ゲスト投稿:恐れと興奮は紙一重 TIスイム創設者 テリー・ラクリン

 2018年1月10日

今回は、メアリー・リビングストンさんのゲスト投稿です。メアリーさんはニュージャージーでTIのコーチをされています。彼女は49歳の「中年の危機」にスポーツを始めた熱心なトライアスリートで、オープンウォーターもこの時生まれて初めて挑戦しました。その後メアリーさんは82回のトライアスロンを完走し、表彰台にも何度か立ちました。AT&Tグローバルセールスの幹部職を引退してから、彼女はTIコーチとしての道を進みました。

2週間前、私のレッスンを受けた方が初めてのトライアスロンに出場したのですが、彼のレース状況を追跡しながら私はとても興奮しました。

話の始まりは、彼のこの電話からでした。

ケン「こんにちは、メアリー。実は今度、初めてトライアスロンに出るのですが、ウエットスーツを着て海に入ったら、これじゃとてもレースで泳げないことに気づいたんです。そうしたらロバートが、メアリーがきっと助けてくれるから電話してみたらと言うので、かけさせてもらいました。」

メアリー「そうですか。どのレースに出られるのですか?」

ケン「メリーランド アイアンマンです。」

メアリー「初めてのトライアスロンでいきなりアイアンマンに出られるのですか?」

ケン「はい。10月の初めなんですが。」

メアリー「(10月の初め!?)となると後9週間しかありませんね。さっそくプールで会いましょう。」

ケン「もう1つ言っておかなければならないことがあるのですが。」

メアリー「何ですか?」

ケン「私は50歳で、かなり太っているんです。」

メアリー「(あらまあ!)解りました。では今度の金曜日はどうでしょう?」

大急ぎの9週間でした。そして10月7日、ケンさんは初めてのアイアンマンを見事完走したのです。そして、スイミングで一番いい結果を出したのです。トレーニングを始めた当初、彼が一番長く泳いだのは25ヤードを34本で、4本泳いで止まり、そして続けるという感じでした。彼のストローク数は25ヤードで24回でした。

彼は時間制限42分残してスイミングを終えました。それは、目標を13%上回っており、オープンウォーター1マイルの彼のベストペースより30%速かったのです。彼の25ヤードのストローク数は、6回のレッスンの後、17回に減っていました。

ケンさんの成功の要因
レッスンをする前、彼はプールで練習していましたが、いつも疲れ果て、失望していました。たまに2時間練習をしていましたが、持久力はランニングや自転車で養っていたので、自分がスイミングで必要なのは、長く練習することではないと気づきました。彼が必要なのは、効率性を高める事でした。ストローク数を数え、彼の身長に基づいたグリーンゾーン(効率的なストローク数)と比べた時に、やるべきことが判ったのです。

TIのレッスンを受けた後、ケンさんはトレーニングのやり方を修正し、前回のレッスンで行ったフォーカルポイントのスキルと技術のみに集中して取り組みました。それからも週に2回のトレーニングを続けていましたが、タイムと距離は後回しにし、スキルとドリルのみを練習しました。マインド/ボディーの改善の早さも目を見張るものがありました。

ケンさんは、「一番効果的だったのは、肘を高く上げ、前に運び入水し、ストリームラインを意識したことです。指先のドリルは、息継ぎをする上でとても役に立ちました。片目を出す練習も、息継ぎの頭の位置を理解するのにとても役に立ちました。」とおっしゃっていました。

「初めは、入水や手を前に伸ばす動作等、複数の動作を連動させるのに手こずりました。最初これらの動作は別々の動作として考えていたのですが、その後、連動したひとつのつながりであることに気づき、なるほど!と思った瞬間でした。」

「私はとにかく技術に集中していました。その時々で教わったことを1つずつ、1回1回のストロークで意識していました。初めはストローク数を効率性の基準としていたのですが、ストロークを数えることがフォーカルポイントを意識する上で邪魔になったので、最初のテストが終わってからは、ストローク数は考えないようにしました。」

「私はリズムよく泳げていなかったので、初めはテンポトレーナーを使うことが苦手でした。しかし、抵抗力や無駄な動きが自分の非効率性の原因であることを、テンポトレーナーを使用することで気づくことができました。」

「私は、フォーカルポイントの練習を15~30分のセッションに分けて行いました。そして、インターバル後に自分がどれだけ疲れているか(または疲れていないか)を判定しました。もし疲れていなかったら、効率が改善したと判断しました。」

「自分の進歩を測るもうひとつの方法は、10回のストロークでどれだけ速くグライドして壁までたどり着くかという方法です。これによって、スピード感を得ることができました。」

私たちは9週間で準備しなければなりませんでした。その間行ったレッスンは6回です。(もちろんその間にケンさんは、ランニングと自転車のトレーニングもしていました。)この9週間の間に、オープンウォーターでの練習も行う必要がありました。彼は海で2度、1マイルを上手く泳ぐことができました。 (2度目泳いだ後、ケンさんは「とても気持ちよく泳ぐことができた。この調子だったらアイアンマンの2.5マイルは泳げそうだ。」と言っていました。)2回の1マイルオープンウォータースイムだけで過信するのは少し不安だったのですが、近場で他のレースもありませんでしたし、レイバーデー(労働者の日)以降は、監視員もいませんでした。そこで私たちは、ウェットスーツ無しで、プールでの2.5マイルを止まらずに泳ぐ計画をしました。これを成し遂げたことが大きな自信となり、私たちはレースの準備ができたことを確信しました。
そして当日、彼は素晴らしい結果をもって、それを証明してくれました。私の手柄と言いたいところですが、彼の成功は明らかに彼自身で掴み取ったものでした。彼は、細かい動作を意識し、彼の泳ぎを改善するのに必要なだけの時間を効率的に使い、常に問いかけ、妥協をせず完全を求めました。ケンさんは、会社役員としての役割の中でも「カイゼン」を活かし、トータルイマージョンのアプローチに関連付けて物事を判断しているそうです。