美クロのコツコツ:水面を下げて息継ぎをする イージー・スイミング・ファウンダー 竹内慎司
2019年12月10日
美しいクロールを泳ぐために、身につけなければならない技術をご紹介します。
これらの技術は、知ったらすぐにできる「コツ」ではありません。意識をしながらコツコツと練習することで身につけることができます。
息継ぎをするときに、顔とからだを回しますね。
口が水上に出るまで顔を回します。
このとき、水面が下がっていたらどうでしょう?
顔をたくさん回さなくても息が吸えることになりますね。
水面を下げるなんていうことが、本当にできるのでしょうか?
それができるんです!
しかも水面が静かなまま息継ぎをするので、泳ぎがとても美しく見えます。
カンタンな技術の積み重ねで、水面を下げて息継ぎをしましょう。
○水面を下げるとは?
「百聞は一見にしかず」です。
息継ぎをしている上の写真では、頭の先の水面の高さと、口の周りの水面の高さが違いますね。
すり鉢状になっていて、水面が20cm以上下がっていることがわかります。
正確に言うと他の場所の水面よりも頭の先が盛り上がっていて、そこから口の周りに向けて傾斜ができていることがわかります。
ただ他の場所の水面と比べても、口の周りの水面は15cmは下がっています。
つまり本当に水面を下げているのですね。
頭の先の部分が盛り上がっている状態を、「へさき波」と呼びます。
船が水上を動くときにできる波のことです。
このへさき波を使えば、水面を下げてラクに息継ぎができるのですね。
○へさき波の作り方
へさき波は、
- 水中と水上の両方にまたがって物体がある。
- その物体が急加速して動く。
という2つの条件を満たしたときに発生します。
しかも水中にある部分が大きいほど、波が大きくなります。
そこで、それぞれの条件を満たすために、次のように泳ぎます。
1) 頭の3分の2が水中にあるように泳ぐ。
具体的には「頭頂部が水面直下」にある状態です。
顔や胸で水を押しながら、頭頂部が水面に来る程度まで頭を沈めます。
息継ぎをするときも頭頂部が水没している必要があるので、頭頂部から背中にかけての軸を意識して顔とからだを回します。
2) 入水する手を素早く伸ばすと同時に水中の手を動かす。
いわゆるスイッチ動作のことです。
顔とからだを回して口を出す瞬間に、水面が最も下がっている必要があります。
そのためにはからだを回すときに水中の手の加速を最大にします。
水中の手をてこにして、息継ぎの直前に入水する手を素早く伸ばすことで、水中の手の加速を増やすことができます。
さらにへさき波を使って息継ぎをするためには、
3) 水面に対して顔の中心線を平行にする。
顔が斜めになっていると、口の位置が下がってしまい水面を下げても口が水上に出なくなります。
顔の中心線に水面が来るように、頭を寝かせながら回します。
進行方向に体重をかけることも大切です。
○へさき波の確認方法
水面が下がったかどうかを確認する方法です。
息継ぎで横を向いたときに、
- 水面が目と目と間にあることを確認する。
- その状態で、息ができることを確認する。
水面が下がっていない場合、水面は顔の中央を通ります。
つまり口の半分が水没した状態になって、息継ぎができません。
へさき波ができていれば、水面は顔に対して斜めになっているので、目の高さで水面が中央になっても口が水面上に出てきます。
水面を下げることで、見た目に息継ぎをしていない美しいクロールを泳ぎましょう。