美クロのコツコツ:胸で水を前に押す トータル・イマージョン代表 竹内慎司

 2019年6月10日

美しいクロールを泳ぐために、身につけなければならない技術をご紹介します。
これらの技術は、知ったらすぐにできる「コツ」ではありません。意識をしながらコツコツと練習することで身につけることができます。

人間は空気を含む肺が上半身にあるので、横になると下半身が沈みます。
このためからだを水面と平行にするには、意識的に上半身に体重をかける必要があります。
このときに頭や手に体重をかけると、いわゆる「つんのめる」状態になり頭が沈んで息継ぎが難しくなります。

そこで「胸で水を前に押す」ようにします。
「前に押す」と言っても、水面を0度とすると30度から45度の方向です。
斜め姿勢を保つために、左右で水の押し方を変えても構いませんが、その差は2~3割に留めておきます。
できれば左右同じ程度に胸で水を押しながら、肩の回転角やわきの下を伸ばすことで斜め姿勢を保ってください。

それではどの程度まで胸で水を押せばよいのでしょうか。
答えは「足が浮いた」と感じるまでです。
足が浮いたと感じるまで、胸で水を押し続けてください。
「押す」といっても動きはほとんどないので、力を使う必要はありません。
体重の分布を変えることを意識すれば、ラクに胸で水を押すことができます。
足が浮いたと感じたら、キックの力を3割減らしてみましょう。
これまでより遙かにラクに感じられるはずです。

なおどこを見るかですが、最初は「真下」を見ます。
胸で水を押す方向も下になっても構いません。
胸で水を押すこと自体ができるようになったら、押す角度を浅くしていって、顔の向きも前に上げていきます。
最終的には真下から1.5m前を見ると、胸で水を前に押すことがラクになるでしょう。
顔の向きや頭の位置を変えながら、胸で水をラクに押せる向きや位置を探しましょう。