クロール改造計画 田中和夫さん トータル・イマージョン代表 竹内慎司
2019年2月10日
スイマーの情報
氏名:田中和夫さん(仮名)
水泳の目的:健康のため
水泳の目標:1kmをラクに泳ぎたい
ビデオURL:https://tiswim.vids.io/videos/a49ddeb11a18e1c02c/video-analysis-04
ビデオでわかるカイゼンポイント
良い意味で滑っていますね。斜め姿勢を切り替えた後(スイッチ動作の後)は、手を前に伸ばしたままなにもせずにグライドしています。
またスイッチで加速しているときと、グライドしているときの力の入れ具合にメリハリがあり、たぶんラクに泳げているのでしょう。
さらに良くするためには、次のような点をカイゼンするとよいでしょう。
○オーバーローテーション
グライド姿勢で滑ることは気持ちが良いので、さらに滑ろうと思ってやってしまうのがオーバーローテションです。手を前に伸ばそうとして(あるいはからだの中央線上に伸ばそうとして)、からだが回転しすぎるのです。
これはブランコをイメージするとわかりやすいです。大きく回転するほど戻るのに時間がかかります。また大きく回転すると、ロープ(鎖)がたわんで不安定になります。クロールでも同じです。回転角が大きいほどテンポがゆっくりになります。そして姿勢が不安定になります。
写真1を見ると、現在の田中さんの回転角は約75度ですが、これを60度程度に抑えましょう。意識としては45度で十分です。45度の意識で実際には勢いがついて60度になるぐらいが、ちょうどよい回転角度です。
○グライド姿勢で手を支えにしていない
写真1 |
写真1で見ると、水中で伸ばした手の肘が曲がっています。これには以下のいずれかの理由が考えられます。
- 手で水をかくことを意識しすぎて、次の動作が始まっている。
- 手に何の役割も与えてない。
グライド時間をたっぷりとっていることから、1の可能性は低いです。むしろ手が何もしていないというのが正解でしょう。
グライド姿勢で前に伸ばした手は、重要な仕事を担っています。それは「支えにする」ということです。一昔前の「壁ドン」を思い出してください。もし肘がまがった状態で倒れかかったらどうなりますか?頭突きになりますね?手を支えにして寄りかかるから、からだに適正な体重がかかるようにコントロールできるのです。
水泳でも同じです。伸ばした手を支えにすることで、からだが潜らずに体重を前にかけることができます。手を支えとして使うためには、「肘を伸ばす」「わきの下を伸ばす」の2つを行ってください。
○リカバリーで肩の可動域を越えている
写真2 |
写真2はエントリーの手ですが、肘が伸びているのがわかります。手が水上に出てから肩の横に運ぶまでの間は肘を曲げていたので、田中さん自身はおそらく肘を曲げて入水していると感じていることでしょう。実際は伸びているのですね。
肘を伸ばす入水がなぜ問題なのかを考えましょう。2つあります。最初は、肘を伸ばす素早い動きができないことです。入水する手を素早く伸ばすことで、そのタイミングに合わせて水中の手も素早く動いて水を押します。これが推進力になります。入水する手と連動できないと、水中の手は自分でかくことになるので、素早く動かすのが大変なだけでなく、エネルギーも必要になります。
次は入水のときの肘の高さです。肘が高い位置にあれば、自由落下を使って手の動きを速くすることができます。この結果水中の手も速く動きます。肘が低い位置にあると、自由落下が使えないので入水のスピードが遅くなり、結果として水中の手もゆっくり動いて推進力が減ります。
このように肘を伸ばしたまま入水するのはデメリットが大きいのですが、それではすぐに直すことができるかというと難しいです。なぜならこの原因は肩の可動域を越えたリカバリーの初動にあるからです。
リカバリーで肩の横までは肘を曲げたままでいられたのは、肩の可動域を越えていたので上腕がそこまでしか動かなかったことを意味します。上腕がロックされてしまうので、腕全体を前に動かそうとすると手だけ先に動くことになり、せっかく曲がっていた肘が伸びて、入水するときには肘の位置が下がります。
このように、ある事象について別の原因があって、その原因を解決しないとその事象も解決できないということが水泳ではよくあります。だからこそ関連づけられた知識が必要なのですね。
速く泳ぐ=速く手を動かすと考えると、水中で手が受ける水の抵抗を減らそうとして、手がゆるんだ動きになります。この結果空回りしているように見えます。
水中で速く泳ぐには、手を動かすときの水の抗力を最大にする必要があります。水を押す面積を増やす、水を押す時間を延ばすなどして水中での推進力を増やす必要があります。
クロール改造計画
クロールを改造する手順は以下の通りです。
- 支えを作って体重を前にかける。
- ドライランド練習で適切な回転角を覚える。
- 肩の可動域を意識してドライランド練習を行って、動きを染み込ませる。
○ドライランド練習の重要性
支えについての取り組みを除いては、今回取り上げなかった息継ぎの問題も含めて、ドライランドの練習で解決することができます。
適切な回転角、肩の可動域を越えない手の動かし方、息継ぎのときの伸ばした手と頭の関係などは、陸上で鏡を見ながら、感覚を確認しながら練習すると、水中練習に比べておそらく5倍は早く身につくでしょう。
動きだけでなく、肘や手などからだの部位とからだとの位置関係を陸上で覚えることが大切です。得られた位置感覚や方向感覚を水中で実践することで、水の影響を補正用データとして組み込みます。基本的な姿勢や動きができていれば、この補正はざっくり言って2割程度で済みます。
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