キックの効果を最大限に使おう1 TIマスターコーチ 永瀬利得

 2018年7月15日

永瀬コーチ

TSM読者の皆様 お世話になっております。永瀬です。
関東地方は6月に梅雨明けという異様なる速さで夏本番に突入しているかの気候が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?

今日はキックをクローズアップしてみようと思います。折も折、この原稿を作成しているときにこんな情報が舞い込みました。

https://www.asahi.com/articles/ASL732TJ1L73ULBJ002.html

秒速1.3mよりも早くなる(100mのタイムで76.92秒)とキックの動きで抵抗になるという分析結果が筑波大と東京工業大の研究チームが発表しました。キックの嫌いな私自身にとっても朗報ですが。

さて、レッスンでもストローク動作が中心となり、キック動作がおろそかになりがちなのですが、ストロークのスイッチにて重要になるのが、このキック動作です。とは言え、板キックでバタバタやるのではありません。

クロールはスケーティング姿勢で作られる側(片手をのばした姿勢)の左右交互の繰り返しで構成されています。左スケーティングから右スケーティングの交互に切り替わることによって、前に進む(特にTIスイムでは重要です)わけですが、この切り替えでの重要な役割をキックが果たします。

水の中では浮力に伴い、この側の切り替えがやりづらい場合があります。浮いている状態で体の側の切り替えには、何か支えがあるとやりやすいのですが、浮いている状態ではこの支えを得ることができません。そこで、キックをすることでその支えとするのです。

左手伸ばしで右手入水の時、左足のキックを行い、右手を水中へと伸ばします。この場合、左足のキックを行うことで右手入水をスムーズに、側の切り替えも行いやすくなります。この支えがあることで入水する腕を使っての重心移動が行えるのです。よく泳ぎで「滑る」と表現しますが、それを可能にします。

とはいえ、バタバタとキックすることがいいのかというと、前述での研究結果にあるように、前に進む抵抗を生み出すことになりますし、キック動作にて心拍数を上げたりするので、我々成人にとってはきついものになります。

もう一度、ご自身のキック動作をプールで検証してみてください。上記の入水のタイミングとキック動作とがマッチしているかどうか確認しましょう。できるだけ効果的に抵抗なくキックを行うには、手前味噌になりますが、TIの2ビートキックのワークショップやレッスンがおすすめです。

次回は効果的な2ビートキックを作る練習方法にクローズアップします。