28年経って気づいた両側で息継ぎすることの重要さ TIスイム創設者 テリー・ラクリン

 2017年9月10日
1972年の8月に、私は初めてチームを指導しました。その時、最初の10分で気づいたのですが、チーム全員のストロークが、左右対称になっていませんでした。左側で息継ぎをする人は左に、右側でする人は右側に、大きく身体を捻っていたのです。

その時私はストロークのメカニズムについては詳しくありませんでしたが、左右への大きな動作が効率的でないことは判断できました。次の日チームに、反対側でも息継ぎをするように指示したところ、ストロークの動作が対称的になったのです。それがきっかけで、私は指導する際、練習中は両側で息継ぎをするよう指示するようになりました。

クロールの息継ぎにストロークの問題が多い主な理由は、身体の8%が繰り返し片側のみに動いている時に、身体を真っすぐ保ち、安定させながら前に進むことは難しいからです。その8%を片側だけに動かすと、いずれ様々な形で不安定な力に身体が対応しなければならなくなり、効率が下がります。

1970年代から両側で息継ぎするように指導してきていますが、1990年代初期に自分自身の効率を高めることに真剣に取り組んでいた時は、私はまだ片方だけで息継ぎをしていました。レッド クロス50マイルに向けて、スイミングに真剣に取り組み始めた1964年の夏以来、私はずっと左側のみで息継ぎをしてきました。

28年経った1992年の3月、サンタバーバラにあるロスバノス・デル・マーの50mプールで地元のマスターズの方たちと一緒に泳いだ時、右側で息継ぎすることを決めました。その日なぜか、400mのウォームアップで1ラップおきにいつもと違う側で泳ごうと思い立ったのです。奇数ラップは右側で、偶数は左側で息継ぎをしました。

私はストロークを数えることが習慣となっています。そこで気づいたのが、50mを慣れていない右側で息継ぎした時のストローク数が39回だったのに対し、慣れている左側では41回だったのです。慣れていない右側での息継ぎはやりにくかったのですが、効率の向上が見られたので、続けることにしました。その後数か月、右側でより多く息継ぎをし、早く慣れるようにしました。それ以降私はずっと両側で息継ぎをしています。


慣れていない右側での息継ぎですが、こちらの方が効率が良いという結果がでました。

ここ数年「クロールを楽に長く泳ぐ」独習コースのメニューに取り組んでいたのですが、その間に自分の息継ぎの仕方についてじっくり分析してみました。その結果、改善すべき点を沢山見つけることができたのですが、その大部分が慣れていた左側だったのです。慣れていない右側が技術的に上回っていたのは明らかでした。 そして、とても楽にできました。多分、左側のようにTIと出会うまでの28年間の悪い癖がなかったからでしょう。

片方だけで常に息継ぎをしていると、反対側での息継ぎが初めは不自然でやりにくく感じます。しかし、同じフォーカルポイント(顎を肩に寄せて水面上へ)を慣れていない側でも練習すると、直ぐに楽にできるようになります。


右側の息継ぎを始めたことで、左側の息継ぎも随分と改善されました。

練習すると、いずれ慣れていない側の方が慣れていた側より、スムーズで楽になるかもしれません。私の場合はこの10年ずっとそうです。そして、慣れていない側を練習することによって得られる洞察や気づきによって、慣れていた側の効率も、片方だけで息継ぎをしていた時に比べて著しく向上しました。

最終的な目標は、左右対称に息継ぎできるようになることです。それができれば、今よりずっと効率的に泳げるようになることを私が保証します。

 ©Easy Swimming Corporation