水泳上達の法則:脳が正しく解釈できれば上達する。 トータル・イマージョン代表 竹内慎司

 2019年7月10日

 水泳が上達するためには、何が必要でしょうか。
 一生懸命真面目に練習していれば、必ず上達するのでしょうか。
 これまでの練習経験や指導経験に基づいて、水泳上達の法則についてまとめました。
 自分に合った法則を選んで、実践してみましょう。
 上達することが実感できます。

 

脳が正しく解釈できれば上達する。

新しい技術を身につけるときに、脳は2つの役割を果たします。

  • 正しい姿勢や動作を行うために、からだのどの部分にどのように命令するかを決める。
  • 正しい姿勢や動作を覚える。

命令を決めることと覚えることは、それぞれ独立したものではありません。
より覚えやすくするために、脳はこれまで自分が持っている「ライブラリ」から、似た姿勢や動作を取り出して使うことができます。
これが「脳による解釈」です。
脳が解釈してライブラリにある動作を使うほど、動作を覚える量は少なくなるので上達は早くなります。
一方で、間違った解釈をすると、ライブラリの中の間違った動作を使うことになるので、正しい動きに修正することが難しくなります。これがいわゆる「クセ」です。

例えばクロールを、「手でかいて足で蹴る」と解釈すれば、

  • 手の動き:水中で手に力を入れて水を引き寄せる。
  • 足の動き:かかとを上げて水を叩く。

というように手足が動きます。
ところがこのような動きでは水中を効率良く進むことができません。

これを、「重心を前に動かす」と解釈すれば、

  • 姿勢:体重を前にかける。
  • 手の動き:入水する手を前に運ぶときに、体重を前にかける。
  • 足の動き:足を浮かせるだけの最小限の動きにする。

というように手足が動いて、水中を効率良く進むことができます。

従って水泳の上達には、自分の持つ姿勢や動きの中から、正しい姿勢や動きをピックアップして組み合わせる「脳の正しい解釈」が必要になります。この作業を行うのに適しているのが、陸上です。陸上で動作の意味や目的を理解して、自分の知っている動きの中で使えるもの、新しく覚えなければならないものを判断しながら、組み合わせて練習します。