水泳上達のための7つのレッスン レッスン3:スイミングの問題を解決 TIスイム創設者 テリー・ラクリン

 2018年4月10日

20歳の時、自分の生まれ持った能力では、これ以上上達するのは無理だと思っていました。40歳の時、効率の3つの要素に基づいてストロークを修正し始めました。それらの要素を習得することによって、私は55歳にして、20歳の時より早く泳げるようになったのです。それだけでなく、オープンウォーターの国内記録をも破ったのです。62歳になっても、自分のストロークはまだまだ改善できると感じました。

ティム・フェリスさんのように、私も海のそばで育ちましたが、私はラッキーでした。10歳までに水泳を習い、高校と大学では多くの大会にも出場しました。と言っても、私もティムさんと同じように、挫折を経験しました。

15歳から18歳まで、私のトレーニングは徐々に長く、きつくなっていき、タイムも着実に縮んでいきました。19歳の時、記録が伸びなくなったので、さらにトレーニングに力を入れました。しかし、やり過ぎから、体調が悪くなるだけでした。20歳の大学最後の時 、私のタイムは上がるどころか、かなり下がってしまったので、シーズンが終わり引退できることにほっとしたのを覚えています。

コーチから言われたこと以上のことをやっていたので、きっとこれが自分の能力の限界なんだと思いました。自分の無駄な動きが伸びない原因だとは思いもしませんでした。私は、効率の悪い「人間の」の泳ぎ方を一生懸命やっていたのです。

多くの人が同じような経験をしています。ほとんど泳げなかったところから、長い距離を泳げるようになったり、トライアスロンのオープンウォーターで1マイルまたはそれ以上泳げるようになった人は多くいますが、その中で大部分の人が「どんなに頑張ってもタイムが縮まらない」という壁にぶつかります。

小さなことにも努力するするべきだと私たちが感じるのは、人間のDNAと関係があるのです。水生哺乳類が上陸で上手く移動できないのと同じように、人間にとってスイミングは自然の動きではないのです。

しかし、人間の身体が水の中で無駄にエネルギーを浪費してしまう一方、人間の脳は問題を解決する能力があり、陸上哺乳類のDNAが、生涯にわたって問題を解決する術を提供してくれるのです。一番解りやすく表現すると、指導を受けていないスイマーが前に進むために変換するエネルギーは3%だけであるのに対して、イルカは80%も転換することができます。

イルカが泳ぐ時の効率の秘訣を人間のスイマーに教えることが、TIの歴史的イノベーションであると言えます。私たちは過去25年の間、何十万人もの生徒に対し、魚のように効率的に泳ぐための3つの要素-バランス、ストリームライン、身体全体を使った推進力-の指導方法を改良し続けてきました。

これらの技術を使うことによって、何十年もの経験を持つスイマーを含む生徒全員に効果が現れたのを目にした時(私は既に40歳で、長距離も泳げ、いくつものマスターズの全国大会でメダルも獲得していましたが)、正しい泳ぎを習得しようと、数年間トレーニングもレースに出ることも止めました。

効率的なクロールのための3つの要素
水の中で動き回る/水をかき回すなど、スイマーが消費する無駄なエネルギーの2つの原因を、各要素が対処します。 全ての要素は直観に反したものなので、指示されない限り、スイマーは通常それらをやろうとは考えません。この3つの要素は、次の順番で習得すると最も効果的です。

  1. バランスが取れていると、身体が楽になり、体位もコントロールしやすくなり、心身共に今まで感じたことのない心地よさを感じることができます。バランスが3つの要素の中で、一番楽に習得できるスキルで、その効果は直ぐにあなたのスイミングに反映されます。

  2. ストリームラインは、3つの中で一番魚に近いスキルです。水生哺乳類は、水の中で自然とストリームラインを使っていますが、水の密度は空気の800倍と言われており、人間の身体は水に対する抵抗が最大化するようにできています。まず、できるだけイルカの体形に似せて形作り、身体を伸ばします。そして、水しぶきや波、泡を最低限に抑えるストロークを習得します。抵抗を減らすことで、楽に速く泳ぐことができます。

  3. 全身を使った推進力を使うことで、水に抵抗するのではなく、水と調和することができます。私たちが指導する推進力のスキルは2種類あります。1つは、筋肉を使う前に、身体、重力、浮力のエネルギーと力を利用する方法です。もう1つは、手と足だけでなく、身体全体で泳ぐ方法です。


このビデオでは、典型的な「人間の」泳ぎ方と魚のように泳ぐTIのテクニックが比較できます。プールでビデオを撮り始めた時、たまたま隣のレーンに他のスイマーが入ってきたので、比較してみてください。効率の悪い陸生哺乳類のテクニックと意識して得たTIのテクニックの違いが判ると思います。

ビデオの後半は、サンフランシスコ湾で行われた世界マスターズオープンウォーター選手権での映像です。水面が荒くなった時に、「人間の」泳ぎ方をするとどうなるかが判ります。一方、魚のように泳ぐTIのテクニックを使うと、どんな条件でも楽に適応できます。