Swim Like Shinji:ラクに滑って泳ぐための技術 2 トータル・イマージョン代表 竹内慎司
2018年6月10日
ラクに滑って泳ぐ技術として、後半は滑ることに焦点を当てて整理する。
○滑って泳ぐ技術とは
「滑っている」というのは、推進力を加えなくても前に進んでいる状態のことを指す。
最も簡単にイメージできるのは、アイススケートやローラースケートである。
これらのスポーツにおいて滑っているときの特徴は以下の通りである。
- 摩擦の小さい氷や車輪を使っていて、地面から受ける抵抗が小さく減速しにくい。
- 減速するまでの時間が長いので、推進力を加える間隔も長くなる。
- 推進力を生み出すのは体重の移動と地面に対して押す力である。
従って水泳において滑るためには、以下のようなことを技術して身につければよい。
- 水の抵抗を減らす。
- 減速するまでの時間を延ばす。
- 体重移動と水を運ぶことで推進力を生み出す。
○水の抵抗を減らす
水の抵抗は投影面積に比例する。投影面積が増える最大の原因は下半身が下がることなので、下半身が下がらないようにすればよい。方法は2つである。
- 前に移動しながら体重を前にかける。
- キックで足を浮かせる。
1については、体重を前にかけることが感覚的に理解できればいつでも使うことができる技術である。顔と胸で水を押すというイメージでも良い。ここで重要なのは、伸ばした手の側に体重をかけるのではないということである。横方向ではなく前に体重をかけることで、下半身を浮かせることができる。
2については、足が浮くのに必要な足の動かし方を身につければよい。これは普段考える4分の1~5分の1の力で済む。前を進む目的を取り除けば、キックはものすごくラクにすることができる。
○減速するまでの時間を延ばす
水の抵抗を減らすことで減速しにくくなるが、推進力を加えるタイミングを遅くすることで滑る時間をさらに長くすることができる。具体的にはリカバリーの手を入水するまで、水中の手を伸ばしてグライド姿勢を維持する。
さらにタイミングを遅らせて、手を入水して伸ばしてから、反対の手を動かす「キャッチアップ」にすると、滑る時間は長くなるが両手を同時に動かすことによる加速が得られなくなり、手のかき動作だけで推進力を作る必要がありラクには泳げない。
従って「ラクに」「滑る」を両立させるためには、手の入水で両手を同時に動かす「スイッチ」のタイミングが最も適している。
○体重移動と水を運ぶことで推進力を生み出す
体重を前にかける動作を行うことで、重心が前に移動して滑ることができる。泳いでいるときは常に体重を前にかけるようにする。
また手で水を後ろに運ぶことでも推進力が生まれる。手のひらの向きを正しい形にして水を運び続けることができれば、力を入れなくても推進力が生まれる。
ワークショップでは「ラクに泳ぐ技術」「滑って泳ぐ技術」についてドリル形式で身につける。グループレッスンにより効果が得られた後、カリキュラムとしてパッケージングしてオンラインスクールで提供する。
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