バランスの良い息継ぎ TIシニアコーチ 中村大輔

 2016年6月10日
中村コーチ

トータル・イマージョン加藤です。
TIジャパン・シニアコーチの中村大輔です。
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日頃、様々なお客様と接していて、息継ぎの話になると「目一杯吐いて、目一杯吸う」と思い込んでいる人が少なからずいることに驚きます。

しかし、よく考えて欲しいのです…
水泳時の息継ぎの吸気時間はせいぜい1秒程度です。予め目一杯呼気(息を吐くこと)をしたとして、その時間内で同じ量の吸気(息を吸うこと)をすることはできるでしょうか?

――きっと無理ですよね?

普段何気なく行っている呼吸の換気量は一般的に500ml程度と云われています。これは平均的な成人男性の肺活量の13%(女性の場合18%)に相当します。水泳時の息継ぎの場合はそれよりもやや多く20%程度(女性の場合25%程度)で、それぐらいの換気ができていれば充分なのです。

呼気と吸気のバランスが悪い状態が数分続くと、過呼吸症候群になる場合があります。特にトライアスロンやOWS初心者は海を泳ぐ際に「たくさん吸いたい!」という本能的欲求と、波の影響で思うように息継ぎできない焦りが加わり、過呼吸症候群でパニックに陥ることであるので注意が必要です。

息継ぎは大きく呼気・吸気をするのではなく、一旦それまでの半分の量で行ってみてください。それだけで精神的プレッシャーはかなり軽減するでしょう。慣れればもっと減らしても平気になりますよ。

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