泳ぎのギヤ比をつかもう TIシニアコーチ 山口工

 2017年4月10日
山口コーチ

こんにちは、トータル・イマージョンの山口です。

以前にも似た話をしましたが、よく質問されるので解説していこうと思います。

「少ないストローク数で泳ぐとラクになりますか?」「手足を速く動かすとタイムを縮められますか?」

このようなの質問は年代を問わずとても多く受けます。
回答としては「必ずしもそうではない」です。
しかしこれでは回答として不十分なので、今回はこの話を少しします。

まず少ないストローク数で泳ぐということは動作数が減るので、姿勢を保つ時間が増えるので姿勢制御が難しくなります。
また少ないストローク数でスピードを出すということは、1ストロークあたりの出力を上げなければいけません。
筋力的な過負荷がかかったり、効率的な水を押す技術が求められます。

次に手足を速く動かすということは動作数が増えるので、一つ一つの動作が雑になりストロークの質が下がります。
ストロークの質が下がれば1ストロークで進める距離も短くなります。
これにより距離に対するストローク数が過度となり、これもまた身体的に過負荷となってしまいます。

自動車のMT(マニュアルトランスミッション)や自転車の変速機(可変ギヤ)などを使ったことがある方はお気づきかもしれませんが、泳ぎもその場面やその人にとっての最適なギヤ比があるのです。

各々の場面で最適な「ストローク強度」と「ストロークテンポ」のバランスをとることが最適なギヤ比を見つけ出すことになります。

極論的には万能なギヤ比というのは存在しません。
その場面や目的に合ったギヤ比を見つけることが、自身を「万能スイマー」にすることに繋がります。

余談・・・
競泳の短距離選手は「ストローク強度を最強」にして「ストロークテンポを最速」にしています。
もちろん「ストロークテンポを最速」にしてもストロークの質が落ちないように日々トレーニングしています。

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