リカバリーとスイッチを分けていますか?(その1) イージー・スイミング代表 永瀬利得

 2020年2月10日

永瀬コーチ

最近のレッスン指導において、注目しているのが、「リカバリー動作」と「スイッチ動作」を分けていますか?ということです。

リカバリーもスイッチも体の回旋と腕の回旋とが絡み合ってクロールや背泳ぎに結びつけています。

リカバリーとスイッチを分離して、より推進力を獲得しようということを今回からクローズアップしていきましょう。

今月はリカバリー動作から考えてみます。

リカバリー動作は水中でのフィニッシュ(腿の前まで)から手腕を水上を通して、再びエントリーするポジションまで運ぶことを指します。

Eスイムのドリル練習を行っている方ならお分かりとは思いますが、リカバリー動作の最中は、体は斜め姿勢のままです。

入水するエントリーポジションまでは斜めの状態なのですが、リカバリーからスイッチに移行する際にその斜め姿勢が崩れる場合が多々あります。

この斜め姿勢、ドリル経験のない方はこの姿勢を維持することが難しいのを良く見かけます。Eスイムドリルでも斜め姿勢を作るドリルが多いことでもお分かりと思いますが、それだけ斜め姿勢が重要です。

ドリル経験のある方でも、リカバリーとスイッチが渾然一体となっていると、エントリーする際にひじと脇で水面を叩いてしまい「ポチャン」と音がする場合があると思いますが、まさしくそれです。ポチャンと音がするのは、水面を叩いているから起きる現象であり、前に進む推進力には何ら貢献しません。逆にスピードを求めるあまり、速いストロークをして、叩き続けて泳いでいるスプリンターもいます。

また、リカバリーを必要以上に回しているのも多い現象です。水上に腕を上げる際にひじを後方に引く動作によって起こります。

これは呼吸を行おうとして顔をしっかり水上にあげるためにひじを引いた姿勢がやりやすいという場合とリカバリーとは反対側である水中の手が浅いために通常の可動範囲を超えないとリカバリーできない場合が考えられます。

前者の場合は「オーバーローテーション」という症状で呼吸時にひっくり返りやすい、または呼吸後、泳ぐ姿勢に戻りにくいことが起きます。後者は無理くりして腕を回してしまうことで動きがスムーズでない、痛くなるといったことが起きる現象です。

そもそも泳ぐこととは、水の中で人間は浮かんでいる状態です。水面から出ている部分と水中に没している部分があります。片方の腕や肩を水上に出したいのならもう片方を沈めなくてはなりません。また、水上にある腕の重さでひじの引き過ぎは重心が後ろになることでひっくり返るわけです。

理想的なリカバリーを行うためにはEスイムドリルにあるような水中の腕の伸ばし方にてバランスを取り、ひじを引き過ぎず無理のない動かし方が有効となるのです。