35分で身につく、ゆったりと速く泳ぐ方法 イージー・スイミング・ファウンダー 竹内慎司

 2019年10月10日

ラクに泳げるようになったら、次は速く泳ぎたくなりますね。
他人と競争するつもりはなくても、ゆったりと泳ぎながら、隣のコースの人よりも先に到着する優越感を味わいたいものです。
ゆったりと速く泳ぐための技術は、ファスト・ラーニング・メソッドを使えばすぐに身につけることができます。
あなたも35分でゆったり速く泳ぐ技術を身につけてみませんか?

○速く泳ぐことの本質を理解すれば、速く泳げる
「速く」泳ごうとするときに、あなたは何をしますか?
多くの場合、次のようなことをすると思います。

  • 力を入れて手で水をかく/足で水を蹴る
  • 手を速く動かす(テンポを上げる)

水泳を始めた頃は、上記のように手足を動かしてもそれなりに速く泳げます。
ところがある段階をすぎると、自分が「速く泳ぎたい」と思っても、タイムが伸び悩むようになります。いわゆる「踊り場(プラトゥー)」状態ですね。

そのときには何が起きているのでしょうか。

  • 力を入れる→疲れて速度が落ちる
  • 手を速く動かす→空回りする(ストローク数が増えるのにタイムが遅くなる)

つまり、これまでのやり方では限界があるということなのです。
それではどうすれば良いのでしょうか。
速く泳ぐことの本質を理解して、速く泳ぐための道具を身につければ、速く泳げるようになります。

以下の図は、クロールの速度の時間的な変化を示しています。

クロールの速度は、図のように上がったり下がったりして常に変わります。

  • 速度が上がるとき:手で水を押して水上に出すまで
  • 速度が下がるとき:水上で手を前に動かすとき

従って、クロールの「速度」を速くするには、「平均速度」を速くすれば良く、それはグラフの面積を増やすことになります。
つまり、

スピードアップ=面積を増やす

ということが、速く泳ぐことの本質です。

○スピードアップのためのアプローチ
面積を増やすためには、

a) 1ストロークあたりの面積を増やす
b) ストロークの数を増やして面積を増やす

の2つのアプローチがあります。このうちa)については、

a-1) ピーク速度を上げる(グラフの高さを高くする)
a-2) ピーク速度への到達時間を早める(グラフの角度を急にする)
a-2) 減速を抑える(グラフの谷を浅くする)

の3つのアプローチがあります。
これらについて詳しく見ていきましょう。

○ピーク速度を上げる
これが普通考える「スピードアップ」です。多くの人は
「速度を上げる」=「力を入れる」
と考えて、力みます。
実際には、

推進力=水を押す力

ですから、水を押す力を増やせば速度は上がります。
水を押す力を増やすには、

  • 水を押す面積を増やす
  • 水を押している手の速度を上げる(加速度を上げる)=素早く動かす

の2通りがあるので、「手の投影面積を増やして素早く動かす」ことで推進力を増やすことができます。
いずれの方法も、力を入れることとは関係がないことがわかりますね。力が必要なのは、速度が上がったときに発生する抵抗(速度の二乗に比例)に逆らって素早く動かし続けるときだけなのです。

○ピーク速度への到達時間を早める
ピーク速度への到達時間が早くなれば、グラフの傾きが急になるので面積が増えます。
具体的には、素早い動作を行うことでピーク速度への到着時間を早くすることができます。

○減速を抑える
水泳は水の中を前に進むので、水の抵抗を受けます。
これが減速の原因です。
つまり水の抵抗を減らすことで、減速を抑えることができます。
水の抵抗は投影面積(前から見たときの面積)に比例します。
そこで、前から見て下半身が見えないようにすれば、抵抗を大きく減らすことができます。

○ストローク数を増やす
ストローク数を増やせば、面積が増えそうですね。
ところがストローク数を増やすと、水を押す力が減ったり、手を素早く動かすことで水の抵抗が増えたりすることで、1ストロークあたりの面積が減ることがあります。これが「空回り」です。
空回り状態になると、ストロークを増やすだけ面積が増えるのではなく、かえって全体の面積が減る=遅くなることもあります。
空回りを防ぎながら、ストローク数を増やす技術が必要になります。

○ファスト・ラーニング・メソッドではどうする?
以上の正しい解釈に基づいて、姿勢や手足の動きについての「命令」を作ります。
細かな命令を作るために、陸上において状態を確認しながら練習します。

次にプールでは、正しい姿勢や動作を行ったときに得られる「感覚」を理解します。
この感覚を基準にして、クロールで正しい動作が行われているかを評価します。

動作と感覚を結びつけた結果を「道具」として作り上げて、今後の練習でからだに染み込ませていきます。

○テンポを変えずにスピードを上げるマジックを体験
スピードアップ体験レッスンの仕上げに、テンポを変えないでスピードを上げて泳ぎます。普通のプールでは不可能ですが、スピードが変えられるエンドレスプールのメリットを最大限に活用します。

この結果は3つのアングルでビデオに撮影します。スピードに合わせて道具を使い分けることで、どのスピードにおいてどの道具が有効かを目で見て確認することができます。

テンポを変えずにスピードを上げて泳げるようになることで、テンポを速くすることでさらに速く泳げるようになります。この「余力」を知ることも、体験レッスンの大切な効果です。

ファスト・ラーニング・メソッドによるスピードアップ体験レッスンのご紹介はこちら→
結果のビデオもあります。