイマーに向けたペース練習 イージー・スイミング シニアコーチ 中村大輔

 2020年3月10日

中村コーチ

イージー・スイミングの中村大輔です。
いつもイージー・スイム・マガジンをご覧頂きまして、ありがとうございます。
今回は中・長距離を泳ぐスイマーに向けたペース練習についてレクチャーします。

まずペースを考える上で最初に確認することは心拍数です。最大心拍数の60%が幾つになるかを知っておきましょう。最大心拍数を求める計算式は幾つかありますが、もっともポピュラーな計算式は以下です。

(220 ‐ 年齢)× 0.6

40歳→108 (10秒換算 18
50歳→102 (10秒換算 17
60歳→96 (10秒換算 16

この心拍数を常にキープしながら泳ぎ続けることが重要です。
次に練習メニューの一例を示します。

1セット目:50m×4本
 ‐ゴールしたら10秒休憩してスタート
 ‐4本終わった時点で最大心拍数の60%になるよう泳ぐ
 ‐4本の平均タイムがどのくらいだったか計算する

2セット目:50m×6本
 ‐1セット目で確認したタイム+20秒を1本当たりの制限時間とする
 ‐全て同じストローク数で泳ぐことを目標とする
 ‐ストローク数が安定すればタイムも安定することを理解する

3セット目:50m×10本
‐1セット目で確認したタイム+10秒を1本当たりの制限時間とする
 ‐10本全て同じタイムで泳ぐことを目標とする
 ‐(可能であれば)全て同じストローク数で泳ぐことを目標とする
 ‐10本終わった時点で脈拍を10秒測る

これで合計1,000mの練習メニューとなります。各セットの間には3分程度の休憩を設けましょう。もし3セット目の途中でバテてしまうようなら、現状の体力がそこまでということになり、ひとつ課題が出てきます。
最初は5本目でタイムオーバーになってしまったが、日々こなしていけば7~8本まで泳げるようになり、最終的には10本完泳が出来るようになるはずです。
このように同じ心拍数を維持して泳ぎ続けた時のパフォーマンスを向上させるトレーニングのことをアネロビック・スレッシュホールド(AT)と呼びます。トライアスロン愛好者や200m以上を主戦場にしているマスターズスイマーに有効的なトレーニングです。

正直に申し上げて、楽な練習ではありません。トップレベルのスイマーになると、1本当たりの距離が長くなり、20分以上継続して泳ぎ続ける。本来はそういうメニューです。
しかし長丁場のレースにおいて、必要な体力を身に付ける何をすべきか知ってもらう為に敢えてご紹介をしました。自分で練習メニューを作る知識が身に付くまでは参考にしてみてください。