TIテクニックと神経外科的トレーニング:サバイバルガイド TIスイム創設者 テリー・ラクリン

 2017年12月10日
今回は、イオアニス・カランペラス医師のゲスト投稿です。

2005年の9月のある午後、私はニューヨークのバッファローの本屋で時間を潰しながら、初心者スイマー向けの独習本がないか見て回っていました。

美しくて広大な海に恵まれたギリシャから、医大を卒業してこの国にやって来た私は、自分のスイミングの技術を改善する方法を探していました。しかし、目にするのは本格的なトレーニングを紹介した本ばかりで、レベルが高く、目標の心拍数やラップの長さを示した表がメインとなったプログラムで埋め尽くされていました。

そんな中、私はテリーの青と黄色の本に目が留まりました。その内容は、全てが理にかなっていました。大型船の形は、そのエンジンのパワーより重要であること、ストリームラインとストロークの長さの重要性を科学的根拠で説明していること、身体の重心を決める上での胸腔の役目など、私にとっては新しい発見で、直ぐにのめり込みました。

その後DVDも観ました。ゆっくりと、しかし確実に進歩するドリルの数々。時間をかけて自分のスイートスポットを見つける、両側で上手く呼吸する方法、等々。

2007年に私の7年に亘る脳神経外科研修が始まりました。その他いくつかのトレーニングコースは、研修医が体力、精神力共に、しっかり自分のものとして身に付けることができるよう、とても厳しいものでした。

研修医の1日は朝5時から始まり、夜8時まで続きます。そして、オンコールで徹夜の状態でも、次の日は同じように5時から始まります。ほとんどの研修医はくたくたに疲れ、帰宅するなりベッドに倒れこむ状態でした。

私も同様ではあったのですが、家に帰る前に病院の直ぐそばにあったプールに寄って、TIの練習をしていました。

これは私の人生において、最も賢明な選択のひとつでした。なぜなら、スイミングの上達以上のものを得ることができたからです。

練習を始めるようになってしばらくして、プールを出た時に前ほど疲れていないこと、睡眠時間が少なくても朝気分がいいことに気づきました。

プールから出ると体が回復していました。手術室で腰痛を感じることなく長時間立っていられるようになりました。手や腕が体の他の部分とうまく連動するようになり、 外科技術においても円滑に行えるようになりました。 

それ以上に、スイミングとTI技術は、苦しい時を乗り越えられるだけの活力を与えてくれ、毎日の仕事場でのストレスを和らげるのに大いに役立ちました。スイミングの技術が進歩するにつれ、精神的にも成長していきました。

プールでのバランスとストリームラインは、生活の中でも活かされています。人と接する際の言動や考えのバランスが取れ、病院での作業を潤滑に行うことに役立ちます。

友人によく言っているのですが、私が研修期間を無事に乗り越えられたのは、指導者、家族、そしてTIのサポートがあったからこそなのです。私はテリー・ロクリンにとても感謝しています。彼のTIに対する信念と貢献が人々の生活を変えていると言っても過言ではありません。ただスイミングが上達するだけではないのです。

TIとその技能は、ジョージ・レオナルド(禅の師範)も間違いなく認めるように、終わりのない道のりです。その道のりで私たちが結果以上に尊重しているのは、その過程です。目標に向かう道筋で私たちは知恵を得ることができるのです。

イオアニス・カランペラス医師は、ミネソタ州のセイント・クラウド市で脳神経外科医をされています。彼は、それぞれのフォーカルポイントで最大限に集中し、それを何度も繰り返すことを続けています。最近彼は、ツイン シティーのTIクロールクラスで、極めて優れたインストラクターであるティム・ウォルトンコーチから一流の指導とフィードバックを受けました。それがきっかけで、彼のTIの経験を共有することを決めたそうです。プールに居る時、泳ぐことに集中はしていても、健康、科学、文化、そしてなによりも家族と子供たちの将来のことなど、彼が一番大事にしていることを、脳の一部で熟考することもできるそうです。

 ©Easy Swimming Corporation