美クロのコツコツ:けのびとクロールで異なる手の方向 トータル・イマージョン代表 竹内慎司

 2019年7月10日

ビデオURL:https://www.youtube.com/embed/C7-prNFedHc

 

クロールで手を伸ばす方向

手を伸ばす方向について、多くの人が勘違いをしています。
壁を蹴るプッシュオフの姿勢では、伸ばした手を中央に寄せます。
水の抵抗を最小限にするために必要です。
壁を蹴った直後のスピードは最も速く、普通の人もオリンピック出場レベルの選手でもあまり変わらないと言われています。このため、写真右のように両手を合わせた姿勢を作ることで、水の抵抗を最小限にします。
この形をクロールでも作った方がよいのでしょうか?
入水する手を中央に伸ばした方がよいのでしょうか?

答えは「いいえ」です。
最大の理由は、「けのびは静的な姿勢」である一方、「クロールの手を伸ばした姿勢は入水動作を伴う」ため、入水動作に大きな影響を与えるからです。
中央に向かって手を入水すると、入水の方向が斜めになります。これは向きとして、

  • 進行方向
  • 横方向

に分解できます。この横方向が問題で、斜めに手を入水するたびに、横から押されるのと同じ状態が発生します。
このため姿勢が不安定になります。
また泳ぐ方向も横向きの要素が加わることで、ジグザグに泳ぐことになります。

これを避けるためには、「2本のレール」の考え方を取り入れます。
両肩の延長線上にそれぞれレールが敷いてあり、そのレール上で手を入水して伸ばすようにします。

波の静かなプールでは、このレールの幅は両肩よりも10cm程度狭くても問題はありません。
逆にオープンウォータースイムでは、レールの幅を肩よりも10cm外側にして、「広く」泳ぐようにして姿勢を安定させます。